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後方兵科が異世界転移!?  作者: お芋さん
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(ロミナ視点)


 今回の街道警備は例のギガントロックリザードに出会う以前にもいくつかの異変が見つかっていた。


 街道警備と名前がついているが、私たちがやっていることは中・小型のモンスター退治と草刈だ。私の可愛い妹アレーシャが警備する街道は砂砂漠の端に沿って伸びる街道でモンスターの出現確率は限りなく低い。そのためモンスターに襲われないとあって盗賊たちが砦を作り活動することがある。あの子が街道警備を担当してくれるようになるまでは私が担当していた。そのころは盗賊が砦を築いた場合、兵糧攻めが有効だった。環境が過酷なため、食料を砦内で生産できずまた備蓄も難しいためだった。うん。あの子が結婚するまでは安全に仕事をこなせると思う。

 と・・・話が脇にズレた。妹があの街道を受け持ってくれるようになったので私が担当する街道も変更になった。新しい担当街道は植物が自生できる少し豊かな環境で、このためモンスターの出現確率がぐっと高かった。ただ、この街道は草や木を刈ることで餌となる植物や果実を減らし、小型の動物の繁殖を防ぐことでモンスターの出現確率をぐっと下げる事ができた。このため、私たちは定期的に街道の警備に出かけ草木を狩り、生息範囲を広げた小動物や小型モンスターを狩っていた。

 今回の街道警備もそれだけで済むだろうとと慢心してしまっていた。ルブアを出発してしばらくはいつもと変わらない様子だった。というのもルブア周辺は植物があまり自生していない。このためそもそもモンスターが出現しない。そして少し行って植物が自生し始めてくる辺りでも特にこれといった変化はなかった。問題は植物の密度が高くなってからだった。これまでの街道警備では見られないような大きいフンが見つかったのだ。フンのサイズが大きい(当然だが明らかに人間のそれではない)ということは、それを排出した生物の体も大きいということを示す。しかし、草木が大きく伸びていたり小動物が大量繁殖していたりしている様子はなかった。加えてそのフンも頻繁に見つかるわけではなかった。このため、中~大型のモンスターが何か事情があってこの辺を訪れそのまま去ったのだろうと勝手に思い込んでいた。

 街道を所定の場所まで草刈しながら進んでいった。すると今度はそのモンスターが活動したであろう痕跡が数か所見つかった。例えば木が不自然に折られたりしていた。ここに来て意外とまだ活動しているのでは、という危機感を覚えた。

 そして、定められた警備ポイントまで到着し急いで帰還している最中であった。突然ギガントロックリザードが遠くから一直線にこちらに向かってきたのだった。


 その後のあれこれは割愛させて。正直私たちは突然の事態に正気を失っていた。彼、イシダ達の活躍によって私たちは助けられた。ギガントロックリザードを倒してもらうだけでなく、彼らの・・・魔法?・・・それとも魔法のアイテム?・・・ちょっとわからないけど、部隊の負傷者を治療までしてもらったのだった。

 そしてドラゴンだというリザードマンの少女と合流する。最初は何かの冗談かと思っていた。しかし、その少女がギガントロックリザードの死体を持ち上げるのを見て考えを改めた。確かにリザードマンと言えば、人型種の中でもかなり力強い種族として知られる。誰の話だったか・・・たしか、私たちと比較して平均2~3倍程度の腕力を持つと聞いた覚えがある。しかし、目の前の少女はあの巨体を1人で持ち上げて見せた。この腕力は明らかにおかしい。人間以外の何かであることは明らかであった。

 また、この少女に関連して不思議なことも発見した。イシダの言葉は私たちと同じで、人間の言葉を話している。この辺の人間ではないことが丸わかりなその外見とは裏腹に、彼の言葉には特定の地域の訛りはなかった。だが、彼は私たちと同じ言葉を話しているにもかかわらず、その少女とコミュニケーションをとって見せている。私たちにはあの少女はガウガウ言っているだけにしか聞こえない。しかし、あの男はその言葉を理解して・・・私たちの言葉で話しかけているようだった。試しに私たちが話しかけてみたりもしたが、私たちの言葉を理解した様子はなかった。これはいったいどういうことなんだろうか?・・・わからない。


