第四章 そうちゃんって、弱虫だよね。
こんなに憂鬱な朝はない。
休んでしまおうか。
でもな…….
色々考えたが…
ベットから起きることにした。
冷たい水で顔を濡らし、
ペパーミントの歯磨き粉を使った。
制服に袖を通しても、憂鬱は消えなかった。
こんなに憂鬱なのに。
こんな時に限って、
大好きなフレンチトースト…。
こんな時でも………美味しい。
ムカつく。
「すっちゃん、きな粉とメープルどっちにする?」
こんな時に限って、りっくんは気がきく。
「メープル。」
りっくんが、冷蔵庫から持って来て、かけてくれた。
お腹が満たされたら、憂鬱が少し減った。
ほんの少し。
「行ってきます。」と呟くと
「すみれ?」ママが声をかけた。
ママの方を見る。
ママはニコッと笑って、私の前髪を撫でた。
「今日はシュークリーム買って帰ってくるから。
真っ直ぐ帰っておいでね。」
また、少し憂鬱が減った。
「…わかった。行ってきます。」
軽く息を吐いて、私は玄関を出た。
教室に入ると、カコが駆け寄って来た。
「昨日大丈夫だった?
しばらく待ってたんだけど、なかなか出てこないから。先帰ってごめんね。」
「ううん、いいよ。カコん家門限あるじゃん?」
「…東堂先輩の事でなんか言われたんでしょ?」
「何で、わかるの?」
「みんなで何の話だろって言ってたら、バスケ部の子達が、萌香先輩が東堂先輩の事狙ってるって。
東堂先輩の事かっこいいって言ってた子が、呼び出された事あるらしい。」
「あー…他にも被害者がいたのね。」
「そう言う事みたい。」
「まぁ、もういい。私は離脱する。」
「…でも、すっちゃん。好きなんじゃ…」
「恋愛より、人間関係の方が今の私には大事かも。」
これは本心だった。
「そうだね。でも、あー!!!ムカつくね?!」
急に怒り出したカコに焦る。
「すっごいムカつくよね?!
彼女じゃないんだよ?!好きなだけ!
ちょっと可愛いからってさ?!なんなの?!」
「萌香先輩はちょっとじゃない。
めっちゃ可愛い。」
「まぁ、そうなんだけど、
もったいないよね!可愛いのに、性格が…」
私とカコは目を合わせて、笑った。
カコ、ありがとう。
心の中でつぶやいた。
放課後、部室に行くと、先輩達が居た。
どうせスルーだが、一応「こんにちは」と挨拶。
すると、
「おつかれ〜」と。
…え?
え?
ゆっくり振り返る。
何事もないような先輩達。
何が起きてる???
よく分からないまま、着替えた。
そして、その日の部活は、
平穏だった。
練習中、たびたびカコと目を合わせ、
2人で首を傾げた。
練習を終え、部室から出ると、
「萌香!待ってるよ!!!」
「あ、本当だ!じゃあ、いくね!」
萌香先輩は…
東堂先輩…
じゃない男の先輩と手を繋いで帰って行った。
はい?
「え??何が起きてるの?」
カコが代弁してくれた。
「分からない………」
すると、後ろで1人の先輩が、
「え?!萌香彼氏できたの?!
大輝じゃないじゃん!」
「昨日さ、あの後大輝ん家行ったんだよ萌香。
そんで、告ったけど振られたの!
でも、その帰り道に岡崎から電話が来て、
告られてて!付き合うことになったんだよ。」
えぇ〜〜〜???
「誰でもいいんかい。」
カコが毒づいた。
カコ…私の代わりにありがとうよ。
私は…とりあえず、真っ直ぐ家に帰った。
ママは本当にシュークリームを買って来てた。
それを無心で食べた。
考えていたのは、東堂先輩の事。
萌香先輩が振られて。
もう他に彼氏がいる…
これって、つまりどう言う事?
もう東堂先輩は、どうでもいいって事??
「すみれ、今日、りっくん歯医者だから留守番しといて?」
「え?!なにそれ聞いてない!」
「言ってないもん。ほら行くよ。」
「痛い事ない?!」
「知らない。」
「こないだの歯科検診、虫歯なかったよ?!」
「なら、無いんじゃない?」
2人はそのまま家を出て行った。
ちびちびとシュークリームを
食べていると、
ハッとした。
電話………
残りのシュークリームを口に放り込んだ。
口からはみ出たクリームを、舌でぺろっと舐めながら、生徒手帳を出した。
東堂先輩のケー番……
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震える手でダイヤルを押した。




