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ワシがやんややんやとクリスをはやし立てる度、こちらも負けてたまるかとばかりにクリスたちの周りを囲む準騎士たちがクリスの相手である準騎士をはやし立てる。
「上段から来るのならば、その勢いを利用して下に相手の剣を叩きつけてやるのじゃー!」
「いけー! やれー! そこでねじ伏せちまえ!!」
「俺はお前の味方だ! 仲間だ! そんな奴ぶっ潰しちまえ!」
「近衛の隊長様が居るんだ、いいとこ見せろ!!」
クリスの相手へと届く声援というか殆ど野次の様な声は王太子を王太子とも思ってないような、不敬罪で即座に首を刎ねられそうなモノばかり。
「のうフレデリックや、アレは良いのかのぉ」
「大丈夫でございます。無論過ぎたものは咎められますが、準騎士と言うよりも騎士である間は己が身分をまず置いておき、騎士としての序列が優先されます。彼らは皆準騎士ですので、王太子であろうと侯爵家の嫡男であろうと平民であろうと同列。そうしなければ騎士としての序列が下の者が上の者に命令する、などというおかしなことになりかねませんので」
「ほほう、それは素晴らしいのぉ。しかしじゃ、そういうのに反発する輩がおるのも世の常ではないかの?」
大抵の物語に出てくる様なプライドだけはいやに高いお坊ちゃんお嬢ちゃん、実際に貴族という身分があるのだ例えどんなに数が少なかろうとそんな輩は必ずいるはずだ。
「えぇ、程度はどうあれそれなりの数その様な不届き者は出てきます」
「じゃろうな」
「ですが、その様な者はこの場に居ません」
「ほう?」
「きちんと騎士の序列と理念を理解できるまで、心身ともに鍛え直されますので」
「お……おぅ」
フレデリックのトテモイイ笑顔にワシがひくりと頬を引きつらせると、準騎士たちの方からうぉおおと野太い歓声が聞こえてくる。
何か戦いに進展があったのかとフレデリックのイイ笑顔から目を逸らすようにそちらを見れば、じりじりとクリスが相手の攻撃の圧力に押され防御で手一杯になっているように見える。
「ほう、流石クリスじゃのぉ」
「えぇ、クリストファー様はとても筋が良いです」
確かにクリスは防御で手一杯になっている、しかしそれは相手の勢いに負けてではなくワシが言ったことを実践しようと、相手の攻撃を受け流すその行動に集中し攻撃まで手が回っていないだけだ。
その証拠に何度か相手の剣を受け流すことに成功している、だがやはりまだそこまでなのだろう反撃までは繋がっていない。
「先ほどまでは五分五分といったところじゃが、このままであればクリスの勝ちかの」
「そうですね、全力で戦うことが必須とはいえ相手は少し力み過ぎですね、あれでは決着がつく前にへばってしまうでしょう」
同じ武器、同じ防具を纏っているのならば当然動きが大きい方が早く疲れる、その証拠に攻めているはずの相手の剣筋が段々と精彩を欠いており、その分クリスが相手の剣を受け流す成功率が上がってきている。
これは近く決着がつくかと思ったまさにその瞬間、受け流された剣を引き戻そうと相手が体を捻るが既に体力が限界だったのだろう、がくりと膝を折ったその大きすぎる隙にクリスが情け容赦なくがら空きの脇腹に両手剣を叩きこみ勝負が決するのだった……。




