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work005 パノラマ

(皆さんごきげんよう、ヒエスです。


私は今、馬車を走らせています。そうです御者ぎょしゃです。御者とは、馬車の前部にある「御者台ぎょしゃだい」に座って手綱を捌く人を指します。テュノン様がアイサ国を訪問されるということで、港まで御者をするという大役を務めることにぃーーー!!??えっ、待って!ちょ、ちょ、ちょ、ちょ、ちょ、ちょ!て、ててて天使!天使が飛んでいます!!私の左斜め上空!近い!近い!近い!あっ...ちょっと、天使が減速後退して、見えなくーーーいやだ!やだ!やだ!やだ!いかないで!!)


ヒエスの"推し能力"はまさに発展途上!

推しへの真っ直ぐな想いが力となり!

この困難な現状を打破すべく...新たな能力が開花した!!


―――エキウス・レンズ!!


「馬は真後ろ以外が見えているようだ」――誰もが知っている世界のことわり。だが、その当たり前の光景を「光の屈折現象」として捉え直した者は、ヒエスの他にいないだろう。


かつて魔導写真機のプロトタイプを製作した際、彼女は「レンズ」という概念を自らの魔力で具現化した経験があった。光を集め、結像させるという光学の基礎。それを応用し、今度は情報の「入力範囲」そのものを書き換える。それを、推しが見たいという想いだけで無意識に実現した。


首を動かさず、水平約350度の視界を確保。正面を向いたまま、左右の真横から後方までを一挙に視覚情報として受容。死角を真後ろのわずか10度のみに限定し、全方位の対象をリアルタイムで捕捉。


(見えた!

あ!ああああ、なんか、ビリビリがたくさん!テュノン様の御手手おててから雷が!!?天使!雷!テュノン様の御尊顔が!あぁぁぁ全部見えます見えてますよ!これが馬の視野角なんですか?!舐めてた!分かりますかこれ、本来なら御者として前方を注視しなきゃいけないから背後のテュノン様の尊い仕草なんて拝めるはずがないのに今の私は前を見ながら同時に背後の天使もハッキリくっきりと!あぁぁ情報量が多すぎてでも止められない!この一瞬すらも目に焼き付けて永久保存版としてッ.........!!!!!)



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