31話 緊急事態
「安穏寺さんごめんなさいね。突入は明後日でええかな?」
「そりゃわしは急がんが、なんか大変そうだのぉ?」
「ええ、20万円以上の金がかかるかどうかの瀬戸際です」
「金の話かえ?万円っていうのはわからんがいくらアデヤ金貨が必要なんだ?」
「ごめん、金貨?それ多分使えん……ん?今、金の価格高騰しとったのぉ?」
「そういう問題じゃないでしょ!なんでソラが安穏寺さんからお金もらう話になってるのよ」
「いや、わしの寺、もともと出がええところやから本家筋に言えば」安穏寺さん天然か!
「そんなガタイして根は坊っちゃん!」
「それってもともとは長宗我部の……」真面目か、ウミ。
「まぁそもそもはその本家の本家がやらかしたことやしええかと」
「ソラ君、お金って、また教習所行く気なん?」
「いやじゃぁあ~~~!あの町走りにくいんじゃ。学生多いし、年寄り多いし、善通院の参拝客、お遍路さん多いし、こんぴらさんの観光客も多いし、おまけに自衛隊のトラックも教習したりしとる」
「最近、うどんツアーとかで来る県外ナンバーも多いしね」
「おまけにめったに汽車も走らんくせに踏切多いんじゃぁ~。未だに電車ですらない汽車やぞ、汽車!」
「正確にはディーゼル車だね」
「どうでもええわ。またあんなところで路上講習とかいやじゃあ。ユイ~なんとかしてぇ~」
「なんとかってなによ。どうしろって言うの?」
「お前、帰り方知っとるやろ?1日だけ元の世界に帰らせて。お前も天さんも両方の世界普通に出入りしてるやん」
「でも、ソラ君。前に天さんと話した時にこっちの仕事放っておいて帰ってええんか、みたいなこと言われたじゃない」とウミ。
「それはそれでまた別の話やん。やること放りだして逃げ戻るんかって言われたんやろ?俺はちゃんとやるよ。免許証の失効さえ回避できたら」
「ああ1日だけって本気なんだね?それなら僕もとっくに夏休みも終わって学校始まってるけど行けてない。ちゃんと退学するなり休学するなり手続きしないと、とは思ってた」
「そか、お前……大学どうすんのさ?」
「色々こっちに来てから考えることも多くてさ。大学がベストな選択とも思えなくなってきたよ」
「それは違うやん。高校は出ておこう。ま、高卒認定でもええけどさ。坊主になるのを真剣に考え始めたんかもしれんけど、やっぱりおやっさんとかにもきちんと相談して決めな」
「うん、その為にも1度帰れたら嬉しい」
「帰るってどこにな?」とずっとやり取りを聞いていた安穏寺さんから当たり前の質問。
「1日準備する時間が欲しいんです。後顧の憂いを断つ為に」
「そんな大層な話じゃないでしょ?自分の為じゃない」と冷静なツッコミのユイ。
その通り。教習所がイヤなだけ。なんで見ず知らずのおっちゃんに人格否定されながら、ハンコもらうためにヒーヒー言わんとあかんのよ。オートマじゃないトラックあるからミッションにしろって社長に言われたからミッションのコース選んだけど、半クラなんてほぼ使ってないぞ。坂道発進怖いし。またあれやんのイヤや。踏切で窓開けて確認しとる人ホンマにおる?オーディオの音は下げるけどさ。
「単にクラッチ操作が下手くそなだけじゃないの?」
「ほぼオートマばっかりになったから必要性が減ってきたんじゃ」
「なんか全くわからんけど、1度どっか行くんだな?じゃあわしは久しぶりに法衣を出して風を通しておくわい。ずっと着ることも無くてずっとこの家の中で、こっそり檀家さんと法要してきたから緊張するわ」
「じゃあ安穏寺さんも準備に時間使ってください。仏具とかも出して足らないもんのないように。ろうそくやら御香は新しいのこっちで用意します」と伝える。
「あのさ、ソラ、ウミ」
ん?
