6 悪寒
その後も、紅蓮&二人三脚&三位一体組は空爆を続けた。
ランダムに日を空け、場所も時間も変えて。
二度目はさすがに障壁が張られていた。
が、紅蓮があっさりと壊して回る。
三度目、見張りが立っていた。
が、気づくと同時に放たれる紅蓮の炎と、それを追って降り注ぐ魔法。
警鐘が鳴る時には既に消えている一団に、彼らはなす術もなかった。
四度、五度と空爆は成果を重ねた。
そして六度目、いつも通りに一団は転移した。
(蟻の気配がない)
背後で二人三脚&三位一体達が瞬時に魔力を練り上げる。
紅蓮はぶわりと総毛立った。
「退け!!!」
一団は掻き消えた。
城の訓練場に空爆隊が現れる。
二班、三班の長が駆け寄った。
「グレン殿何が!?」
「姐御、どうしやした!?」
紅蓮は「ふむ」と腕を組む。
「という事は、そっちはいつも通りだったんだね。」
二人は揃って頷く。紅蓮は続けた。
「こっちは異変があった。将軍に王様のところに来るように伝えて。」
紅蓮はマントを翻し、玉座の間へ向かう。
空の玉座を目にしてそのまま広間を突っ切り執務室へと早足で進んだ。
敬礼する衛兵に頷き返し、ノックもなしにバン!と扉を開ける。
レオンヴァルドは頭痛を堪える様な面持ちで紅蓮を見遣った。
「ノックぐらいし「王様!!!」
レオンヴァルドの小言はカットインされた。
「王様聞いて!なんか変「入るわよ」
ノックなし勢がカットインする。
「「「……」」」
妙な沈黙を破ったのは紅蓮だった。
「二人共聞いて。今日の空爆は撤退して来た。
障壁も見張りもいなかった。蟻……じゃなくて人の気配もなかった。
それで、空爆隊の魔力が練り上がった途端、
背中がぞわぞわっとした。」
「典医を呼べ、体温計を!「「そうじゃない」」
レオンヴァルドが咳払いをした。
「他の二班の転移先はいつも通りだったらしい。敵さんの戦力で、何か思い当たる事はある?」
「そうねぇ……なんらかの罠が張られていた。
おそらく魔力感知がトリガー、かしら?
グレンの勘がそれを察知した、って事でしょうけど……」
アルダラが顎に手を当て考え込む。
長い睫毛が憂えるように影を落とし、
紅蓮は束の間目を奪われる。
そして、レオンヴァルドの声にハッと我に返った。
「楽観視すれば、全てが『偶々』だったとも言える。偶々、その砦が廃棄されていた。
グレンの悪寒も風邪の引き始めかもしれない。」
まだどこか気遣わしげな視線に紅蓮はぷるぷると首を振る。
「が、最悪を想定するなら、『魔力感知で発動する罠が仕掛けられていた』だ。しかも砦を放棄するほどのヤバい奴がな。……グレン、撤退の判断見事だった。」
「え、いや、そんな……」
もじもじする紅蓮に構わず王は続ける。
「そして、他の砦はいつも通りだった。ならばその罠はまだ安定して運用出来ない可能性が高い。……そこが安心材料でもあり恐ろしくもあるな。」
「未知の、制御しきれていないヤバい力、ね」
アルダラがぽつりと呟いた。




