その1 荷物持ちのグード
出来るだけ明るい感じにしようと思います
キャー!勇者様ー!かっこいいーー!
うぉっ、すげぇ!あれがパワードか、なんて強靭な体なんだ!
メイシンちゃんかわいいー!こっち向いてー!
人々の真っ黄色な声援を受ける4人組。しかし、聞こえてくるのは3人分だけだ。真ん中を歩く者に誰も見向きもしない。
その者は確かにそこに居るのに。むしろ側から見るとそいつは4人の中で一番目立つ。
その理由は、やつがとても大きな荷物を持っているからだ。
他の3人はほとんど手ぶらだが、やつは自身の身の丈ほどの大きさの荷物を持っている。
「みんな、ありがとう!」
町の人々に囲まれながら4人は宿屋へと入って行った。
「やっぱ今回入るダンジョンにはミノタウルスがボスか・・・ミノタウルスってSクラスなんだっけ?」
「さぁな・・・ま、俺らには関係ないさ」
「私たちなら楽勝よ」
部屋では明日入るダンジョンについて話していた。勇者バスター、戦士パワード、魔法使いメイシン、そして荷物持ちと言う役職のグードからなる4人パーティーだ。このパーティーは通称"ダンジョンキラー"なんて言われており、その名の通りこのパーティーが入っていったダンジョンのほとんどは半壊、中には完全に崩れてしまうものもあったりする。冒険者だけでなく民衆からも憧れの存在として人気を博している。ただ1人を除いて・・・
「ふぅー、それにしてもこうも毎回囲まれてしまうと流石に疲れるぜ」
筋骨隆々の男、パワードがくたびれた様に椅子へと座る。
「あら?そんなこと言う割には嬉しそうだったじゃない、パワード」
「メイシンも恥ずかしそうにしてたじゃないか」
「バスターは相変わらず町の人の対応が上手いな」
「いいなぁ、オレもあんな感じに言われたいなぁ・・・」
グードがボソッと呟いた。
「・・・・・・!」
3人は一斉にグードの方を見る。
「おい・・・」
「お前・・・」
「そんなの・・・」
メイシンが立ち上がりグードに近づいてきた。
「ダメに決まってるじゃなーい!」
そう言うと彼女はグードに抱きついてきた。
「あっ、ずるいぞメイシン!」
バスターも立ち上がり反対側からグードに抱きつく。
「く、苦しい・・・」
グードは2人に挟まれてほとんど見えなくなっていた。
「お前が人気者になってー、他の悪いパーティーに誘われたら大変だろー?!」
「そうよ、あなたが居なくなるのはイヤよ!」
バスターとメイシンはグードを放さない。
グードは役職においては荷物持ちと言う立場でパーティーにいて、4人のなかでも一番大きい荷物を持っているが、実はその中身はなにも入っていない。空気でパンパンに膨れ上がっているだけでめちゃくちゃ軽い。パーティーの荷物はほとんど3人が持っており、それ以外はパーティーで極秘に開発した小さく軽く収納・持ち運びができる袋に入れて3人で運んでいる。
なぜこんなことをしているのかと言うと、グードを目立たせないためだと言う。このパーティーはとてつもなく人気だ。そんな中、もしグードが目立ちすぎて他のパーティーに誘われたりしたら大変だと言うことで、考えられた結果、人気の出ないであろう荷物持ちという役職にされたのだった。
長時間の間、2人はグードから離れなかった。
「おいおい、そのくらいにしてやれ。メシができたぞ」
どうやら2人がグードに抱きついている間にパワードがご飯の準備ができたようだ。
「オレもお腹空いた・・・」
2人の間からグードの力なき声が聞こえる。
「ん?腹減ったのか?」
「そうね、ご飯にしましょう!」
そういうとグードはやっと2人から解放された。
「おいおい、また俺らのだけ少ねーじゃねーか!」
「スプーン1杯分ってなんなのよ!」
バスターとメイシンはパワードに文句を言う。
2人のご飯はスプーン1杯分で、パワードの分は大盛り、そしてグードの分は向こう側が見えなくなるくらい超山盛りだった。
「フン、黙って俺とグードの施しに感謝しろ」
「なんで、お前に感謝しないといけねーんだよ!」
「パワードだけご飯多すぎよ!」
2人の怒りを無視してパワードはグードに話しかけてきた。
「な、なぁグード・・・」
「何?」
グードが横を見るとパワードが目を閉じて口を開けていた。なんだか恥ずかしいのか顔が少し赤くなっている。
それを見て2人は黙っていなかった。
「パワードあんた何1人だけあーんしてもらおうとしてるのよ!」
「ウルセェ、俺が作ったんだから別にいいだろ!」
「よかねーよ、お前のあーん顔はR-18なんだよ!」
「なんだと!」
今度は3人でケンカが始まった。
その間、グードは4人のご飯を全て均等に分けて自分の分を食べた。
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