 色々と思うところはあったが、彼らに護衛の依頼をしてルブアに帰ることになる。すると彼らから逆に提案を受けた。なんと今日中にルブアまで連れ帰るというのだった。お言葉に甘えてそのまま彼らに任せると本当にその日のうちにルブアまで帰還してしまった。彼らの登場からして驚きの連続だったが・・・最後まで驚かされてしまった。


 さてルブアに到着したのち、私たちは通常通りの帰還作業をこなした。まず部隊の運営を2人の部下に預け、部隊を2つに分けた。アッバスと1隊は兵站管理部へ余った食料と馬車などを返却しに行ってもらう。ファレスと1隊を武器・防具管理部へ行かせ損耗した武器と防具を預け予備を受け取って帰ってもらうのだ。そしてその間私は報告書をまとめた。

 報告書にはできる限り真実を書いた。しかし、書けば書くほど自分でも信じてもらえないような気になっていった。・・・これを父上が見るとどう感じるのだろうか・・・。頭が狂ったのか心配されそうだ、と思えて仕方なかった。

 報告書を書き上げるころにアッバスとファレスが私の執務室までやってくる。ともに帰還作業を終えたそうだ。アッバスとファレスの報告を聞いたのち、彼らには解散を言い渡しておいた。


 報告書は書き上げたが、領主の執務時間は終了していたので明日提出することになった。執務を終えた家族と食事をするため私は場内の居住区へ向かった。領主家族専用の食事室へ。部屋に入ると妹が席についていた。まだ父と母は来ていない。2人の兄はまだ街道警備・・・じゃない、今は国境の砦で警戒に当たっているはずだ。だから机の上には4人分用意がされている。


 妹を視界に収めたことで私の中で公人モードから私人モードへと気持ちが切り替わった。


「あ、ロミナ姉さん」


 食事室に入った私にアレーシャが気づき、席から立ち上がった。うん!今日もこの子は可愛いわ~!私は小走りでアレーシャに近づきそのまま抱き着いた。う~ん、なんでこの子からはこんなにいい香りがするのかしら。アレーシャが抱きしめられたことに驚いて腕の中でバタバタもがくけど、そんなことは無視してギュッとさらに力を入れる。う~ん・・・ほんと癒しだわ~。


「ちょ・・・ね・・・姉さん。何かあったの?」

「はぁ~癒される~」

「姉さん!」

「ごめんごめん」


 いい加減怒られそうだったので謝りながら離れた。


「・・・いつもより力強かったけど・・・本当何かあったの?」


 うっ・・・今日のアレーシャは鋭い。


「実はね~・・・・・・」


 席に座ってから妹に今日あったことを話した。


「姉さんもイシダに出会ったの!?」

「え?・・・あー、そういえばイシダも会ったことがあるみたいなこと言っていたわね」


 アレーシャからイシダとの出会いを聞いた。とても信じられないようなないようだった。特に・・・


「・・・イシダの訓練で死を経験して天国を見た?!」

「えぇ。あんなに緑豊かできれいな景色を見たことが・・・」

「ちょっと待って・・・。それ以前に一度死を体験したってどういうこと(#^ω^)?」

「え?・・・それは・・・そのぅ・・・」

「なんでそんな危ないことしたの!」

「・・・ごめんなさい」


 もっと慎重に行動しなさいと叱っておいた。一通り注意したあと、やはり話を聞くとどうにも信じられないような内容ばかりだった。しかし、叱り終わってから冷静になった頭で話を聞くと、私の書き上げた報告書も同じようなものだなとどこか納得のいくような気もしてしまった。


