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後方兵科が異世界転移!?  作者: お芋さん
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ごめんなさい。

更新遅くなりました。

 朝食を食べ終わり片づけをしているころ、今度はジボン、ハンザル、アレーシャ、ヒシャムがやってきた。


「おはようございます」(アレーシャ)

「おはようございます。皆さんお揃いで、何かありました?」(石田)

「連絡と相談したい事があって来ました。まず、連絡ですが、本日も私たちは宿営地で待機です」

「了解です!」


 石田としては正直なところ、戦闘に参加しろと言われる方が抵抗ある。むしろアレーシャの連絡には助けられた思いなのだが、当のアレーシャとヒシャムは申し訳なさそうだ。


「すいません」(アレーシャ)

「軍議にて迂回し敵補給線を叩くなど…色々と具申したんですが、すべて却下されてしまいました。本当に申し訳ない」(ヒシャム)

「いえいえ、お構いなく」


(むしろ突撃しろと言われる方が困る。)


「それで…相談というのは?」

「はい。その件は…」(アレーシャ)

「その件は私から説明します」(ハンザル)


 アレーシャの話を遮って治療班班長のハンザルが話を引き継いだ。


「実は皆さんにも昼間の間の治療をお願いしたいと考えています」(ハンザル)

「えーと…それは難しいと思いますよ?今日もジボンさんたちの部隊がこの宿営地から出ないように監視されるんですよね?」(石田)

「あぁ。今日も昨日と同様、監視の任務を受けている」(ジボン)

「ですよね」(石田)

「えぇ。ですから私たちがここに移動してこようと思います」(ハンザル)

「…ん?」(石田)


 石田はうまく会話の内容が入ってこなかった。よくわかっていない顔を見て取ったジボンとハンザルが説明する。


「俺たちは君らがルブアの宿営地から出ないように見張れと言われている。…だがどこまでがルブアの宿営地かは指定されてない」

「そしてここはお誂え向きに、ここは王軍宿営地の後ろの端です。開けた場所が隣にあります」


 ハンザルが宿営地後方、民間のテント群がある場所までの間の開けた場所を指さす。


「あぁ。流石に他領の宿営地をルブアのモンだと認めるわけにはいかないが…あの開けた場所へと範囲を広げるぐらい何の問題もないだろう」

「私たちがルブア宿営地の方へお邪魔させてもらえないかと思い、こうして相談に参ったわけなんです」

「え…。それは…その、良いんですか?勝手に宿営地内で場所を移動しても」


 宿営地内で勝手に場所を移ると、軍の中での連絡に問題が発生したりする。それに何より治療を求めて治療院に行ったら、無くなってましたでは負傷者が危ない。


「えぇ。そこは心配されなくても大丈夫です」

「一応、移動したことを知らずにあっちに行く人間が居ても大丈夫なように、近衛隊から数人ほど借りて元の場所に立たせておく」

「そうですか…。問題ないというのなら私は別にかまいません。ですが、その件ならむしろアレーシャさんと交渉すべきでは?」

「あ、私はもうすでに話を聞いて賛成していたんですが、うちの宿営地にテントを立てているのですから話を伺っておこうと思いまして」

「あ、そうですか。それはありがとうございます」

「おし。じゃあ、話はまとまったな」

「助かります。実は昨日の負傷者が想定より多く、MPポーションの残数が心もとなかったので…」


 ハンザルは安心した顔をする。ハンザルがそのまま教えてくれたことには、王軍内での治療班の扱いはあまりよくないらしい。そもそも治療班として規模が小さいだけでなく、予算も十分にはつけてもらえていないらしい。おかげでMPポーションをそろえるのに苦労したのだそうだ。

 今回MPポーション購入費用をかき集めるために、ハンザルたちは貴族達の元を訪れて出資を求めた。各貴族の領軍を無料で治療すること、また貴族たちを治療する際は『最も優れた治癒魔法』を使うという事で何とか資金を集めたそうだ。


