5 空爆
「ところでさ、この撹乱、続けたらどれぐらいで敵さんブチ切れると思う?」
紅蓮はおもむろに話題を変えた。
アルダラが頬に指を当て小首を傾げる。
「……そうねぇ。おそらく有能な参謀がいる。
としても、二週間に千点。」
レオンヴァルドが重々しく首肯する。
「ドルクだからな。更に倍。」
「……おこりんぼさんなんだね……」
こくこくとシンクロする紫紺と漆黒に苦笑して、次にその笑みが不敵に変わる。
「じゃあ精々引っ掻き回してやろう。良からぬ企みもできないぐらい、カッカすると良い。」
紅蓮と二人三脚&三位一体達は跳んだ。
きちんと計算された座標へと。
アルダラは結局留守番だ。
曰く、「なんかもう良くなっちゃった」らしい。
紅蓮達一団は、古い砦の上空に出た。
斥候達のお陰で、どの二人三脚と三位一体が
どこを狙うかは確認済みだ。
紅蓮が片手を高々と掲げ、振り下ろす。
「撃て!!!」
号令は、紅蓮が持たせた深紅の光を通じて他の二班へも響き渡る。
色とりどりの光が空を裂き、砦のあちらこちらへと吸い込まれるように着弾する。
ドォオオオオン!と轟音が空気を震わせ、地上から幾筋もの煙が上がる。
「退け!」
再び紅蓮の号令が響く。
二人三脚&三位一体達は掻き消えた。
紅蓮のみが高度を取り、煙の収まった砦の様子を眺めていた。
わらわらと砦から飛び出してくる敵兵達。
「人が蟻のようだ……」
呟いた紅蓮は、満足そうに頷き
「テレポルタティオ」
城へと跳んだ。
「おかえり、グレン。」
「ただいま戻りました、アルダラ将軍。」
紅蓮がビシッと敬礼する。
アルダラはけらけらと笑い
「やめてよそういうの。指揮下には入っても、あなたは陛下直属よ?いつも通りでいいってば。」
べちんと肩を叩かれて、紅蓮はよろめいた。
「して、首尾は。」
低い美声が響く。紅蓮は心もよろめいた。
「……上々。敵さんまるで、巣を突かれた蟻みたいだったよ!砦自体は大きく壊せたわけじゃないけど、むしろこうして削っていく方がいやらしくて良いんじゃないかな。」
「ドルクの顔が目に浮かぶわねぇ」
アルダラが、くくっと悪い笑みを浮かべる。
レオンヴァルドが大きく頷き、続ける。
「真っ赤になって地団駄を踏んでいるだろう。」
紅蓮の脳裏にふと宵森の姿が浮かぶ。
ぶんぶんと頭を振ってそれを追い出した。




