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後方兵科が異世界転移!?  作者: お芋さん
50/94

50

祝!50話!

いや、まぁ、何がめでたいって話ですね。

単に話を短くまとめられていないってだけですからね。


それはまぁ、さておいて・・・

祝!15000PVです!イエェーイ!

なんか、PV数が伸びるの早いっすよ?

1000PVごとに喜んで頑張っちゃうの見抜いてるんすか?

いや~マジ休めないわ~(大歓喜)

(追記:2018/05/19 0919

 深夜のテンションで変なことを書いておりました。

 申し訳ないっす) 


それはさておき、これからもどうぞよろしくです!

改めて読んでくださる皆さんに感謝です!

 石田が前置きをしたことでナスルは身構えた。


「試験内容はロックリザードを10体討伐という話でしたよね?」

「えぇ。そうです」

「ロックリザードの討伐なんですけど・・・ラージなんかの大型の個体も数に入れていいですかね?」

「えっ?!ラージロックリザードが街道のそばまでやってきて・・・。その顔からすると、そうじゃないみたいですね。ひょっとして街道から離れたところまで狩りに行ったんですか・・・?」


 石田が苦笑いしたため素早くそれを読み取ったナスルは事情を言い当てる。


「・・・はい。なにぶん土地勘が無いものですから・・・どこにいるのか探し回っているうちに・・・」

「そうですか・・・。まぁ、成長した個体とはいえ、同一種です。数に入れてもらってもいいですよ」

「良かった・・・。では、ロックリザードの死体を提出したいんですけど、それはどこに運び込めばいいですか?」

「それは裏手にある訓練広場の脇に解体所があります。そちらに運び込んでください。そこで討伐証明書を発行しています。討伐数・・・今回は10体分ですね、討伐証明を集めてもらってから・・・」


 ナスルが立ち上がり遠くのカウンターを指さした。その場所には報告窓口とある。


「あちらの報告窓口に持って行ってください。通常ですと証明書を提出する際にあそこで依頼管理番号を述べます。ただ今回皆さんの場合は試験と言ってもらえば通るようになってます」

「分かりました。ありがとうございます」

「ちなみに、今日は何体持ち込まれるんですか?」

「12体です」

「・・・12っ!?えっ?もう、そんなに倒されたんですか?」

「え・・・えぇ。期限も1週間と短いのでできるだけ急いで取り組みました」

「はー・・・それは街道から逸れてでも探すわけですね・・・」

「はい。・・・ではどうもありがとうございました。解体所の方へ行きますね」

「はい。では」


 石田はカウンターを離れて、建物を出た。


「司令って結構怖がりさん?」


 湯川が話しかけてきた。

 石田達は建物沿いに裏手に移動しながら話す。


「あ~・・・ごめん。失望させた?」

「ううん、そんなことないよ?司令の戦績を見せてもらったときはもっと恐ろしい人だと思ってたけど、人間らしいところもあって安心したし・・・」


 湯川が珍しく、軽い口調ではない。


(あぁ。気を使わせてしまってるんだな・・・)


 若干のショックを受ける石田。


「しかし先ほどのあ奴はひどく不愉快な奴じゃったのぅ」


 気を聞かせてか、ファティが話題をずらす。


「だね~。というか、あのおじさんのニオイがきつかった~」(ナイチンゲール)

「あー、確かに。風呂に入ってないんじゃないのかな」(京藤)

「えぇ、でしょうね。あと匂いだけでなく・・・好みの問題かもしれませんが、ひげがとても汚い感じで・・・見た目的にもNGでしたね」(瑞山)

「いや、好みの問題ではないと思いますよ?伸ばすにしてもあんな伸びるに任せた形ではだめです。最低限形を整えるべきでしょう・・・」(間宮)


 石田は汗のニオイなどはあまり気にならないタイプである。あのアノーア対峙した時も匂いがどうということを感じることはなかった。

 そしてアノーアに関してナスルの話を総合すると、地道に頑張っている冒険者にとっては全くの無害で、むしろ面倒見のいい感じの印象を受けた。しかもナスルが「頼れる親分」と表現していたのだから、悪い人物ではないはず・・・多分・・・。


(ははは・・・まぁ、嫌な思いはさせられたけど、でも・・・そこまで言うことないんじゃないかなぁ・・・。あと・・・俺って匂い大丈夫だよね・・・?)


