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女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
女神の願いで…?
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1341手間

 案内せよと偉そうに言ったはよいものの、坑道の中は一度だけ二手に分かれただけで、あとは曲がりくねっているものの緩やかな下り坂の一本道が続くだけだった。

 分かれ道も、ワシらが選ばれなかった道の方へとトロッコのレールが続いていたので、恐らくあちらが晶石の鉱脈へと続いていたのだろう。


「はぁ、これは……。よくもまぁ、ここまで掘ったものじゃ」


「大帝国の技術あってこそだ」


「褒めた訳ではないが、技術云々を誇るのもむべなるかな、じゃな」


 崩れそうな気配もない立派な坑道、これを掘れる技術があるならば、もっと平和的に利用して欲しいところだ。

 これを他国の資源を掠め取るためだけに使っているというのだから、全く以って技術の無駄遣いもいいところだ。


「ふぅむ。おぬしは今まで見た帝国の者の中で一番まともそうであるし、ちと聞いてみたいのじゃが、帝国は覇道を唱えて何とする」


「含意が多くて言っている意味が」


「言い換えるならば、方々に喧嘩を売ってどうするつもりなのじゃ?」


「それは本当に言い方を変えただけでは……。全ては偉大なる皇帝陛下のお考えになること、我々下々の者には深遠なるお考えはとてもとても」


「覇道を進まんとしてる時点で、ただの考え無しとしか言えんがの。ワシからすれば子供が、あれも欲しいこれも欲しいと、我が儘を言うておるようにしか見えぬ。それが子供ならば微笑ましいがよい大人が、ましてや国がそれをやれば、いつかどこかで勘気を触れて早晩滅びるだけじゃぞ」


 忠告のようなことを言ったが実際はもう遅い、すでにワシの勘気にきっちりと触っているので、帝国が進むべき道は滅びか行く先を変えるかの二択しかない。

 当然、行く先を変えればその先に道はまた多数にあるが、滅びを選ぶなればその先に道は無い。


「古の超大国、そこへ行く道を偉大なる皇帝陛下が示していただけるならば、如何な艱難辛苦が待ち受けようとも、それを粉砕し進むべき道を掃うのが我々なれば」


「あぁ、そうじゃったな。昔の国のように、世界を統一するとかじゃったか。で? その国は当の昔に滅んでおる訳じゃが、なぜ滅んだ国を目指すのじゃ? 再び滅びたいのかえ」


 何をもってして滅びた国を再びと思うのだろうか、失敗したモノを参考にするならばともかく、失敗したモノを目指すなど正気の沙汰ではない。

 しかも失敗した原因は恐らくだが女神さまの介入だ、何せ僅かに痕跡が残るだけで数十万を生きるハイエルフの長老ですら知らぬことなのだ、なれば尋常ならざる者の介入しかありえない。

 とまれ、それを知らずとも滅んでいることは確実、それなのになぜ同じ道を進もうとするのか、それがワシには分からない。


「まぁよい。どうせ覇道は頓挫しておるのじゃ、これ以上は無いゆえ言っても詮無いことじゃったな」


「我々が負けたとしても、帝国に敗北は無い」


「うむうむ、信じたい気持ちはよく分かるが、ワシと敵対した時点で負けは絶対、それしか許されておらぬのが理よ」

 

「なぜそこまで」


「おぬしらが、それすらも分からぬ阿呆じゃからじゃ」


 この世にはどうあがいても逆らえ得ぬ者がいるのだということを、それを知らず考えなかった対価を如何ほど払うのか、それは彼らの今後の選択次第だと神託を告げるが如く、マナを乗せ滔々と語るのだった……

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