第三章 そうちゃんって、かっこいいよね。
私は、最近気づいたことがある。
それは。
そうちゃんが、わりと(?)イケメンだということ。
今まで、そんな目で見たことなかった。
でも、よく見たら、
目は大きすぎないけど、きれいな二重で、
鼻もすっとしていて、
笑うと目尻がくしゃっとなる。
肌もきれいだし、
少し長めの髪は、いつも後ろでまとめている。
ハーフアップって言うらしい。
服も、変じゃない。
というか、普通に、かっこいい。
それに気づいたのは、最近買い始めたファッション雑誌に、そうちゃんにそっくりなモデルが載っていたからだ。
ページを開いた瞬間、思わず声が出た。
「え、そうちゃんじゃん。」
りっくんに見せたら、
「え、そうちゃんやん。」
と言ったから、たぶん間違いない。
そして、これは娘の私が言うのもなんだけど、ママも、わりと美人だと思う。
ちゃんと化粧をして、髪を巻いて、ヒールを履いたら、普通にきれい。
そうちゃんと並ぶと、
……なんか、様になる。
お似合い、ってやつかもしれない。
どうして、付き合わないんだろう。
十代の女の子の頭の中なんて、だいたいこんな感じだと思う。
そして、私もそのひとりだった。
そんな、ある日の放課後。
マナミとハッツンと遊ぶ約束をしながら、
校門を出たところで、男子に呼び止められた。
「すみれ!こうきが話あるって!」
ニヤニヤしている。
その後ろで、背中を押されながら前に出てきたのは、こうくん。
「なに?」
「……あのさ。」
顔が、真っ赤だった。
耳まで赤い。
なんか、見てるこっちまで暑くなる。
「……あのさ……
……好きなんだよね。」
「え…」
一瞬、音がなくなった。
好き。
自分の顔が熱くなっていくのが分かった。
どうしよう。
なんて言えばいいの。
こうくんの後ろから、男子が
「付き合うのー?!
どーするのー?!」
と叫ぶ。
振り返ると、
マナミとハッツンは、小さく口を動かしている。
“付き合え”
こうくんのこと、嫌いじゃない。
よく喋るし、
帰り道も同じ方向だし、
たまに一緒に帰る。
嫌いじゃない。
……じゃあ、好きってこと?
好きって、こういうこと?
「あ……ありがとう。」
声が、ちょっと裏返った。
「私も、好き……かも。」
こうくんの顔が、ぱっと明るくなった。
「マジで?!」
後ろの男子たちが騒ぐ。
ありがとう!って叫びながら、
こうくんは男子の群れと走っていった。
「すっちゃん初彼じゃん!!」
マナミとハッツンが跳ねる。
私も、なんだかよく分からないまま、
一緒に跳ねた。
胸がどきどきしている。
これが、恋?




