その3 ダンジョンキラー2
「ミノタウルスですか?残念ながらここはもうじき崩れます。」
グードは慣れているためか淡々と話す。しかし、ミノタウルスにとってそれが不気味に映ったらしい。
「えっ、ここ壊れるの?!」
「はい、とある3人の者たちによって壊れます。」
覚悟を決めたような顔をしたミノタウルスは机から出てきて定位置であろう椅子に座った。
そして今までのひ弱そうな声から一転、ボスっぽい悪い声になりだした。
「フハハハッ、よくぞここまでたどり着いたな人間よ!私がここのボスミノタウルスだ!貴様なんぞ捻り潰してくれる!」
本気を出したのかミノタウルスの体がムキムキになる。そして武器を持ちグードに向かって襲いかかってきた。
「さようなら、ミノタウルスさん・・・」
「はぁ、はぁ、結局今回も決着つかなかったな・・・」
「はぁ、はぁ、て、手加減してあげたのよ。感謝しなさい・・・」
「ゼェ、ゼェ、全く、手のかかる奴らだ・・・」
グードを除く勇者パーティーの3人がダンジョンからでてきた。
その直後、ダンジョンは今回も轟音と共に崩れ去った。
結局、ミノタウルスはグード1人で倒して角を手に入れた。
「勇者たちが帰ってきたぜ・・・!」
帰ってきた4人を見て騒然とする町の人々。バスター、パワード、メイシンの3人の傷ついた体が戦いの激しさを物語っている・・・ように見えた。
「すげえ傷だ、荷物持ちのやつ以外がボロボロすぎる。相当激しい戦いだったんだな・・・」
「今回もダンジョンが全壊したらしいぜ」
「マジかよ!流石ダンジョンキラーだな・・・」
「そしてあれが、ミノタウルスの角・・・」
グードの荷物にはグードがとった角が括り付けられていた。もちろんこれもメイシンの魔法で浮かせているのでグードの質量はゼロだ。
そして4人は宿へと入って行った。
「くっそー、めちゃくちゃいてぇよー!」
バスターはそういうとベッドへダイブした。メイシンとパワードは傷ついた体で椅子に腰掛けた。
「またあんなにケンカなんかするからだよ・・・
ちょっと待ってて、応急処置キット持ってくるから」
そう言うとグードは部屋を出て行った。
「ふぅ・・・」
パワードは深呼吸をした。
「お前、ドキドキしてる顔ヤバイぞ」
「なんだと!」
バスターが無慈悲な一撃を与える。
「・・・ん?」
パワードが何かに気づく。
「・・・あれ?」
バスターも何か違和感を抱く。
「き、傷が治ってる・・・!」
「オレもだ・・・!」
2人の傷がみるみる塞がっていく。
「「・・・まさか!」」
2人は原因がわかったようだ。
「メイシン、また俺らに回復魔法使ったな?!」
パワードがメイシンに唾をとばす。
「そうよ」
「お前、また自分だけ看病してもらおうとしてるだろ!」
バスターも怒りの唾が飛ぶ。
「なによ、回復させたんだから感謝しなさいよ。呪いをくらわせるわよ。」
その時、グードが応急処置の道具を持って戻ってきた。そして2人の変化に気づく。
「持ってきたよ〜・・・あれ?パワードとバスターの傷が治ってる?・・・あっ、メイシンが治したんだね」
「そうなのー、もう魔力なくてー、私だけの回復ができなかったのー」
猫なで声で言うメイシン。
「優しいなぁメイシンは」
「だからー、看病して欲しいなぁー」
「いいよ」
グードはメイシンの隣へ行く。
「ウソつけお前さっき呪い魔法くらわせる言ってたじゃねーか!」
バスターの文句も虚しくメイシンはグードに看病されてご満悦の様子だった。
ザシュ!
何かがきれる音がした。
「グ、グアァ・・・!」
うめき声のする方を見るとパワードの腕に小さな傷ができており、隣にある大剣に少し血がついていた。
「パワード!大丈夫?!」
グードが心配する。
「す、すまん・・・剣が倒れてきて・・・」
しかし、バスターとメイシンはめちゃくちゃ引いていた。
「パワード、あんた・・・」
「いくらグードに看病してもらいたいからって・・・」
「いや、マテマテマテ!本当に剣が倒れてきたんだ!」
パワードは必死に弁明したが2人の目は冷めたままだった。
結局パワードの傷はメイシンが治した。




