終 群馬県の『祠』についての報告書
その日、『事故』は起こった。
城跡の公園に設置された防犯カメラに映されていたのは、独りでに首がねじ切れていく男の映像。
ゆっくりと。ゆっくりと。
右回りに。右回りに。
男の首は十分もの時間を掛けて徐々にねじ曲がっていき……最終的にはねじ切れて弾け飛んでしまった。
検死の結果、被害者の首には人の手の跡が付いていたが、もちろん映像には犯人らしき男の姿は映っていなかった。
人の首をねじ切ることなど素手では不可能であり、かなり強力な機械を使わなければならないはずだが……そのような機械が使われた痕跡は存在しなかった。
防犯カメラに写っていたのは被害者だけで、痕跡は人の手形のみ。
つまりこの『事故』は、カメラに写らない何者かによって首がねじ切られたということになる。
映像によれば男は死の直前まで絶叫していたはずなのだが、城跡にいた人間は誰もその『事故』には気づかなかったという。近くには売店もあるし、まばらながらも人出があったにもかかわらずだ。
特異な死に様でありながら、不幸な『事故』であるとして捜査は早々に打ち切られた。……まるで、警察もこういう事件に慣れているかのように。
映像を検分した人間のうち半分が体調不良を訴え、一人は休職してしまったが、グロテスクな事故映像を見たせいだとして特に問題視はされなかった。
不幸なる被害者。不運なる事故死者。
――その首は、まだ見つかっていない。




