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第四章 そうちゃんって、弱虫だよね。

電話が鳴り始める。


プルルルル


心臓の音が大きい。


プルルルル


口まで乾いて来た。


プルルルル


次出なかったら、切ろう!!


プル… 『もしもし?』


出ちゃったぁぁあ。


『もしもーし。』


「あ…あの…わた」『すみれちゃん??』


「あ、はい。そうです。」

『やっと電話きた〜。もう来ないんだと思ってた〜』

そう言って先輩は笑った。


電話だとこんな声なんだ……


「あの。あのですね、先輩。今、どこにいますか?」


何を言い出してるんだろ私。


『今?もうすぐ家だけど?』

「少し、会えませんか?!」


何を言ってるの私ー!!


『いいよ?そっち行くよ。待ってて。』

「はい、わかりました。待ってます。」


ガチャ。



まだ胸がバクバクしてる。

私、会って何話すの??

何話したらいいの??


とりあえず、

前髪をとかして、リップを塗って、

一つに結んでいた髪を下ろした。


鏡に映る自分に、ガッツポーズ。

特に意味はない。



玄関を出て、階段を降りるとちょうど遠くから、

東堂先輩が歩いてきた。



私に気づき、手を振った。

私も手を振った。



「どうしたの?」

爽やかに笑う先輩。


かっこいいなぁ……


「いや、あの…うーん。特に理由は…」

「そうなの?でも、俺も会いたかったから嬉しい。」



オレモアイタカッタ?



胸がいっぱいで、

返答できない。



「…なんか、聞きました。萌香先輩のこと………」

とりあえず、絞り出した。


「あぁ〜。はは。うんうん。萌香は友達だよ。」

「そうですか…」

「それにさ、好きな人いるから、おれ。」

「…そうなんですね…」


少し間が出来た。


「誰か気にならない??」

「え?!」

先輩が私の顔を覗き込む。

「気になります…ね。」


先輩はフーッと息を吐いた。


そして、真面目な顔。


真っ直ぐ私を見つめる瞳は、少し潤んでいた。



「すみれちゃん。

俺と付き合ってくれませんか?」



顔が熱くなっていくのがわかった。

嬉しさが溢れ出ないように、必死で抑えた。



「……はい。お願いします。」



先輩と少し立ち話をして、家に戻った。

家の中は薄暗くなっていた。


机の上には、クリームがついたお皿が残っていた。


私はそれを眺めた。


先輩と付き合う事になった。

すごく嬉しいはずなのに、心の晴れない感じ…


その原因を私はもう分かっている。


私はお皿を片付けもせず、玄関を飛び出した。


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