表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅蓮の魔女  作者: 宵宮 詠
第5章
PR
30/54

6 真空パック


「ひょほほ、まったく手のかかる娘じゃわい。」


風谷が両手を広げると風が巻き起こった。

指を立て、くるんくるんと回すと、風が炎を巻き込んで紅蓮へと巻き付いていく。


「ほーれほれほれ、ちゃんと収めんと塵になるぞい?飲み込め飲み込め、ひょほほ」


「ぐぬぬ……!」


あの日と同じだった。

紅蓮が魔力を暴走させ魔女になったあの日と。

「ひょほほ」さえ同じだった。殺意が湧いた。

紅蓮は歯噛みをしながら必死に炎をその身に飲み込んだ。


「だから言ったんじゃ。魔力制御の訓練をしておけと。」


「だってこっちで全力出せる事なんてなかったもん!」


「言い訳無用じゃ」


最後の炎が紅蓮の身に帰った。

ばふん!と風が紅蓮を密封した。真空パックだった。長期保存可能だった。けれど息はできなかった。保存の前に召されると思った。


「おい!息してないぞ!?」


「死なん死なん。ちぃと安定させとるだけじゃ。空気がなきゃあ燃えられんじゃろ?」


科学的根拠があった。けれど魔術的根拠ではなかった。紅蓮が白目を剥いた。「ひょほ」と聞こえて風が解けた。


「グレン!」


レオンヴァルドが駆け寄り抱き寄せようとしたその脇を、一陣の風が吹き抜けた。いや、灰色の魔女だった。見た目に似合わず俊敏だった。


「こんの、馬鹿娘ぇぇぇえええ!」


ごちんと音がして紅蓮が頭を抱えた。


「暴力はんたーい……」


「やかましい!ワルプルギスをサボるなんざ魔女の風上にも置けないよ!」


「だってちょっと『裏』に迷い込んじゃってて……」


「宵森の『光』が届いたのだ。転移で戻れただろう。」


「わぁっ!迷宮!シーっ!シーっ!」


レオンヴァルドがジロリと睨んだ。

紅蓮がきゅぅと身を縮めた。


「帰り方がわからない、と言うのは嘘か。」


美声が一際低音になった。

紅蓮が「はぅっ!」と胸を押さえた。


「うわぁ……紅蓮ブレないのなー?イケボにやられて帰りたくなかったってわけー?」


「うっさい花守!」


「紅蓮も美しいもの好き同好会だね!」


「あたしは夜天みたいに見境なくないから!

イケメンとイケボ限定だから!」


「ぐはっ!」そのセリフはなぜか夜天に効いた。

「ぐふっ!」流れ弾はレオンヴァルドに効いた。


負傷者二名を尻目に、琥珀色の魔女が口を開いた。


「紅蓮、お前はもう座標で跳ぶな。」


「迷宮!たまにだよ!?たまに計算間違うだけだよ!?」


「計算間違いで『裏』に迷い込む者などお前だけだ。夜天を見習え。はなから座標を諦めている。」


「夜天は座標じゃイメージできないからだろ!?たまに計算間違うのと一緒にしないで!!!」


「ぐはっ!」再び夜天が被弾する。


「迷宮の言う通りよ?紅蓮、夜天の潔さを見習いなさいな。」


「祈りまで……」


紅蓮が涙目になった。

夜天は瀕死だった。


「……グレンも元気になったようだし、我はこれで失礼しよう」


レオンヴァルドが最後まで言えた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