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第五章 そうちゃんって、聞き上手だよね。

家の最寄り駅で、電車を降りた。

改札を抜け、階段を降りると、見慣れた黒い車。

私はまっすぐその車に向かった。

助手席の窓を、コツコツと叩いた。


私に気づき、ニコッと笑って「おかえり!」と、そうちゃんが笑った。

私は手を振り、車のドアを開け乗り込んだ。

「お疲れ!!!すー!」

そうちゃんはテンション高く言った。

「ありがとう!」

私も、そうちゃんのテンションに釣られた。

すると、「出来たの?」と後部座席からりっくんがぬっと顔を出した。

「うわ!びっくりした!いたの。」

「居るでしょ〜、受験が終わったお姉様のお迎えに、俺が行かないわけにはいかない。」

「いや、あんた乗ってるだけでしょ?」

りっくんはふふんっと鼻で笑って、私に手のひらを見せた。

そうちゃんが、車を走らせた。

「え?なに?」

わけがわからず、私はりっくんの顔を見た。

「入試問題。見せて。」

「は?」


それが狙いじゃないか。

でも、今の私は受験からの解放感と、みんなへの感謝の気持ちで溢れた、海よりも深く広い心を持っている。りっくんのちょっと失礼な態度も、水に?いや、波に?でも流してあげよう。


私はカバンから、冊子を取り出して、りっくんに渡した。

「俺も第一志望はR付属だからなぁ〜。すっちゃんみたいにガリガリ勉強漬けにならない様に、今のうちに勉強しとかないとなぁー。」

そう言いながら、りっくんは問題用紙を受けとり、座席にもたれた。

「まだ自己採点してないから、ちゃんと返してよね?」

「ついでにやってあげるよ。どれどれ〜。」

後ろから、パラパラと紙の音がする。

「え!!2問目間違ってんじゃん!!落ちてるんじゃないの〜?」

りっくんは、そう言って「あっはっは。」と声をあげて笑った。


前言撤回。家に着いたらシメてやる。


「2人とも、ママの学校を受けようとは思わないんだなぁ〜。」

そうちゃんが、運転しながら言った。

「いや、ママの学校どこか知らないけど。」

私はそうちゃんの横顔に言った。

「あの感じは、大した学校じゃないんでしょ。」

りっくんの声が後ろから飛んできた。

すると、そうちゃんが「え?!」と驚きながら言った。

「いや、ママはM西だよ?」

「「えぇ?!?!」」

私とりっくんは身を乗り出した。

M西高校は、私の地元では1番学力の高い進学校だ。

「しかも、大学は早稲田だしね。」

「「えぇえぇ?!?!」」

私とりっくんは、唖然とした。

「すーもりくも、ママ譲りで賢くて良かったなぁ〜。」

そうちゃんは、あっけらかんと言った。


私は後ろを振り向き、りっくんを見た。

りっくんも私を見た。


『ママの事はいいから!!』


あれは、そっちの、いいからだったのか…


私とりっくんは思った。

第五章、無事完結出来ました。

大輝とすっちゃんの受験一色となってしまいましたが、子ども時代の特に、高校受験というのは、自分の人生を決める最初の勝負。

すっちゃんは、ちゃんと頑張れる子でした。


ちなみに、音金先生こと、オトヤンは、私の中学の頃に生徒から人気だった先生がモデルでした。笑


次から第六章に入ります。

この章は、ママとおじいちゃんの関係をすっちゃん目線で明かしていきたいと思っています。


読んでいただけると、嬉しいです。

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