「誰もあんたたち、向こうに連れて行くって約束してないけど?なんで戻る事が決定事項みたいになってるのよ」
「ん~そうだな。でも頼む!」
「なによそれ!イヤよ。見せるの」
「そんな見せられないような隠し通路通って行くのか?大丈夫、そう何度も頼まない。これっきりにする」
「僕からもお願い。天さんに一応聞いてみて?戻ってもいいかどうか」
「もぉ!ウミに言われると断りにくいわ」
しめしめ……風がこっち向いてきた。
「もしもし、パパ?ソラとウミが1日だけ帰りたいって。免許の更新と学校の手続きだって。え?私の?やだ~。なんでよ。パパの……えっ?もう!!」
なんか念話を怒りながらぶち切った。でも念話も電話みたいにもしもしから始まるんやな。
「どうだった?」怪しいやり取りだったので気になる。
「え?別にいいってさ。あいつらならもう中途半端な事をしないと分かってるからって」
「ありがとう!助かる。でもなんで揉めてたの?」
「パパの穴を通そうと思ったのに色々あるからヤダって。だから私の穴を通せばって言われてムカついた」
「ん?穴って別れてるの?ユイと天さんだと出るとこ違うの?どこでもドアみたいにいきなり会社の入口とか善通院の庭とかじゃないんか」
「そんな便利なもんじゃないわよ。今いるところから箸蔵のパパの家にしかつながってないわよ」
「え?箸蔵?それめっちゃだるいパターン。よく天さん、パパゾンとか言って朝一番に善通寺のコーナンとか行けてたな」
「バカなの?私達は空を飛べるのよ?香川なんて直線距離にしたら山から瀬戸内海まで行ってもすぐじゃない。あとあなた知らないみたいだけど阿波池田にもコーナンあるからね、ホームストックって名前の」
「え?知らんかった。そうなん?」
「そこならパパや私は飛ばなくても家から数回ジャンプするだけで行けるのよ。玄関から目と鼻の先だもん」
「そういうことかぁ~。天さん、シャチョゾンの時より明らかにレスポンス早くなってたもんなぁ」
「うん、天さん的にも楽そうだったね。いちいち社長にメモ渡して買い出ししてもらってまた取りに行くより」
「まぁええわ。箸蔵さんでもどこでもいいから元の世界に連れてって」
「仕方ないから連れて行くけど、絶対に余計な物は見ない、触れない、語らないでね。約束よ!」
「かしこまり!」
「本当は嫌なんだからね!」とかブツブツ言いながらユイは僕らを認識阻害の中に入れる。
「うわ、消えた!」
安穏寺さんがビビっとる。
「大丈夫です!天狗の技のひとつです。ちょっと出かけてまた明日の夕方には戻ってきますんで待っとってください」
「お、おう」と僕らのいる反対方向に向かって安穏寺さんは答えた。見えんもんな。
ほな行こうか!
「ユイ、悪いけど頼むわ」
ユイはブツブツ独り言を言いながら空間に両手を突き刺し広げていく。
「初号機がATフィールドに穴を空ける的な?」
「うるさい!黙って着いてきて」と冷たいユイ。
開いた穴の下の端をひょいとまたいで中に入る。あれ、くぐった瞬間なんかいい匂いがするな。
「はい、着いたわよ」
ユイが言う、って早っ!穴を開けて入るともう元の世界。う~ん空気が美味しい……ってこれは!