「はぁ・・・信じるわ。アレーシャちゃんのその話」

「えっ!」

「全部じゃないけどね」

「あぁ・・・。でも正直信じてもらえないと思ってたから・・・意外」

「まぁ、普通そうよねぇ~・・・でも、私も不思議な体験をしたからね」

「そっか・・・あっ。あとイシダ関連で話が・・・」


 そういってアレーシャは懐から何かを取り出す。細長い棒状で・・・見たことない材質だ。


「アレーシャちゃん・・・それは?」

「これはですね、ボールペンと言います。街でタミーナという女性が販売しています」

「そうなの?・・・そしたらどうイシダと関わりがあるの?」

「実はですね、これを販売しているのはタミーナという女性ですが・・・そのタミーナはイシダからこの商品を仕入れているのです」

「へー・・・。そうなの・・・」


 アレーシャからボールペンを受け取った。色々と触ってみるもこれといった使い方がわからない。きっとペンって名前がついているから筆記用具なんでしょうけど・・・。私の反応が何か以外だったみたいで、アレーシャが不思議そうな顔をしている。


「あれ?・・・反応が薄い?」

「ねぇ。アレーシャちゃん、これって何する道具なの?」

「あ!姉さんはこれをご存じないんですね。ちょっといいですか?」


 アレーシャにペンを返すと、その棒の端を押し込む。すると反対側から金属が姿を現した。


「この金属の部分がペン先になっているんです。ここを紙に押し付けると字が書けるんです・・・え~と・・・紙は・・・」


 アレーシャは周辺を見渡し、自分の席に置いてある書類を見つける。そこから1枚紙を取り出した。そしてその紙の上にボールペンを走らせた。


「なっ!え?!いつインクを付けたの?」

「ふふふ・・・これはですね・・・」


 アレーシャがボールペンとの出会いを語った。確かに、これは画期的な商品ね・・・。っていうか・・・


「うそ~ん・・・これがあれば今日中に報告書提出できたのに~・・・。アレーシャちゃん、これ余ってない?」

「あ、はい。何個か確保してるから、これどうぞ」

「ホント?ありがと~!!」


 感謝にかこつけても一度ハグしたわ!そのあと少しアレーシャといちゃいちゃしていると父と母が入ってきた。あれ?なんか父が疲れた顔をしている。


「あぁロミナ。お帰り」

「ただいま帰りました。それよりお父様、疲れた顔をされて・・・どうしたの?」

「それがな・・・」


 給仕たちが食事を運んできたので食事をとりながら父の話を聞いた。どうにも、ボールペンを使って書類を書き上げるようになってから少し事務作業がスムーズに行えるようになったのだとか。それはとても素晴らしいことで、疲れた顔をするような話ではないとおもうのだけど・・・


「部下たちがな、作業速度が上がったおかげで沢山の決済書類を上げてくるようになってな・・・」


 ということだった。なるほど。一番上の者としては多くの書類が上がってくるようになり忙しくなったそうだ。


「ところで、ロミナ。報告書が上がってきていなかったが?」

「はい。それは明日提出します。報告書が書きあがったのが、お父様の執務時間外だったものですから・・・」

「なるほど。そういうことか。というか皆がそういう対応をしてくれれば嬉しいんだが・・・最近は執務時間終了直後に滑り込みでって言って持って来る者が増えてな・・・はぁ・・・」


 と父はとてもお疲れの様子だった。


「えぇと、それでですね。今回は・・・」


 一応今回あったことを口頭でだが、父に話しておいた。


「なっ!?ギガントロックリザードだと!?」

「大丈夫だったの!?」


 父と母はギガントロックリザードの件に食いついた。まぁ、それはそうだ。2人には今回の街道警備にもっていく装備をあらかじめ知らせてあったから。対応できない相手だとすぐに気づいたのだ。両親の懸念通りなすすべがなかったこと、そこを石田に助けられたことなどを話した。


「そうか・・・そんなことが・・・。ただの世間知らずのお坊ちゃんではなかったのだな・・・」


 と父はすごく驚いた様子だった。この父の発言を聞いてアレーシャがどこか誇らしげに話した。


「えぇ。だから彼を引き留めて正解でしょ!」

「あぁ。そうだな・・・それほどの力があるなら、例の件を彼に任せてもいいかもしれないな・・・。それはそうと、そのギガントロックリザードの死体はどうしたんだ?やはり持って帰るには装備が足りなから放置したのか?」

