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女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
女神の願いで…?
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1058手間

 たどり着いた場所を一言で表すならば、窓と照明のない体育館か倉庫といったところだろうか。

 岩を削り出して作っているからか、やや重厚だが二階の回廊のおかげか体育館という印象が強くなるが。

 ワシらが入って来たのは体育館であるならば舞台があるであろう反対側真正面、そして部隊があるであろう場所にはもう一つ同じような入り口があるが、向こうは今扉が閉まって奥はうかがえない。


「ここは普段、新しい魔導具や採掘に使う道具の実験に使う場所だ、そして何よりの研究対象でもある」


「実験場というのは分かるが、研究対象とはどういうことじゃ?」


 他のドワーフたちが既に指示されていたのか配置に就く中、長老がワシにそう教えてくれた。

 しかし、コレだけ広い場所だ実験場とうのは分かる、だが研究対象とは一体どういうことなのだろうか。


「見ての通り、ここは人の手が入っている、だがここ周辺の岩はツルハシをどれだけ長い間打ち付けようとも傷一つ入らない、硬い、硬すぎる岩でできている。だというのにここはその岩を削って造っている、当然誰かやった訳だが、それにどういう技術や導具が使われたのか、一切伝わっておらんのだ」


「なるほどのぉ」


「先ほどまでの通路や、我々が住んでいる街も同じ技術で造られている。死者の、いや地上へと続く扉と共に我々が長い間ここを離れない理由の一つでもある」


「ふむ」


 確かに扉だけならば、どうせ開けられないし壊せもしないのだからと、街に住むドワーフたちのことを考えるならば逃げても良かったはず。

 いや、街の規模からみてそして侵攻してきているドワーフよりも倍する人口があるというのならば、研究対象があるからなど関係なく動けなくても致し方ないか。

 地上に比べて、いや、比べるのも烏滸がましいほど住める場所は限定されているのだから。

 

「して、ここに蜘蛛どもを呼び寄せるんじゃったな?」


「あぁ、そうだ」


「どうやって呼び込むのじゃ?」


「それはアレを使う」


 長老が正面を指差すが、そこには既に盾を持ったドワーフたちがズラリと並んでおり、そこには特に何か目を引く行動をしている者はおらずワシは首を傾げる。


「あぁ、すまん、あの盾持ちの向こうでな、呼び寄せる準備をしている」


「ほう、ではちと上から見てみるかの」


 ドワーフたちはワシより小さいが、盾は上背があるので見通せない、しかし長老は盾よりも大きいので問題なく見えたのだろう。

 それを理解し説明してくれたのだが、言われたからには直接見たいと上を確認し、遮るものが無いのを確認するとひょいと跳びあがり回廊の手すりへと着地しそのままそこに座り、長老が指さした方を眺める。

 そこでは丁度二人のドワーフがワシらの正面にあった扉を開いているところで、開く扉の前には何やら一升瓶くらいの大きさの筒を掲げたドワーフの姿がある。

 その筒を掲げたドワーフがちらりと何かを確認するように振り返れば、長老が「やれ!」と短く鋭い号令を発する。

 長老の発した声に筒を掲げたドワーフは扉を開けていたドワーフたちと頷き合うと、開いた扉の先に掲げていた筒を思いっきり投げ込み、投げるのが早いか踵を返すが早いかという勢いで戻って来る。

 そしてワシの耳に、小さくカシャンと何かが割れる音が聞こえたのだった……

 

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