「ジロジロ見るんじゃないわよ!」
丸太小屋らしき壁だけどびっくりするほど女子の部屋。窓際のシングルベッドにすみっこぐらしのかわいいクッション。シンプルな木製机と椅子だけの勉強机もありますやん。本棚にはびっしり本が。ハガレンとかいい趣味してますな。SPY×FAMILY、鬼滅もあるな。薫る花は凛と咲くにメダリストも?あれブラックジャックに三つ目が通る?突然昭和に……。お、ちゃんとベルばらもあるしキャンディキャンディも。ちょっと安心した。どれどれあとは……って見てたらユイに蹴られた。
「ジロジロ見るなって言ったでしょ!」
あ、ここユイの部屋か。女子の部屋なんて入るのいつ以来だ?とてもいいもんだ。
「ユイ、この写真……」ウミが壁に飾っているセピア色の集合写真を指差した。
「ウミもジロジロ見るんじゃないわよ。これは昔の友達と撮った写真よ」
あ……ユイがこっちの世界で学校に行き始めた頃か。周りはどんどん成長するのにユイはいつまでも変わらなかったんだっけ。昭和の初め頃の写真かな?男の子はみんな丸坊主で女の子はおかっぱ頭。ユイはやはり飛び抜けて美少女だな。天さんも人間バージョンは渋い大人だし、アデヤさんも女神だもんな。そりゃそうか。
ん……きっとこの写真に写ってた友達達はもうみんなこの世にいないだろうなぁ。生きてたら100歳なんて余裕で過ぎてる。
「いいのよ、そういうもんだから。私達に比べると人の人生は短いって知ってるから」
また僕の心を読まれた。
「ユイ、いいなぁお前」
「何がよ」
「人より長生きできるんだろ?」
「なんでそれがいいのよ!仲良くなっても友達はどんどん大人になって歳を取って死んでいくのよ!何度それを繰り返してきたか」
「それは人間目線で考えるからさ」
「人間目線?」
「そ。人間だって同じだぞ。ペットを家族に迎え入れる。めちゃくちゃ幸せな時間を過ごすけど、彼らの寿命は人間よりも短い。人間だってそういう面では同じだよ。自分より寿命の短い家族を度々送ることになる」
「そうよ!それが怖くて悲しくてペットロスで心を痛めて、もう2度とペットは飼わないって決めた人もたくさんいるわ」
「その通り。辛いもんな」
「ええ、だから私も基本的にはもう人間と深く交わらないようにしたの。すぐ死ぬから。留学したのもこっちで深いつながりを作るのが嫌だから。海外なら私の容姿だと年齢を深読みされることは無いわ。怪しまれる前にまた違う町や国で暮せばいいから」
「うん、もう2度とペットを飼うのはごめんだって人もいる。一方でまた新しい家族を迎える人もたくさんいるよ。新しい絆を作って、楽しい思い出を作って、また送ってって」
「人とペットは違うじゃない!」
「同じ命だよ。寿命の長い、短いはあっても。ユイが人に対して思うように、人もペットに対して思う。嫌なら嫌でいいけど、俺からしたらユイは色んな出会いも経験できてさっきの『いいな』は心からそう思って出た言葉だよ。うらやましい。漫画にしたって色んな時代のを見れたんだろ?人の歴史だってリアルで見れたんだろ?めっちゃ羨ましい。時間なんていくらでも欲しいよ、俺は」
「そうだね、僕も世界中を見て回りたいよ。時間が足らないと思うけど。ユイはとっても素敵な贈り物を天さんとアデヤさんからもらってると思う」
「なによ、あんたたち……」
「だからさ、ユイ。お前ももっと人と交流していいと思うんだ。人が好きだから漫画読んでるんだろ?仲間と旅したりする様を想像してるんだろ?この部屋見て思ったよ。お前、人が好きじゃん。海外に行ったきりならこんなに部屋を飾って、本棚に本飾って、友達の写真壁に飾らないだろ?仮住まいの場所じゃなく、お前のお城じゃん、ここ」
「なっ……」
そう言ってユイは言葉を詰まらせて俯いた。
