その2 ダンジョンキラー1
翌日、パーティーはダンジョンの前に到着していた。グードはまた大きな風船のような荷物を持っている。
「よし、ここね」
「お前のためにミノタウルス討伐してやるからな!」
「う、うん・・・ありがとう」
実は少し前、グードが町の商店街にてミノタウルスの角の絵を見て
「この角かっこいい・・・」
とボソッと呟いたのを3人に聞かれて
「なんだっ、欲しいのか?!」
「言ってくれれば良かったのにー」
「いや、別に欲しいわけでは・・・」
「よし、じゃあ今度はミノタウルスの討伐に行くか!」
こうして今回、このミノタウルスがいるこのダンジョンに行くことなったのである。
「よーし、じゃあ行くか!フォーメーション!」
「「オッケー!」」
バスターの声に2人が応えると、3人はグードを囲うように立った。
「またこれやるの?」
「当たり前だろ、お前がケガしたらどうすんだ!」
じゃあ連れてくるなよ、とこの前グードは言った。しかし、「グードと一緒に行きたい!」と言う3人の要望があり、またグードにケガさせたくないという3人の要望もあり、3人が会議を重ねた結果、このフォーメーションができたらしい。
「よし、入るぞ!」
そう言うと3人はグードを中心にしまるでメリーゴーランドのようにゆっくりと回りながらダンジョンへと入って行った。
いつも通りダンジョン内ではスムーズに進んでいった。
流石巷で最強のパーティーと言われているだけあり、3人ともとても心強い。剣を片手に勇猛果敢に魔物を倒していくバスター、遠くの相手を得意な魔法で蹴散らすメイシン、自慢の大剣でどんな魔物にもパワーで退けをとらないパワード、そして3人の中心を歩くグード。4人はどんどんダンジョンの奥へとすすんでいった。
「・・・・・・む!」
ダンジョンをどんどん進んでいくと、今までに無かった光景が広がっていた。
魔物の数が今までとは桁違いに多いのである。
「結構いるな・・・、お前ら気を付けろ!」
バスターたちと襲いくる魔物たちとの交戦が始まった。
やはりここでも一体一体にほ特に苦労することなく倒していく。だが、魔物が多いため倒すスピードに対して襲ってくる数が多い。
みるみるうちに魔物が倒されていく。しかし、3人も少しバテ始めているようにも見えてきた。
そして、すべての魔物を倒した。3人の気が緩んだその時、バスターの背後から隠れていた魔物が襲いかかってきた。バスターは気付いてないのか動かない。
「危ない!」
グードはとびだし魔物に蹴りをくらわせた。
グギャァ!
魔物は吹っ飛び壁にぶつかって倒れた。
「大丈夫、バスター?疲れてる?」
グードはバスターに声をかける。
「いや、全然大丈夫!ありがとうグード!」
バスターはグードに助けてもらってご満悦の様子だった。
「ぐぬぬ・・・」
メイシンは嫉妬の目で見つめている。
「おい、お前まさかわざとじゃないよな?」
パワードは普通はやられるはずがないだろうと疑っている。
「ん?なにが?」
バスターはとぼけたように言った。
「キャァーー!助けてグード!」
メイシンの悲鳴が聞こえた。
見てみると彼女は尻餅をついており、その前には弱ったスライムがはねている。
「やられるー、スライムにやられちゃうわー!」
そう言って彼女はチラッとグードを見た。
正直言ってスライムは魔物の中でもかなり弱い。冒険者でスライムにやられるなんてことは起きたことがない。
「おう、やられろやられろ」
バスターが冷めた目で言った。
「なんであんたが出てくんのよ!」
「お前の魔法、雷の音とか風の音とかいちいちうるさいんだよ。」
「なんですって!あんたは攻撃の動きがいちいちカッコつけすぎなのよ!」
「なんだと!」
こうして2人のケンカが始まった。しかし今回は宿屋とは違い装備をしていて、2人の気持ちも戦闘体制に入っている。こうなると勇者と魔法使いの戦いになる。ダンジョン内に大きな揺れが生じた。
グードの後ろからパワードが話しかける。
「あんなバカどもはほっとっいて俺たちは先に進むか」
2人はパワードの言葉を聞き逃さなかった。
「誰がバカだと!?お前はいちいち暑苦しいんだよ!」
「ちょっとなに勝手に先行こうとしてるのよ!バカ!」
「なんだと!?」
2人のケンカにパワードが加わり三つ巴の戦いとなり、さらに激しさを増した。
ダンジョン内の揺れへさらに大きくなり、壁や床、てんじょうにヒビが入る。
「ここももうダメだな・・・」
グードはそう呟くと1人急いでダンジョンの奥へと進んでいった。
勇者率いる最強のパーティーとされる4人。このパーティーが入ったダンジョンのほとんどは半壊や完全に崩壊することから人々から"ダンジョンキラー"と呼ばれている。しかし、人々は知らない。そのほとんどがダンジョンの中であの3人がケンカして壊してしまうのであることを。3人がああなると止めるのは時間がかかり、ケンカが終わる前にダンジョンが限界を迎える。
グードが1人でダンジョンを進んだ理由は2つある。1つは目的を達成すること。もう1つはダンジョンの中に他に人がいないか確認することである。もし奥に誰かいたら出られなくなってしまう。こうして、グードは1人走っていった。
幸い、ダンジョン内には他に人はいないようだった。
そしてグードはダンジョンの最深部へと入る。そこにはここのボスであろうミノタウルスが机の下にいた。
ミノタウルスはグードに気づくと話しかけてきた。
「あ、あの、こ、これは一体なにが起きているんですか?」




