1 光
泣き疲れた紅蓮とあやし疲れたレオンヴァルドが眠りについたのは、空が白み始めた頃だった。
光が一度ふよふよと起こしに来たが、眠りこける二人を見てふよふよと戻って行った。
執務室のホワイトボードには
「おうさま ひばん」
と可愛らしい文字が書かれた。
奇しくもレオンヴァルドが初めて非番を全うできた、快挙の日となった。
日が傾いた頃、二人はボサボサの髪に腫れぼったい瞼をしぱしぱさせて、食堂に現れた。
グーグーキュルキュルと腹の虫を合唱させながら。
向かい合って座ると、十五歳球児の如く黙々とガツガツと飯を食らっていく。
積み上がっていく皿を、周囲は生ぬるーーーい目で見つめた。
(THE★ヘタレ)
城の総意であった。
二人が腹をさすりながら茶をズズっと啜った時に、警報がなった。
敵襲と館内放送が繰り返す。
あちあち言いながら茶を呷って、二人は玉座へ走った。
「中央平原砦より伝令!反乱軍が平原を進軍中です!」
玉座に着いたレオンヴァルドに即座に報告が上がる。
「なぜか全て歩兵で……何か様子がおかしいです。何というか……兵士らしくないんです、動きが」
戸惑いを滲ませる報告に、レオンヴァルドが片眉を上げた。
「ほう……?」
「それと、鬼人族が参戦しています。」
「ふむ……あいつらが反乱軍に付くのは想定内だが……なるほど、鬼人は魔力を持たぬ。理に適っておるな。」
レオンヴァルドが肘掛けを指でトントンと叩く。
「アルダラ、魔力なしで戦えて、夜目の利く者となると?」
「およそ半数かと」
「あたしが炎で照らすのは?」
紅蓮の言葉に王が首を振る。
「魔力を使えば其方が標的になる。下手をすれば炎が喰われる。」
「……照明弾なんて……」
「ないわねぇ」
「夜戦は想定外であるからな」
ホワイト社会の弊害であった。
「王様ー!王様ー!」
その時光たちがふよふよと寄ってきた。
「王様のお手伝い、するー!」「「「するー!」」」
「は……?いやお前ら……戦場だぞ!?」
「できるー!」「「「できるー!」」」
レオンヴァルドが頭を抱えた。
「レオ。理に適ってる。妖精族は魔力じゃない。精霊力よ?」
レオンヴァルドが呻いた。
「けどこいつらが狙われたら……」
「妖精死ななーい!」「「「死ななーい!」」」
「消えても生まれるー!」「「「生まれるー!」」」
レオンヴァルドが片手で頭を抱え、片手で肘掛けをトントンする音が続く。
やがて。
「……魔力なしで戦える者、総員出撃。妖精族は光を消して随行。合図で一斉に光れ。」
「応」の唱和が広間に響き渡った。




