2 送還
瞬きの後、紅蓮は花守の部屋にいた。
「座ってなー。あんたの部屋じゃ落ち着いて話もできんし。」
花守が言いながらキッチンへ消えた。
夜天が紅蓮の手を引いてソファへ向かう。
白いソファとティーテーブル。
ピンクのラグとクッション。
(アルダラの部屋みたいだ)
思った途端、ぼろっと涙が零れた。
夜天が手を伸ばし深紅を懸命に撫でる。
花守がミルクティーをことりと置いた。
「何があったのさ、紅蓮?」
花守がカップを片手に向かいに座る。
「推し変じゃなかったんだね、ごめん……」
夜天が髪を撫で続ける。
「推し変なんかするかー!!!」
紅蓮が吼えた。
三人は無言でミルクティーを口にした。
「つーかマジで何があったのさ?もう帰ってこないみたいな挨拶して行ったのにすぐ帰って来たと思ったら、紅蓮の魔力すげー弱っちくなっちゃうんだもん、めっちゃビビったわ。」
夜天がこくこくと頷く。
紅蓮は「あー……」と頭を掻いた。
ミルクティーを一口含んで口を開く。
「あっちでさー、レオン……王様達が反乱軍と戦争してたんだよ。あたしはその助っ人しててさ。んで、反乱軍が『亡者』っていう位相の狭間に落ちた奴らと手を組んだんけど結局乗っ取られちゃってさ。」
紅蓮が言葉をはたりと切って夜天を見た。
夜天が夜色の髪を揺らしてこてんと首を傾げる。
「夜天!お前のせいだかんな!!!」
紅蓮の叫びに夜天が夜色の目をぱちくりさせた。
「お前、吸血鬼と戦った時『浄化』しなかっただろ!」
「吸血鬼……浄化……」
たっぷり五秒考えて、夜天の顎ががくんと落ちた。
「あ。あああああ!しなかった……!
『グラヴィテ(重力魔法)』で『ぷちっとな』して、そのまんまだった……!」
「そいつが『狭間』に落ちて亡者を操って反乱軍をゾンビにしちゃったんだぞ!そのせいであたし強制送還されたんだかんな!」
「わ、私の……せい……」
「ちょっと待ったー。なんでゾンビで強制送還?」
「えーっと、レオンが言うには、亡者って自我のない餓鬼みたいな存在なんだよ。けど、吸血鬼みたいな不死者は違うらしいんだ。狭間に落ちても自我があったし喋る事もできた。で、その吸血鬼と亡者の合いの子みたいになったヤツが言ってた。
『血を吸って力を取り戻してあのクソ忌々しい魔女の血を今度こそ吸ってやる』って。」
夜天がこくりと喉を鳴らした。
「あー、つまりぃ、そいつは夜天に復讐?するために反乱軍に取り入って乗っ取ったってことでOK?」
紅蓮がこくこくと頷いた。
「そんであたしが浄化して、レオンが次元の門の番人を召喚して亡者を送還した。その時……あたしも送還されちゃったんだよ!『不法入国』だって!!!」
「「……oh……」」




