その29 偵察6
「ふんっ!」
少し力を入れると、パワードの体は一瞬で元のいかつい大きさに戻った。
「逃げられたか・・・ しかし、組織で動いてるならやはり何か企んでいるのかもな」
そう言うと彼は2体の魔物が消えた場所を調べ始めた。幽鬼にドラゴン、どちらもかなり強力だ。それに普通だったらこの2種の魔物が協力をするはずがない。もっと仲間がいるのではないか、パワードはそう考えた。
「しかし、ワープが使えるやつがいるとは・・・ もし街中でゲリラ的にあんなのが一度にたくさん現れたら相当厄介だぞ・・・」
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「おっ、帰ってきた」
パワードとグードが宿に入るとバスターもすでに帰ってきていた。帰ってくるや否やバスターはすぐにグードの隣に座らせる。
「遅かったわね、市場の方が騒がしかったけどそれと関係あるのかしら?」
エルフィーヌが尋ねる。
「聞こえていたのか」
パワードが驚くのも無理はなかった。ここから戦闘のあった森まではだいぶ離れている上に、いつもそこそこ賑やかなため普通なら気付くはずがなかった。
「私の耳を舐めないで欲しいわ。こっちは森の中で狩猟をしているのよ」
「お前光るだけじゃねーか」
バスターのその無慈悲な一言が彼女を貫く。
「ゆっ、弓もちゃんと扱えるわよ! あんま与えないだけで」
慌てるエルフィーヌにメイシンが割って入ってきた。
「取り敢えずパーティーみんな揃ったんだし、報告を聞かせてもらいましょう」
しばらくすると、机の上には今日グードとパワードが買ってきた食材で作られたハチミツを使った料理が並んでいた。全てパワードが作ったものであったため、いつも通りグードの付近の料理だけ異様に力が入っていた。その机を囲むように5人は座る。
「じゃあまず俺から・・・」
バスターは自分が会議で聞いたことをみんなに話した。怪物たちのことについて、そして人間たちのことをよく思っていないことを。
そして次にパワードたちが戦った相手について話した。
「あいつら、お前らがこの前戦ったゴブリンのことは知らないと言っていたが、どうやら単独でやっているわけでは無いみたいだ。仲間がいる」
「何か企んでいる可能性が高いわね・・・」
メイシンは目の前のパンケーキをひと口食べる。
「うーん、強さはどうかわからないけど知性と恨みが高い分本物の魔物よりやっかいかもね」
グードもひと口食べた。
「森の方は衛兵たちが捜索しているみたいだが、無駄だろうな。もし敵がワープを使って大群でやってきたら厄介だぞ。今回のこともすぐ王の耳に届くだろうな」
「あの王は今それどころではないんじゃないかしら・・・ 敵がどこにいるかわからない以上、気をつけることぐらいしかできないわね」
「そうだよな・・・」