「本当に大変でした」

「あ…あはは…大変でしたね」

「えぇ。…あ、いけない。では私は今から移動作業に取り掛かりますので、これで失礼します」

「はい」


 ハンザルは駆け足で去っていった。その後、残ったメンバーでこの日の動きを確認し別れた。


~~~~~~~


 この日は忙しい1日になった。


 まずはこの日の戦闘の様子から記述しよう。


 前日とは異なり、双方の使節が戦場の中央で会談。そして定時(1000時)になると王軍が前進して開戦。この日は王軍は隊列を組む兵士らの間隔を広く取り、砲撃を受けたときの被害を減らすような工夫がされていた。が…基本的に、先日と戦術は変わってなかった。大勢で押しかけ物量で防衛ラインを突破していった。


 前日の戦闘で破壊された第一防衛ラインの木の柵は夜の間に修復されていた。本日も前日同様に魔法による砲撃で柵を破壊し、壊れた所から兵士らがなだれ込み、そしてそこに砲撃が加えられる。ほぼ前日と同様の展開だが、少し違う所もあった。敵陣になだれ込む部隊に魔法を扱う工兵が混ざっていたようで、第一防衛ラインの土壁に取り付く兵士らがいた。彼らは魔法を使用し、土壁を解体した。突破口を広げ、砲撃する場所を絞らせない作戦だった。


 だがお世辞にも『損害を減らしながら敵防衛ラインを突破する画期的な方法』…とは言えなかった。工兵隊によって土壁が解体されるまでの間は、木の柵を破壊してできた突破口から突撃が行われた。そして当然敵の砲撃が確実に兵士を加害した。この時の『砲撃による被害』を減らすべく兵士らの間隔をあけ人口密度を下げた突撃は、その目的に限って言えば有効だった。

 しかしこれは同時に、敵の第一防衛ラインを超えて投射する兵士らの数を大きく減らした。第二防衛ラインで待ち構えるマスケット銃の攻撃により多大な損害を被ることになる。

 結局土壁が解体され大きな突破口が出来上がるまでは、徒に負傷者を増やすだけの結果となった。


 この日、王軍は2つの防衛ラインを破壊することに成功した。


 ……成功したのだが王軍の作戦は単純な突撃、数によるごり押しでしかない。………そう大量の負傷者が発生した。


この日は兵士らの間隔が広く取られたため、前線での負傷者の回収がスムーズに行われた。そして治療院には大量の負傷者がやってきた。


 午前中のそれも早い段階で、王軍治療院(治療班)のMPポーションが無くなった。リベリオン王国内では初めて大砲が実戦で使用されたこの戦争、これまでにない人数の重傷者が出ていた。効果の高い回復魔法を連発せざるを得ず、MP消費量が多かった。

 治療院の治療能力が低下したことでルブア派遣隊への負傷者の配分が増える。そのおかげで早々に目的の治療者数1000人を超え、正午ごろには軍医の『田淵翔子』が解放された。


 石田は田淵をすぐに召喚した。


「田淵翔子、ただいま着任しました!」


 司令天幕の中、石田に向かって女性が敬礼する。

 その女性は高身長で身長180cm程あるだろう。体は凹凸が少な…スレンダーな体つきをしている。黒髪ポニーテールで眼鏡はしていないながら理知的な印象を受ける顔立ち。

 石田も敬礼を返す。


「司令を務める、石田一秀です。よろしく。さて早速で申し訳ないんですが、現在状況が迫っています。仕事を頼む」

「はい!」


 石田は電子スクリーンに戦場を含む広域のマップを表示させる。


「現在、私たちはリベリオン王国の内戦に王国軍側の傭兵として参加しています。王国軍はこの宿営地を拠点にこの丘に布陣するアルジャジード軍と交戦中です」


 電子スクリーンに戦場の偵察映像を映す。


「さておかしな話ですが、王国軍側に所属し偵察などを行っているものの私たちには交戦が認められていません。これは私たちの雇用主がルブア領派遣隊で、このルブア領派遣隊の交戦が認められていないためです」

