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紅蓮の魔女  作者: 宵宮 詠
第4章
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5 暴走


いつまでそうしていたのかわからなかった。

やがて『風谷』が現れ魔力の制御を手助けしてくれた。その時は知らない爺さんだと思ったけれど。


風谷は風を操り紅蓮に炎を巻き戻していった。


「ちゃんと収めんと弟妹が焼けるぞい」


飄々と言われ殴りたくなった。

紅蓮は必死に炎を身の内に飲み込んだ。

最後の炎を飲み込むと、風が紅蓮を取り巻き、ふわりと抱きしめて消えた。

風谷は「ひょほほ」と笑っていて、やっぱり殴りたいと思った。


紅蓮が炎を収め、やっと弟妹を離した時、五つの光が現れた。

銀、白、琥珀、桃染つきそめ、水色。

五色の光は紅蓮の周りをくるくると回り、

風谷が言った。


「紅蓮の魔女よ、『我、新しき同胞の誕生を寿ことほぎ、その福を祈る者なり』」



紅蓮は思い出す。

水色は、今はもういない魔女だ。

魔力を還し、塵になった魔女。

そっと手の平に視線を落とす。

目を閉じて魔力を操ってみた。

どうしても収まりきらない炎がゆらゆらと揺らめいた。


まあ、いいか。


ふと紅蓮は思った。


炎なんて戦場でしか役に立たないし。

全力を出せる事もそうないし。

王様の役に、立てたし。

……アルダラ、助かったかな……



「グレン!!!」


低音美声が聞こえたような気がした。


「グレン!!!」


もう一度聞こえた。


「王様!?」


紅蓮はバッと振り向いた。

炎が尾を引いた。


「グレン!」


レオンヴァルドが駆け寄って来る。


「来ちゃダメだ!」


紅蓮の声にその足が止まった。


「アルダラは?」


「命に別状はない。それよりお前……」


「良かった、王様の大事な人守れて。」


「……いやまあ……古い付き合いだし信頼できる部下だが……それよりお前……」


「兵達もできるだけ守ったよ」


「ああ、感謝する。それより……」


「王様の役に立てて……「いいから聞け!!!」


紅蓮は目を瞬かせて王を見た。


「そんな事よりお前だグレン!その炎はなんだ!収められないのか!?」


ふへ、と紅蓮は笑った。


レオンヴァルドは息を呑んだ。

目尻を下げて間抜けに笑う紅蓮が、

消えてしまいそうだと思った。

一足、踏み出していた。


「駄目だレオン、来るな!!!」


紅蓮が叫んでいる。

耳に入れながらもその足は止まらなかった。

あの炎を掴まえておかなければいけなかった。

レオンヴァルドが腕を伸ばす。


「駄目!!!」


(王様燃やしちゃダメ、絶対!!!)


手が届いた瞬間、シュン、と炎が消えた。


(推しへの愛って凄い……)


ふへ、と笑ったら視界が揺れた。

そんな紅蓮をレオンヴァルドが掻き抱く。


「グレン!!!」


(推しのハグ、だと……!?)


紅蓮は尊死した。


「グレン、死ぬな!!!」


叫んだレオンヴァルドは城へと跳んだ。





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