「ま、俺とウミはとっくにお前は仲間だし、めっちゃ頼りにしてるよ。立場は中立とか言ってるけどさ。俺はお前がいないと向こうの世界で生きていける気しないわ。無理。絶対必要」
「僕もそう。ユイがいてくれるから安心して祈ることができる。もしアデヤさんが僕らを傷つけようとしたらすぐ死んじゃうよ。でもユイがいたら絶対に守ってくれるって安心感があるもん。頼もしい仲間、大事なお姉さん」
「なんなのよ、あなた達。なんで今、そんな話するのよ!」
「お前が見られたくない、知られたくないってことを知ってしまったから。見せたくなかったんだろ?本音を」
「なんで、バカなのにそんなところは鋭いのよ!ここまで連れてきたからもう用事は済んだでしょ!出ていって。リビングにパパがいるから」
と追い出された。
なんか悪いこと言ったかな?目が赤かった。
「ユイは人と仲良くなりたいのが本心だと思うよ。天さんとこっちで育ったからね。でも傷ついたんだろうね。人の言葉なのか友達との別れなのかわからないけど」
「ま、俺らが生きてる限りはユイも仲間だ。死ぬまで仲良くしてもらおうや」
と喋りつつ階段を下りていった。
「1ついい方法があるよ!神にならない?」
あ、天さん盗み聞き。うさんくさい宗教みたいな誘い方しやがって。
「神になる方法があるけど聞きたい?」
「いや別に……」
「僕もあんまり」
「お前らツレないなぁ~ちょっとは心を開けよ!天狗さんにぃ~」
「あ、それより天さん、善通院に戻るんやけどどうやって帰ったら?」
「んなもん、わしだけやったら飛ぶけどお前ら飛べへんやん。車とかちゃう?まぁ麓までは歩きやけどの」
「ああ……ここってたいがい山の中やもんね。あっちの世界ではコトヘラから歩いて猪ノ鼻峠越えたけど、まだ道路ある分ましか」
「ここ道路無いで」
「へっ?」
「お前、天狗の家がそうそう見つかったらまずいやろがい。人目につかん山奥だっちゅーの」
「ひょっとして……あっちの世界でイノシシ食ったとことか?」
「正解!」
正解ちゃうわ……ほぼ頂上付近やん。
「天さん電波入るここ?」
「楽天モバイル以外ならかろうじて入るぞ」
楽天モバイルも頑張ってくれ。
「ほなちょっと麓まで社長呼ぶわ」
と言って久々にスマホに電源を入れる。YAMAPも最近使わんで良くなってたから充電はしっかりある。
「あ、もしもし社長?今日、暇?」
「アホか、お前は。友引明けの日で葬儀屋が暇な事あるかいや。立て続けに告別式じゃ。会館も初七日で2組入っとるけん、みんな夜まで忙しいぞ。残業じゃ、残業。で、どしたんなら?なんかいるもんあるんか?今、告別式やが出棺待ちで10分くらい時間あるけん相手してやるぞ」
めっちゃ嬉しそうやん。
「あんな、わけあって元の世界に戻ってきとるんやわ。今、天さんの自宅にお邪魔しとる。こっからそっち戻るんやけど迎えに来れへん?」
「お前、社長を何やと思とるんや?……と言うかこっちの世界って、お前ら戻れたんか?」
「ん~一時帰国的な?免許の更新が明日までやけん、急遽戻った。明日の夜にはまたあっちに戻るきに」
「お前、そんな簡単に行き来できるんやったらこっちから通いにしたらどうや?」
「そんな魅力的な提案……いや、ちゃうがな。毎朝天さんとこ来るのが大変や。車も走れへんから箸蔵の山の上の上まで32号線から登らなあかん。毎日そんなサバイバルできるかいな!」
「ほんだら天さんとこに居候さしてもろたらどうや?」
ん?天さんの方を見るとめっちゃ笑顔でサムズアップしとる。
「イヤ、無理。あの人絶対悪いこと考えとる顔しとる」神にならないかって言った時の顔や。あ、ウミが通話に割り込んできた。
