表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
10/39

第二章 そうちゃんって、泊まらないよね。

夏休み。


山のようにあった宿題を、

りっくんと私は最後の一週間までほったらかして、

しっかりママに怒られた。


暑くて、だるくて、宿題地獄で。

そんな夏を過ごし、気づけば秋になっていた。




少し肌寒い、ある土曜日。


私とママとりっくんは、

そうちゃんの車に乗っていた。


ママが、紅葉を見たいって。


葉っぱ見て何が楽しいの?


正直、乗り気じゃなかった。


でも。


「近くに美味しいお団子屋さんあるよ。」って。


それは、行かなきゃでしょ。


私とりっくんは、

お団子目当てでついていった。


着いてみると、


ちょっと、びっくりした。


見上げると、真っ赤。


少し歩くと、黄色。


足元も、赤と黄色。


ふかふかして、

歩くたびに、ざく、ざく、って音がした。


昼間の空気は、

寒すぎず、暑すぎず。


なんか、ちょうどいい。


約束のお団子屋さんにも行った。


きな粉がたっぷりのわらび餅。


りっくんと半分こして、

そうちゃんのおはぎも半分もらった。


紅葉って、

楽しいものなんだ。


私の中で、


またひとつ、

楽しいものが増えた。


紅葉のあと、夜ごはんも食べた。


帰りの車。


私とりっくんは、もう限界だった。


りっくんは先に寝て、

私も、まぶたが重い。


夢に落ちる手前で、

ママとそうちゃんの声が聞こえた。


「長く運転して疲れたでしょ?」


「そんなことないよ」


「遅くなっちゃったね〜」


「こういうのも、たまにはいい。楽しかった」


「そうだね」


少し静かになって、


「2人とも寝ちゃったな。

ついたら、俺、運ぶよ」


「ありがとう」


また、少し間。


「遅くなったし……」


ママの声が、少しだけ小さくなる。


「泊まる?」


そうちゃんは、すぐには答えなかった。


車が止まる。


薄目で見ると、赤信号。


横顔。


そうちゃんは、ママを見ていた。


長くはないけど、

短くもない時間。


そして、


「うーん……ふふ。

そうしたいけど、やめとくよ」


信号が青に変わる。


車が、動き出す。


「そうだよね」


ママが、小さく言った。


車の揺れが心地よくて、

私は眠りに落ちそうになりながら思った。


あぁ。


そうちゃんは、

泊まりたくないわけじゃないんだ。




なんだか少し、安心した。


なんで安心したのかは、

よく分からないけど。


まぶたが閉じる。


私は、そのまま眠った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