表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅蓮の魔女  作者: 宵宮 詠
第1章
PR
3/25

3 出会い?


「……えーっと?ここはガルディアの『魅惑の食彩亭』では……???」


「……ないな。」


王の低音の美声が、紅蓮の身体の芯を震わせた。


「はぅっ!!!」


紅蓮が胸を押さえたと同時に「ジャキーン!」と紫紺色の刃がくうに現れ、ぐるり四方八方から紅蓮に向けられる。


「わわわわわ!?

ちょちょ、ちょっと待ったぁーーー!!!」


紅蓮が慌てて両手を掲げる。

王の目が物騒に細められた。


「……この城に転移してくるなど……貴様何者だ。

ドルクの手先か。」


紅蓮は深紅の髪が残像を引くほど首を振る。


「ド、ドルクなんて知り合いいないから!

あたしはちょっと転移に失敗しただけの魔術師で……」


「一介の魔術師がスタッフオンリー扉をくぐれるわけがなかろう。」


「そ、そう言えばそんな札、見たような見なかったような……」


王が額を押さえた。


「あ、あたしは!『烈火の魔術師』って呼ばれてるA級冒険者で!」


王の目がキラリと光り、ジャキン!と威嚇するかのように刃が鳴った。

紅蓮は、はふ、とため息を吐いた。


「……『紅蓮の魔女』。

これがあたしのほんとの名前……。」


紫紺が大きく見開かれる。


「……『表』の、魔女か。」


「……え、ここ『裏』なの!?え、待って待って!?」


紅蓮は今更ながらあたりを見回し、

玉座に腰掛けるその姿をまじまじと眺める。

どくん、と鼓動が跳ねた。


首筋と額に落ち掛かる艶やかな紫紺の髪。

寄せられた眉根と、その下の鋭利な紫紺の瞳。

煌びやかではなくとも一見して上質とわかる、黒い軍服風の上下。

肩から玉座に添い、床ギリギリに流れ落ちる、深い深い紫紺のマント。


こくりと紅蓮の喉が鳴った。


「魔王……?」


紫紺が口元を歪める。


「そう呼ぶのは表の者だけだが、な。」


美低音のニヒルな響きに、紅蓮は胸を押さえて切なげに眉を寄せた。

ああ、鼓動が早い。


「……恐れずとも良い。間違えただけならくとね。さすれば命は取らんでやろう。」


紅蓮はまたぶんぶんと首を振る。


「……か、か、帰り方がわかりません……!」


思わず口から、飛び出た。


「は?」


紅蓮はあわあわと言い訳を考える。


「そ、それに!魔力が足りない……」


言うと、何やら本当に眩暈がした。


「あ、れれ……?」


紅蓮の身体が、ゆっくりとかしいで行く。


「嘘だろおい!!!」


慌てる紫紺が視界に薄らと映る。


(はー、崩れた王様、尊し……)


思いながら紅蓮の意識はフェイドアウトした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