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第四章 そうちゃんって、弱虫だよね。

「この広い。この広い。


大空に。」


涙涙のホームルームを終え、

友達のランドセルや卒業アルバムにメッセージ書いた。


黒板には「卒業おめでとう」


マナミとハッツンと別れ、校舎を出た。


ママとりっくんと、そうちゃんが待ってた。


「中学もみんな一緒なんでしょ?」

泣きっ面の私をりっくんは笑った。


「ハッツンは私立だから、いないもん!」


ママとそうちゃんは後ろから着いてきた。


校門の前で、写真を撮った。

私とママとりっくん。

カメラマンはそうちゃん。


そうちゃんは映らない。

いつもの事。


春休みはマナミとハッツンと毎日遊んだ。

お泊まり会もした。

ずっと3人仲良しと思ってたけど、そうでもなかった。


ハッツンは他校の吹部。マナミは陸上部。

私はバレー部に入った。


友達が変わると、自然と会わなくなった。




比較的身長が高かった私は、

見た目だけは、出来そうな選手だった。


だから、人数不足のバレー部では

見掛け倒しのレギュラーだった。



でも、試合が始まってすぐバレるの。

だって、ボールを避けちゃうから。

アウトだったらラッキー。


先輩たちはむちゃくちゃ怖い。

これが中学の上下関係。

運動部に入った事を後悔していたが、今更辞めるも言えない。

だって、なんちゃってレギュラーだから。


無難に、波風立てない。

それが1番平和。

当たり障りないところに私は身を潜めていた。



なのに…。






「橘高 すみれって、きみ?」


移動教室に向かっていると

後ろから声がした。


振り返ると、スラっと身長が高く、綺麗な顔をした男子が立っていた。


上靴が赤…1つ上だ。


その先輩は大きくて長い指を握ってみせて、

パッと手を開いた。


そこには無くしたと思っていた、ボールペン。


「あ、それ。ありがとうございます。」

ボールペンを受け取ろうとすると

ひょいっと上にあげた。


顔を上げると、その先輩はニヤッと笑って、

「部活してる?」と。

「あ…バレー部です。」

「そう、じゃあ、放課後な。」

そう言って、ボールペンを持っていってしまった。


唖然としていると、一緒に居たカコが言った。

「あの先輩、東堂先輩だよ?」

「とうどう…ふーん。」

「結構有名。かっこいいから。」

「確かに、モテそうな感じだったね。」

「…狙われてんじゃん?!」

「まさか。」

私たちは、教室へ向かった。


部活が終わり、体育館から出ると、

「橘高すみれちゃん」

声のする方に東堂先輩が居た。

「ボールペン」

ボールペンをつまんで見せた。

「ありがとうございます」

受け取ろうとすると、

またボールペンをひょいっと上げて、

「家どっち??」と。

返答に困っていると、カコが

「すーの家は、5丁目ですよ!」

「5丁目だと、あっちか!サンキュ!

じゃあ、行こうか。」


なぜか一緒に帰る羽目に。



それを見ていた、部活の先輩達の目が

鋭かった事を私は気づいていなかった。

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