「質問があります。傭兵としての参戦なのに…戦闘が禁止されているのですか?その…報酬の支払いなどは大丈夫でしょうか?」

「ルブア派遣隊の契約では従軍日数に応じて基本報酬が計算され、戦闘に参加するとその戦果によって特別手当が出るようになっています。ですからまぁ…戦闘に参加せず暇してても稼げるんですが…それでは申し訳ないし、何より田淵さんを開放するための条件が治療活動だったので、この宿営地での治療活動に参加しています」

「なるほど。わかりました。私は治療活動に参加すればいいんですね?」

「はい。治療活動を行ってもらうにあたり2つ注意点があります。戦闘行動の禁止と、行動範囲の制限です」


 地図に宿営地…特に司令天幕周辺の拡大地図を表示する。


「私たちが行動できるのはこの辺からこの辺までです。この範囲の端には特徴的な服を着た兵士の人たちが立っていますので実際に見てもらった方がわかりやすいかもしれません」

「了解しました」

「既にナイチンゲールさんが中心となって治療活動に当たっています。治療活動については彼女の方から説明を受けてください」

「はい」

「私の方からは以上です。何か質問などありますか?」

「質問はありませんが…そうですね、『回復エリア』の設置許可を申請します」

「…ん?回復エリア?なにそれ?」


 STGモードをプレイしてこなかった石田はその存在を知らなかった。


「それはボクが説明しよう!」

「…京藤さん?」

「あ、イクちゃん。久しぶり」


 天幕の入口で京藤が仁王立ちしている。天幕の外の光が後光の様に見える。タイミングといい、なんというかカッコいい登場だった。


「『回復エリア』は司令施設を拡張して得られる能力の一つだよ。その名前が示す通り、指定されたそのエリアに入ると自動的に『回復』効果が受けられてとても便利だよ」

「…そうなんだ。知らなかった」

「司令官はこの辺の説明チュートリアルを修了していなかったからね。ショーコが来るというので説明が必要かなと思って。急いで駆け付けたよ」

「そっか。それはありがとう」

「回復エリアを設置するには、3つの条件が必要になるよ。1.司令官の許可があること。2.司令部施設から一定の範囲内に基点となる拡張施設が設置されていること。3.拡張施設に拡張機能と対応したスキルを持つユニットが配置されることだよ。拡張施設は『病院天幕』がそれにあたるから後は司令の許可があればすぐにでも始められるよ」


 エリア設置の許可はタブレットから行えた。回復エリア&田淵の治療能力は抜群だった。回復エリアに運び込まれると、エリア内に入った時点から回復が始まる。軽度な負傷はエリア内に入ってから病院天幕にたどり着くまでの間に回復してしまった。重症の者もエリア内に入るとバイタルが安定しファーストエイドキットを投げつけるだけで回復できるようになった。四肢欠損を治すのに、治療バッグ&ファーストエイドキットが必要だったのが、回復エリア&ファーストエイドだけで済むようになり作業効率がぐっと上がった。


 こうしてこの日の負傷者の死亡率を大きく下げることに貢献できた。


 治療院の活動はうまくいったのだが、魔力検出装置の実地試験の方で問題が発生した。開戦当初の長距離魔法攻撃については問題なく検出された。が…ある時点から大量のノイズを拾うようになる。しかも困った話、それらノイズは長距離魔法攻撃の信号よりも大きかった。色々と原因を探した結果、治療院で行われる治癒魔法を検出していたということが分かった。結局この日は巨大なノイズ(治癒魔法)を記録し続けた。


~~~~~~~~~~~


 忙しかったこの日、一番の衝撃的な出来事は戦闘が終わる直前に起こった。


 時刻は1530時。それは空から飛来し、戦場を2筋の光が薙ぎ戦場が破壊の渦にのまれた。

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