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7 番人


紫紺の陽炎が渦を巻く中、紅蓮の炎は今や黄金の炎へと変わり、流星のように空から落ちて来る。

炎は夜を煌々と照らした。


吸血鬼もどきが凍り付く。

触手が止まった一瞬をアルダラは逃さない。

ダン!と踏み込み真っ向から斬り伏せる。

地に臥した身体から濁った魔力が這い出て

「オォオオン」と啼いた。


黄金の流星が啼き声を飲み込んだ。

地にぶつかり弾け燃え広がる。

触手がのたうち、やがて灰になる。

歪に捻じ曲がったゾンビ達も、また。


灰から黒い影のような亡者達が、ボコボコと立ち上がる。

そして大きな目玉がひとつ、ボコっと地面を割った。


「ヨバレテトビデテジャジャジャジャーン」


「すまんな。けどこれ見ろよ。」


目玉がぐるり、360度回転した。


「アー……『不死者』マヨイコムト、ロクナコト、ナイネ……」


「そういうわけで回収よろしく。」


目玉がカパっと縦に割れた。

中から輪郭がジジジと揺らいだ黒い手がにゅっと伸びる。

細長い手の平に、詠唱分の紫紺の魔石がごろんと乗っていた。


「フホウニュウコクハ、コチラノ、カンリフユキトドキ。オダイハ、フヨウ。」


王が首をぶんぶんと振った。


「呼び出した分の足代だ。只働きなどさせては我が名が廃る。」


目玉がクイっと傾いた。


「受け取れ。我はこれ以上不徳を積むわけにはいかんのだ。」


レオンヴァルドが言い募る。


「ソウイウコトナラ、マイドアリー」


ボコっと身体が現れた。

黒く細い、輪郭の崩れた身体から、ニョキニョキと腕が生えていく。


「カエルヨー」


腕がポイポイと亡者を摘み、縦に割れた目玉に放り込む。

その裂け目の奥で、あらゆる色彩を巻き込んだ渦が亡者を飲み込んでいった。


「ォォオン、オォオン」


怨嗟の声が泣き声のように響いた。

黒い腕がニョキニョキと伸びて、亡者たちを泣き声ごと回収して行った。


やがて、戦場から怨嗟が消えた。

目玉が王の前に戻ってくる。


「ご苦労様」


王の言葉に番人がひとつ頷く。


「コレデ、サイゴネ」


細い指が紅蓮を摘み上げた。


「「え?」」


レオンヴァルドと紅蓮が一音でハモる。


「レオーーーーーーン!!!」


紅蓮が今生の別れのように叫びレオンヴァルドに手を伸ばす。


「グレン!!!」


レオンヴァルドがその手に手を伸ばす。

そして紅蓮は目玉の中へポイされた。


「カイシュウ、カンリョウ」


目玉がボコっと地面に潜った。


レオンヴァルドがガクッと膝を突いた。


「そうだった……あいつも不法入国だった……」


傍らでアルダラが「Oh……」と頭を抱えた。




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