「いえ、そのイシダが持って帰ってきました。おそらく今は冒険者組合の方にあるかと思います」

「なにっ!?・・・そうか。では明日の朝一番に確認に行かないとな。報告書は後程、私の私室まで持ってきてくれ。組合に行く前に確認しておきたい」

「分かりました」


 こうしてルブア領主、クルスーム家の夜は更けていった。


~~~~~~~~~~


 夜。それは人が活動するには暗く、作業をするのは困難な時間だ。仮に作業をするならロウソクや松明を燃やし光を確保しなくてはならない。そしてロウソクや松明はタダではない。このためこの世界の住人は夜になると早々に寝る。

 ただ唯一、宿屋ネムレは例外だった。多くの者が寝静まり、静寂が支配する中似合って少数の者が起きていた。そう、石田とその部下たちだった。石田は1人部屋に、女性陣(武官ユニットたち)は6人部屋に泊まっている。この2つの部屋だけは住人が起きていた。


 石田はベッドに腰かけ、タブレットを開いていた。本日の戦闘結果などを確認していた。一通り全員の経験値獲得状況や、スキル獲得情報などに目を通した後、あるものをいやいや確認する。


(あ~・・・やばい。ミサイルの弾薬費がめっちゃたけぇ・・・あと燃料の消費が半端ないな・・・)


 戦闘で消費した資材・物資など・・・いわゆる財務管理系の報告書だった。

 ギガントロックリザードを倒すために使用したMBT-LAWはミサイルランチャーだ。発射前の数秒目標を補足し続けることでミサイルが対象を補足、自動追尾する。当然、命中精度や破壊力には驚くべきものがある・・・しかし、複雑な機能、高度な部品を使用する武器は当然お値段にそれが反映される。MBT-LAWの1発あたりのお値段は・・・なんと325万円だ。

 低価格・高破壊力で有名なRPG-7はロケットランチャーだ。MBT-LAWと異なり、追尾能力なんてない。しかし驚け!その価格!なんと本体+弾頭の価格で25~35万円。弾頭だけなら2千~2万円程度だ(RPG-7は弾頭に複数の種類があるため値段の幅が広い)。

 ・・・お判りいただけただろう。今回ギガントロックリザードにMBT-LAWを撃ち込んだが、その際ギガントロックリザードは移動能力を失っていた。つまりただの的だった。発射距離もおよそ200m程度とかなり近づいたところから発射できていた。その条件下でMBT-LAWを発射したのだ。おそらくRPG-7を撃ってでも当てられるような環境で・・・高価なMBT-LAWを使用してしまった・・・。

 そして石田のタブレットには弾薬の補充費用が請求されていたのだ。もちろん、領はMBT-LAW1発2発程度請求されても問題ないだけの財務状況ではあるが、石田の庶民的な感覚が警報を鳴らしていたのだった。


(うわぁぁぁん・・・まぁ、そりゃさ、戦闘が始まる前にギガントロックリザードが動けなくなるとは思わないじゃん?何が起こるかわからないのが戦闘であってさ・・・万全の準備を整えるべきジャン!・・・でも蓋を開けてみれば・・・もっと費用削減できたなぁって・・・はぁ~~~~)


 そしてさらにこの件で心配なこともあった。


(ってか、請求がさ、日本円で来てんだけど・・・。まぁ、領の財政は円で計算されているよ?でもさ、この世界で日本円なんてどうやって手に入れればいいって言うのさ!)


 うわ~ん、と石田は頭を抱える。しかし、少しだけ安心する要素もある。


(まぁ、燃料も資金もさ、自然回復が働くってことが分かったから多少無理はできることが分かった。これが分かったのは儲けかな・・・)


 燃料や資金の自然回復。これはゲーム時代、課金しないプレイヤーを救済するための措置だった。無茶な領政を行って手も足も動かせなくなっても、この自然回復のおかげでしばらく何もせずに放置すればそういったゲームをするのに必要な諸々が補充されるのだった。ただ、この自然回復は何もしなければ雀の涙程度しかない。だからプレイヤーの自領を発展させたり、植民地領を求めて争ってみたりして自然回復を増やしたりする。しかし・・・


