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第三章 そうちゃんって、かっこいいよね。

放課後、校門の前にこうくんが居た。


横に並んで歩いた。


私もこうくんも何も話さない。


いつも、何話してるっけ?

なんで、こうくん何も喋らないの?


こうくんをチラッと見る。

こうくんも私をチラッと見た。


でも、すぐに目を逸らされた。


地面にうつる2つの影を眺めながら、歩き続けた。


結局なにも喋らずに、こうくんと別れる交差点についた。


「じゃあ…また明日。」


こうくんは走って行ってしまった。



…………これが付き合う??

なにが…たのしいの??


この時の私には難題すぎた。


次の日も一緒に帰ったけど、やっぱり私もこうくんも

喋らない。



なんだか、友達の時の方が楽しかったな。



それはこうくんも同じだったみたい。

付き合って3日後、こうくんから「友達に戻ろう」

と言われた。

私もそうしようって言った。


そしたら、普通に話しながら帰れた。

昨日のアニメの話。

体育のバスケの話。

今読んでる漫画の話。

交差点についても、私達はしばらく話し続けた。






「別れたよ。」


そうちゃんの大福を食べる手が止まる。


「え?3日前に報告受けたんだけど、いつから付き合ってたの?」

「報告した日からだよ?」

「…え?3日前から付き合いだして、もう別れたの?」


私は頷きながら、2つ目の大福を取った。


「…すー達の3日は72時間じゃないの?」

隣のママにそうちゃんは言った。

「私たちの3日とは違うのよ。」

ママも大福を食べた。

「僕は1ヶ月だったけどね。」

大福の粉で口を真っ白にした、りっくんが言った。

粉まみれのりっくんを横目に、りっくんと付き合っていた子は物好きだなと思った。


唖然としているそうちゃんを無視して、

3つ目の大福を取ろうと手を伸ばすと

「すー。おわり。」

ママが言った。

「はーい。」

手についた大福の粉をペロッと舐めて思った。


粉は美味しくないな。







それでも、人の色恋話は楽しい、10代の私。

恋愛ドラマに、友達との恋バナ。


私の興味の延長に、

ママとそうちゃんがいた。



「ママはさ、なんでそうちゃんと結婚しないの?」

ママはドライヤーを止めた。

「なんでもなにも、総一は彼氏じゃない。」

ママの眉間に皺が寄っていた。

これ以上聞いたら、たぶん…

『子どもは知らなくていいの!』とか言われる。


「そっか。」

そう言って私はリビングに戻った。


そして、ママに聞けないと思った私は、そうちゃんに聞いた。


「そうちゃんは、なんでママと結婚しないの?」

そうちゃんはキョトンとした。

「なんでって。俺はママの彼氏じゃない」

ふっと笑った。

「じゃあ、なんで付き合わないの?そうちゃんは、ママの事好きじゃないの?」

そうちゃんは目線を足元に落とした。

「そうだなぁ〜。

…好き=恋人、の形が全てじゃないんだよな。」

私の頭には、?が並んだ。

私の顔を見て、そうちゃんはニコッとした。

「それに、ママはさ。ママで居たいんだよな。」

「なにそれ。」

「今のママは、ママをやってる自分が好きなんだと思うよ?」

「それと、恋人と、なんの関係があるの?」

そうちゃんは、笑って

「大人の恋に首を突っ込む前に、自分の恋を経験するんだな。話はそれからだ。」

そう言って、そうちゃんは私の頭をごしごしと撫でた。

やめてよと私は頭を避けた。

「はいはい、すいません。おませさん。」

そうちゃんは優しく笑った。



そうちゃんが私の頭を撫でたのは、これが最後だった。


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