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公認偽勇者  作者: 溝野魅苑


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30/35

30.アップデート終了

「おーい!終わったぞー。ジュード!あと頼むわ!」

サウティシアのリミッターの改修を終えたロッドの声がした。

「ぁーぃ…。」

馬車の中からはか細いジュードの声。あれから3日が経つが魔力酔いは治らずジュードは寝たままだった。

「おい…ジュード、大丈夫なのか?」

「ぅん…だ、だいじょぶ。」

俺が馬車の中を覗き込むとジュードは大きな上半身を起こしていた。

「もう少し休んでてもいいんだぞ?急ぐ仕事でもないし。」

「…ぃゃ。むしろ今すぐやりたい。」

そういって立ち上がったジュードの周囲の空気がゆらっと歪んだ。

「あ?」

魔力が体から溢れ出ている?

「はぁ…兄ちゃん、離れてた方がいいよ。」

そういうとジュードはよろよろと馬車を降りてリミッターに向かって歩いて行った。

「わあっ!ジュード、大丈夫?なんかやばそうな匂いしてるけど…。」

少し離れてジュードの後をついていくと、ロッドの驚きの声が聞こえた。

「どんな匂いなんだ?」

追いついた俺はロッドに聞いた。

「んー…なんだろ?前よりもっと魔物と近くなってるって感じ。」

ちょっと体の中の魔力が大きくなるだけで俺の可愛い弟は人間から離れて行ってしまうのか、そう思うと胸が痛んだ。

溜め込んでいたジュードの魔力の放出は、ウェティシアで俺も初めて見たあの時の力の放出よりも、さらに大きなものだった。あの時だって、ジュードの体は全身が炎に包まれ、姿は巨大な獣のような、魔物のような、人間離れしたものに変わっていたが、さらに大きく禍々しいものとなり、心なしか炎が輪郭としてはっきりしているように感じた。ただの燃え盛る火口のような赤い目を見ていると、このまま戻ってこれなかったら…と不安が過る。そんな俺の不安を感じたのか、ジュードはチラッとこちらを見て頷いた。大丈夫!ちゃんと俺の弟、ジュードだ。俺は親指を立てて応えた。リミッターに魔力の青白い炎が全て吸い込まれていくと、そこにはジュードが立っていた。

「ジュード?」

俺は恐る恐る声をかけた。

「終わったよー。」

力の抜けた返事と笑顔は間違いなくいつものジュードだった。

「あーーーーー!よかったーーーーー!」

俺は心底ほっとしてジュードを抱きしめた。

「心配かけてごめんね。」

「謝んな!何もできないんだから心配くらいさせろ!」

ジュードは笑った。

「お腹空いたね。」

「よし!東に向かう前になんか食ってこーぜ!」

「一泊して行かないかね?」

俺達の様子を見ていたミリアムさんが口を挟んだ。

「え?何で?」

ミリアムさんはニンマリ笑って口元で軽く握った手を動かした。

「もしかして…酒?」

「友人がやってるいいバーがあるんだ。」

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