「社長さん、ご無沙汰しております。善通院の息子のウミです。色々ご迷惑をおかけしてます。僕らを心配しておっしゃっていただいているのは重々承知してますが、ソラ君も僕も向こうでやるべきことを見つけたんです。ワガママを言って申し訳ないのですが、あちらで本腰入れてやってみたいんです」
ハンズフリー便利やな。
「ウミもこう言うとるしええんちゃいます?」
「お前はうるさい。ウミ君がそう言うならワシはどうこうないですわ。役に立たんかもしれんですが、ソラをええようにつかってやってください」
社長。ウミもやけど僕以外みんな賢そうな事言うとるけど、要は戻れちゅうこっちゃろ。元からそのつもりやけど。
「ほな社長、僕らこっから汽車乗るしかないけど、どう行ったらええかな?」
「箸蔵山でも天さんの家は香川よりやろ?それやったら駅は坪尻になるんちゃうか?」
えっ?坪尻……。
「坪尻ってあの秘境駅で名高いとこですよね?」
ウミも知っとるんか。前にテレビで安田大サーカスの団長が取材で来とったくらい秘境やん。あそこ何度か汽車で通ったけどマジでヤバいぞ。なんもない。崖から下りて言ったらやっと駅だけあるとこ。
「社長、とりあえずしゃーないからそっから琴平まで行くわ。善通院まで行ってもええけど、どうせ火葬場行くんやろ?帰りに拾って。リンカーンやったら2人乗せても余裕やん」
「お前、霊柩車をタクシー代わりにする気か?駅のロータリーで霊柩車停まっとたら目立ってしょうがないじゃろ」
「一瞬やけん、わからへんて。高級黒塗り外車って思うくらいやろ?」
「宮付きじゃ」
「うそ?宮付きで火葬場行くん?最近珍しくない?人気なかったやん」
屋根にお神輿みたいなの乗って上に龍が鎮座している今どき珍しいやつ。
「友引明け言うたろうが。全部出払うんじゃ。もう一台は淵が運転して多度津の火葬場行きじゃ」
まあええか。賑やかで。
「しゃーないからそれでええわ。金毘羅参りの観光客ドン引きやろうな。あ、でも外国人観光客には受けそう。ワオ、オリエンタルカー!って」
とりあえず予定は決まった!山降りるか。
「ユイ~ユイ~。ユイも来ないか?霊柩車乗れるぞ。なかなか乗る機会ないぞぉ。一般の人は死んだ時くらいぞ」
と言うと、上からスリッパが飛んできた。ピンクのウサギのもこもこスリッパ。耳がついてて可愛いな。
「ほな、天さん!また明日戻ってきます。いつもありがとうね、助けてもろて。感謝してます」
「本当に面倒な事ばっかり頼んで申し訳ないです。偉い天狗さんを荷物運びに使うなんて本当に罰が当たります」
「お前ら人たらしの素質あるなぁ。まあ空海もそうやったけど、さらっと相手の心を掴むよな」
なんのこっちゃ。
「ウミ、気合いれて行こうか!」
「うん、あの山降りるんだね。槍いるかな……」
あ、思い出した、イノシシ。
「お前、こっちの世界であんなん持ち歩いてたら通報されるぞ。もっとなんか短いので……。あ、天さんこれ借りるわ」
玄関脇の壁に飾ってあった金剛杖を2本いただく。お遍路さんが持ち歩いてるやつ。なかなか使い込まれていい感じの色合いだ。返事も待たずそれを持って僕らは獣道を下っていった。
「お前、それ昔、空海が使ってたやつや。やっぱりお前らが使うべきもんやの……ふふふ」聞こえてないけど。
「おぎゃぁああああああ~~~~ん!!」
と叫びつつ杖でウミの面を狙う。
「やめぇや、その掛け声、力抜けるわ」
と言いつつウミが杖で面を払う。しばらくチャンバラごっこをしながら山を下っていく。
あ……なんか杖ささくれてきたぞ、天さん怒るかな。帰りしなに金毘羅さんの土産物屋で新しい杖買って交換したたらバレへんか。
「隙あり!」
ウミが後ろから思いっきり頭をどついてきた。めっちゃ固いしこの杖!!
さあ、久々の善通院に帰るぞ!免許更新だ。
*(第32話へ続く)*