(そうだよなぁ・・・領を発展させてこなかったから・・・雀の涙程度しか回復しないんだよなぁ・・・)


 今回消費した資金を自然回復させるなら3日間活動を停止すればいい。燃料の消費量は多いので・・・およそ7日ほどで回復する。


(くっそ~・・・完全に赤字だ・・・1日でこんなにも消費するなんて・・・。資金は・・・この世界の金貨を持ち込めば何とかならないか?・・・そう、例えば金貨を持ち帰れば、お金として計算されずとも金として換金できないかな?・・・明日試してみよう。そして燃料・・・。余ってる課金ポイントを利用して領内に油田でも増設するか?・・・いや待て・・・こっちの世界で原油をとることができないか?・・・う~ん・・・)


 と頭を悩ませている時だった。扉がノックされた。


―コンコン


 そして扉越しのくぐもった声が聞こえる。


「司令、起きてる?」

「あぁ。起きてるよ」


 石田は扉まで歩き、鍵を開けて扉を開く。するとそこには武装したユニットとファティがそろっていた。


「何かあったの?」

「ちょっとね、中に入っていいかい?」

「どうぞ」


 全員を連れて中に入る。1人部屋ではあるが全員入ることができた。


「実はね・・・」


 京藤が説明してくれることには、ファティが異変を感じたとのことだった。静かな夜に遠くから金属のこすれる音を立てながら集団が近づいてきているという。


「こんな時間に武装した集団がこっちに?」

「そう。一応安全のためにね。今ボク達は工兵と衛生兵しかいない。状況を確認するためにV/SUAVを借りられないかと思ってね」


 そう。不思議なことに石田はすべての兵科のガジェットを呼び出せる。しかもゲーム時は装備することのできなかった類の装備まで呼び出せる。だから、V/SUAVも取り出せると踏んでやってきたのだろう。

 石田はとりあえずV/SUAVを取り出す。


「ファティ、俺に音を消す魔法をかけてくれ。あと古井さん、骨伝導マイクある?」

「分かったのじゃ」

「はい。今取り出しますね」


 ファティに魔法をかけてもらうと、石田の声まで小さくなり会話できなくなる。どうやらこの魔法は石田の体や装備から発生した音が、空気へと放出されるところで小さくしているようだ。このため、骨伝導マイクで体内から装備(骨伝導マイク)へ導入することで音を拾い、無線通信で意思疎通を可能にする。

 京藤達もHMD付きのヘルメットを取り出し、それを装備した。


『どう?聞こえる?』

「OK。大丈夫だよ」

『良し、じゃあ、V/SUAVを飛ばすね』


 どういう原理かわからないが、V/SUAVも石田の装備に数えられるようで、V/SUAVは音もなく飛び上がった。そして窓を開けそれを窓から外に出した。一応、外に出したら気づかれないように窓を閉じる。

 U/SUAV操縦専用のタブレットに外の映像が映される。映像は熱源を感知するサーモ映像で、白と黒の2色であらわされている。高度を上げていくと宿から少し離れた所に武装した一団を発見する。人数は意外と多く12人ほど。タブレット画面でその人影達をタップするとそれら人物がスポットされた。スポット表示は敵を示す赤色だった。京藤達のHMDに表示されるミニマップにも赤色のスポットが映されたようだった。


「赤色だね・・・ってことはこの人たちはボク達にとって敵ってことだよね?」

『だね・・・』

「うわ~・・・それはそうっしょ?ど~せ、女性の寝こみを襲おうとか考えてんじゃない?そりゃあたしたち(女性)の敵だわ~」

「フフ・・・それは・・・くくっ・・・そうだね」

「「「ぷふふ・・・」」」


 湯川が軽口をたたく。他の人たちは意外とツボったらしく、笑ってしまっている。ただ、夜中で多くの人が寝ていることもあってみんな声を抑えるのに必死な様子だ。

 映像内では白黒で顔を判別できないが、その体格から言って男性であることは間違いなかった。しかも穏やかでないことに、全員短剣で武装している。


 監視を続けるとその一団はまっすぐと石田達の泊まるネムレまでやってくる。そしてネムレに到着すると、建物の周りを確認するようにゆっくりと歩き始めた。


