1070手間
申し訳ありません、誤って1069手間の内容を重複して投稿しておりました。
現在は修正し、正しい内容となっております。
ワシとドノヴァンの会話は不届き者をどうするかという、さほど珍し類の話ではない。
世間話にするには、やや物騒な内容だが決して脅しなどではない。
だがそうは取らないのが捕まった連中だ、やけっぱちになるかとも思ったが、少しでも生き延びる為か、随分と大人しくワシらに従ってくれた。
そんな懲罰部隊のドワーフらではあるが、今はワシらと共にドノヴァンらの街に戻り、彼らの場合は連行されと言った方が良いか、そして今は長老の屋敷にある牢に入れられている。
牢と言っても普段は喧嘩でちょっとやりすぎただのと、ちょっとした説教部屋兼反省室みたいなもので、流石に二十人もの数を収容するとなるとかなり手狭なようだ。
牢は四つしかなく五人ずつに別れて入っているが、手狭と言っても一応五人が同時に寝れる程度の広さはあるらしい。
「ふむ、そやつらは脱獄なんぞは企んでおらんじゃろうな?」
「流石にそんな考えを読むことは出来んが、たまに喧嘩のことを思い出して熱くなる奴もいるからな、殊更丈夫に作ってあるから壊されることはない」
「そうかえ」
ドワーフ謹製の牢だ、それだけでもう頑丈そうであるし、普段はあまり使わないとはいえ製作に手を抜くような種族では無いし脱走の心配は大丈夫だろう。
「それにしても、牢に入れられるほどの喧嘩の原因とはなんぞや?」
「あぁ、それはだな、酒には何を入れた方が美味いとか、誰が美人だとか、自分の方が細工が上手く作れたとか、たまに盗みで捕まるやつもいるが、大体はそんな理由の喧嘩だな」
「何とも平和じゃなぁ」
ワシがそう言うとドノヴァンは少し驚いて「平和か?」と首を傾げるが、しょっ引かれるほどの喧嘩だ、確かに大人しいとは言えないが十分平和と言える内容だろう。
「うーん、今のを平和と言い切るなんて、正直聞くのが怖いが、地上ではどんな理由で牢に入れられるんだ?」
「そうじゃな、基本的には喧嘩や盗みでさして変わらぬが、うぅむ……? はて? さして変わらんのぉ」
こちらではその手のことはフレデリックら騎士に任せているのであまり、いや、全く関わってはいないのでカカルニアでのことになるが。
凶悪な犯罪などそう頻繁に起こるわけもなく、起こったとしても大抵はその場で切り伏せられたりするので、カカルニアでも牢に入るのは大抵喧嘩や盗みでドワーフと変わりない。
喧嘩自体も大体最初は些細な意見の食い違いだったり、本当に下らないことだったり、酔っ払いが暴れたりと、あえてドワーフたちを平和というような事でも無かったか。
平和だと口を突いて出た理由をしいて言うならば、ドワーフたちの喧嘩を想像する際に彼らは小柄でずんぐりむっくりな髭面でのなので、やや気が抜けるから……だろうか。
「そうか、よかった……」
「何がよかったんじゃ?」
「いや、なんかこう、うまく言葉に出来ないが。わざわざ平和だ、なんて言うもんだから、こう、やばい理由で牢に入ってるんじゃないかと思ってな」
「なんじゃそれは……」
どんな理由を想像していたのか、平和だ、なんて言ったワシが大元の原因ではあるが、随分なことを考えていたのだろう、目を泳がすドノヴァンにワシは呆れたようにため息をこぼすのだった……




