その39
(鋭い歯に長い爪、接近及び直接攻撃するタイプで間違いないわね)
メイシンはローデラの全身を見回した。彼の体は先ほどより青白くなっている。
「あなた達がここの人たちを襲ったということね。財宝も取ったんでしょ」
メイシンの推理を聞いてローデラは顔色変えず反論した。
「いいえあの時、ここには半分ほどの住人の屍しかない上に財宝はすでに無くなっていました」
「え?」
意外な言葉に思わず聞き返すメイシン。ローデラは続ける。
「先に襲撃をしていた鏡の中のあいつは財宝を見たと言っていました。だが、後から来た私が見た時にはもう無かったんです。でもどうでも良かった、私はここを取り返したかっただけですから」
すると突然ローデラは歯をくいしばりだす。
「私はあの時、間違いなくここの王だった。何をしても誰も歯向かってこない。好きな時に人を殺しても文句ひとつ言ってこない、私は頂点だった。なのにあいつはよそ者のくせにクソみたいな正義感を片手に我々を倒しにかかってきた」
「無意味に人を襲っておいて被害者のように振る舞われても可愛そうとは思わないわよ」
「無意味・・・? 違うね。私はあそこにいた人々を魔物から守ってやっていたんだ。それなのに、クソー! あの人間どもは私を殺しかけたあの女を新しい主人としてすぐに受け入れやがった。やっとの思いであの地獄から逃がれて幸せを掴んだはずだったのに・・・ 私はそれを取り戻そうとしただけだ」
ローデラの手が怒りによるものなのか、プルプル震える。
「それに、」
しかし、彼の手の震えはすぐに止まった。
「私はただ襲っていたわけではありません。どうしても欲しくなるんですよ、血が」
ローデラは冷静さを取り戻した。彼の鋭い牙が炎に照らされる。
「吸血鬼なら当然でしょうね」
メイシンは半身になると右手で杖を構える。
「ちょうど今お腹が減っていたので、よかったです」
そう言うとローデラは前のめりになる。
「魔女の血をもらう!」