『う~わ・・・これはこれからここを襲うつもり満々だな・・・』

「いや~あたし達が魅力的すぎたか~・・・美人は辛いわ~」

「フフ。タツコ、軽口もそれぐらいにして、ボク達もそろそろ準備しよっか」

「りょーかい」

「司令、どうする?」

『う~ん・・・古川さん、全員分の骨伝導マイクはある?』

「はい。あります」

『じゃあ、それを全員に配っちゃって。それからファティにお願い。全員に魔法をかけてくれ』

「ふむ。承知じゃ。しかし・・・なぜコソコソとするのじゃ?」

『いやまぁ、そりゃ寝ている人を起こさないように・・・というのと・・・』

「と?」

『あとは、この盗人どもを一人残らず捕まえてやろうと思って』

「ふむ・・・」


 映像に視線を戻すと盗賊どもは一か所に集まって相談をしていた。


(おいおい・・・。この盗賊たちお粗末だな・・・。普通いろいろ計画してから来るもんじゃねーの?)


『あーあー・・・司令、これで聞こえる?』


 石田のタブレットから音が聞こえてきた。慌てて石田はイヤホンをつないで音が漏れないようにする。


『オーケー。聞こえるよ』

『ふむ。お主らがこれで会話するなら吾輩もならおう』

『了解。それで、司令どうする?』

『そだね・・・多分逃げ場所を抑えながら中に攻め入ってくるんじゃないかと思う。だから、表と裏の2手に分かれるんじゃないかな。俺たちは、この盗人が扉を開けて入ってくるのを確認したうえで捕縛しよう』

『『『『『了解!』』』』』

『でも司令、ボク達の装備は・・・ゴム弾のそれじゃないよ?』


 そう、昼の戦闘から装備を入れ替えてない。このため、装備はAA-12でなおかつスラッグ弾と00バックショット弾が交互に装填されている。完全に野生動物を相手にするそれだった。


『あ・・・う・・・う~ん』

『あぁ。でしたらAEDで復活させましょ~。一度殺害、その後拘束からのAEDでいいんではないでしょ~か?』(ナイチンゲール)

『確かに。私も深夜に寝こみを襲うような汚い輩にかける慈悲は持ち合わせてません』(瑞山)

『えぇ?!』(石田)

『盗賊死すべし!慈悲は無い!』(湯川)

『あ・・・あはは・・・いーのでしょうか・・・?』(古井)

『う・・・う~ん・・・どうする司令?』(京藤)

『まぁ・・・実際そうするのが効率がいいし・・・それに生き返らせるなら、精神的にも負担が少なくなるかな・・・。よし、それでやってしまおう』(石田)

『『『『『了解!』』』』』


 映像を確認すると盗賊も会話がまだまとまらないようで、まだ会話をしている。


『良し。じゃあ、作戦を説明する。俺たちも2手に分かれる。防衛隊と制圧隊だ。まず、防衛隊は2階に上がってきた敵を排除する部隊。制圧隊は外の警備を排除する部隊。制圧隊は彼らが屋内に侵入したのを見計らって、この窓から外に出てもらう。そして外で待機する者を排除。その後出口をふさぐ。そして、中で防衛する隊と協力して1人残さず排除する。こんな感じだ』

『ということは、中の防衛隊は最初は控えめに対応した方がいいんだね?外の部隊が片付いて逃げ場をふさぐまでは』(京藤)

『そうなる。だから、逆に外の攻略隊は急いで出口をふさいでもらう必要があるから、人数を多めにしよう。そうだな、防衛隊はファティと古井だ。制圧隊は京藤、ナイチンゲール、瑞山、湯川、間宮だ』(石田)

『『『『『了解!』』』』』

へ~・・・

中国の2隻目の空母が進水、3隻目も建造中、

中国の尖閣諸島に最も近い基地が機能強化ってニュースが流れてましたね。

日本はお蕎麦問題(あなたはもり蕎麦が好き?それともかけ蕎麦?)で国会空転。

アメリカはアメリカで、野党の大統領降ろしの運動が展開。

ついでに朝鮮系アメリカ人による北朝鮮への制裁に反対するデモだそうです。


そりゃ、異世界に行きたくなる世の中ですわ~・・・

えっ?!そうならない・・・?!そうですかー・・・

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