2 ホワイト企業
「問題は他の部族だな。」
レオンヴァルドの言葉にアルダラが頷く。
「元々反乱軍寄りの鬼人族はあちらさんと手を組むでしょうね。それは織り込み済みとして、頭が痛いのは獣人族だわ。」
紅蓮がじっと見つめている事に気づいたアルダラが言葉を足す。
「獣人族と言っても色々な種族が混じっていて、一枚岩では決してないのよ。」
「戦闘能力の高い獣人は我が軍でも要職についている。それらの部族が竜人族のように協定を結べば、なかなかの打撃ではある。」
レオンヴァルドが言葉を引き取った。
「大丈夫よ。耳でも尻尾でも切ってくるわ、あいつらは。」
アルダラがひょいと肩を竦め、レオンヴァルドが苦笑する。
「それより文官達よ。あの雑多な種族の内のどこかがドルクにつけば、わたし達は身の内に虫を飼う事になる。」
「……さて、どう転ぶものやら……」
レオンヴァルドが溜息を吐いた時、紅蓮が声を上げた。
「それ、待ってなきゃ駄目?」
紫紺と翡翠を受け止めながら言葉を続ける。
「反乱軍の拠点がわかってるなら、待ってないで先に叩こうよ。それだけ雑多な相手と交渉するのは向こうさんだって大変でしょ?
そんな余裕なくしてあげようよ。」
「拠点は幾つかは判明しているが、本丸が何処かはわからんぞ。」
「本丸じゃなくたって良いさ。
とにかく引っ掻き回してやれば良い。
向こうが余裕を失くして、こっちが優位に見えれば充分じゃない?」
「……確かに、他部族への牽制にもなるわね。」
紅蓮は我が意を得たりと頷く。
「ただ、向こうの本丸が不明な状況でこちらの戦力をあまり分散させるのは……」
レオンヴァルドの言葉に紅蓮はにやりと笑った。
「奇襲だよ。『空爆』だ。」
「「空爆」」
綺麗にハモった二つの声に紅蓮はちょっぴり鼻に皺を寄せる。それも一瞬、深紅をキラリと輝かせて口にする。
「夜陰に乗じて空爆奇襲作戦。」
レオンヴァルドとアルダラが、あんぐりと口を開けた。
「……あれ。定石だと思ったけど……駄目だった???」
紅蓮はこてんて首を傾げる。
レオンヴァルドが重々しく口を開く。
「……それは、『時間外労働』ではないか。」
紅蓮があんぐりと口を開ける番だった。




