1063手間
押さえつけられたドワーフが命乞いをする段になって、ようやく長老とドノヴァンがワシの下までやって来た。
「一体何を言ったんだ、皆が怯えているんだが……」
「いやなに、こやつが喋らんと言うんでな、どうせこやつ以外にも来ておるじゃろうから、喋らんかったらこうなるぞという見本になってもらおうかと、の?」
「見せしめ、というわけか……何と恐ろしいことを考えるんだ」
「戦をしておるんじゃろう? なれば甘いことはしておれん」
「確かにそうなんだが、な」
「とりあえずこれで縛っておいてくれ、後続が来てるのならばさっさと撤収するか迎え撃つか。おい、お前の後から何人来る」
ドノヴァンがワシに白い縄を差し出し、ワシが押さえつけたドワーフに近寄ったついでにとばかりに蹴りを入れながら尋問する。
ワシはその間に手早く押さえつけられたドワーフの手足を、渡された縄を使い縛って行くる。
「に、二十人だ! 俺含めて二十人だ。な、なぁ、言ったから、助けてくれよ」
「ほほう、それだけかえ? おぬしの命、ずいぶんと安いのぉ。その程度ならば、やはり次の者の口を滑らかにする潤滑油にでもなってもらおうかの?」
「まぁ、なんだ、死にたくなきゃぁ知ってることを洗いざらい喋れや。おい、こいつを倉庫ん中ぶち込んで吐かせろ」
ドノヴァンが凄みを聞かせて手足を縛り上げられたドワーフを……長いから賊でいいか、賊を他のドワーフに指示して倉庫とやらに連れて行かせる。
「さてと二十人くらいなら、やれないことはないか。回廊に身を隠して入って来たところを一網打尽が良いだろうな」
「ま、ワシがおれば千人おろうが負けはせんがの」
「さっきの雷、だったか? あれがあれば確かにな。ところで、右肩のところ、服が破けてるがどっかに引っ掛けたのか?」
「いや、さっきあやつの持っておった、あれじゃあれじゃ、アレの弾が当たっただけじゃ」
ドノヴァンがそんな風に聞いてきたので、ワシが奪いそこらに適当に投げ捨てた魔導銃のを指差し答える。
「あれって奴らの、アレが? 当たった? え? 鎧を簡単に貫く奴だぞ、それが服が破れただけ?」
「全くもう少し早く気付いておれば、服も破れんかったのにのぉ」
コソコソとしている段で捕まえれば服も破れなかったのにと嘆くワシに、呆れか驚きか混乱しているドノヴァンへと長老のゲンコツが落ちる。
「今はそんな事よりも、待ち伏せするために皆を上に上げる方が先だろう」
長老にそう言われ、ドノヴァンはまだ事態をよく分かってない者たちに説明するために、彼らの下へと走ってゆく。
すでに待ち伏せして迎え撃つことは決定事項のようだが、そもそも引きずられていった奴が本当のことを言っているとは限らない。
しかし、攻め込むならばともかく、待ち伏せならばそう問題は無いだろうし、ワシが居るならば相手がいくら増えようが問題が無い。
ここで返り討ちに遭い、相手がこれで痛手と思って手をしばらく引くか、それとも逆に奮起してくるか、どちらになるのか回廊に潜むために移動するドワーフたちを眺めながら考えるのだった……