 石田も自分のニオイが気になって腕などの匂いを嗅いだ。


 匂いについてだが、統計的に女性と男性で感じる強さが違う可能性が高いと指摘される。鼻の嗅覚神経と脳が接続する部分にある嗅球という神経細胞の数に違いがある。男性と比較して女性の方が平均50%程度多い。また、大脳辺縁系の発達にも差がある。女性の方がよく発達している。この大脳辺縁系は嗅覚の情報を処理する場所として知られている。つまり男性より女性の方が多くの嗅覚情報が脳へ送られ、素早く詳細に処理されるということになる。(繰り返しになるがあくまで統計的な話で、個別で見るとこれにあてはまらないこともあるのでその点は注意されたい。)


 そうこうしているうちに建物の裏手に到着する。冒険者組合の裏は小学校のグラウンドのような広さの広場になっている。そしてその広場の隅に建屋があり、その建屋入口に大きな文字で「解体所」と書かれている。

 それを見つけた石田達はそのまま解体所へと歩いていく。


「そういえば、ファティ。その体のままでどれだけ戦えるの?」

「どれだけ・・・う~ん・・・正直分らんのぅ」

「そっか・・・」

「例えば・・・この体で同族とやり合えば、確実に負けるのぅ。お主らが昼間倒したギガントロックリザードぐらいなら余裕じゃ」

「・・・それなら明日は余裕そうだな・・・」

「・・・そうかの?」

「ちなみに、その状態でもブレスってできるの?」

「うむ。できるぞ。試しに何かに打ち込んでみるかのぅ?」

「それはやめて!」

「そ・・・そうか・・・」


 そんな話をしながら歩くとすぐに解体所にたどり着いた。解体所の中は床が石造りになっている。死体を解体するので、いたるところが血で汚れたりしているのかと思ったが、そんなことはなく意外と清潔に保たれていた。とはいえ、建屋の中では既に解体作業が行われている。何か所かに設置された解体用の台の上にはいろいろなモンスターが載せられ、解体されているところだった。(グロい)

 中に入っていくと石田達に気づいて歩いてくるものがいた。作業が割り当てられていないのか或いは終えた所なのか、座れる場所があって、そこに解体する職員が数人座って談笑していた。その中の1人が石田達の元へと歩いてきた。


「いらっしゃい。見ない顔だね。飛び込み?それとも冒険者さん?」


(飛び込み?・・・冒険者じゃない人が持ち込むことだろうか?)


「えーと、冒険者です」


 そういって石田は冒険者証を取り出す。職員のような男は冒険者証を受け取り確認する。


「あれ?Fランク・・・?あ、ひょっとして試験を受けているっていう人かい?」

「はい」

「あーあー。聞いているよ。で、ロックリザードはどこだい?」

「それなんですが、どこに出せばいいですか?」

「あれ?・・・ひょっとしてアイテムボックス持ちだったりする?」

「えぇ。それに近いものが。ただ、開くのに出入口が大きいので広い場所が必要なんですけどね」

「んん?・・・あー、知っているアイテムボックスとはちょっと違うらしいな。・・・しかしそうか。じゃあ、広いところってんなら解体所の出入り口で出してくれれば後はこっちで運ぶよ」

「分かりました。助かります」


 石田は一度解体所を出る。そして天幕を解体所出入口に設置して、ゲートを開いた。京藤達がゲートに入りトラックを運転して出てくる。トラックの台数3台。

 天幕を召喚した辺りで休憩していた職員の人たちが異変に気づき始め、トラックの音によって一気に注目を集めるようになる。ゲートを超えてトラックが出てくる頃になると天幕の周辺に数人の職員が集まってきていた。1台目のトラックがゲートを超えて現れると、驚いた職員たちが驚き奇声を上げた。それを受けて作業をしていた人たちも集まってくる。2台目が出てきたときも驚きの声が上がった。そして、問題のギガントロックリザードを載せた3台目が登場すると今度は別の意味で驚きの声が上がった。

 京藤達は驚きの声などに対応せずに一台ずつそれぞれトラックの後ろを解体所の方へ向けて停車させていった。


「おい!あれ!最後のあれに乗ってるのって・・・ギガントサイズじゃね?!」

「あ・・・あぁ・・・。間違いねぇ・・・」


 集まった職員が荷台を眺めながらそれぞれ驚きの声を上げた。石田は最初に対応してくれた職員のもとに行き話しかけた。


「全部で12体分あります。運んでもらえますか?」

「え・・・?あ、了解です。ただ・・・あのギガントロックリザードは・・・すぐには無理です」


 何があったのか、先ほどまでの砕けた口調から突然敬語にかわっていた。


「あ・・・やっぱり?じゃあ、どこに置けばいいかだけ教えてもらえますか?」

「え?あぁ。わかりました。ただ、少々お待ちください」


 男は仲間の職員に向かって声を上げた。


「ギガントを除いてあとは全部運び込んでくれ!あとダッジ、確認作業を頼む!」

「「「うーい!」」」


 集まっていた職員たちがトラックの荷台に上って死体を動かしたり、荷台を取りに走ったりと動き出した。おそらくダッジと呼ばれただろう男が紙とペンを持って帰ってきて運び出そうとするロックリザードの情報を集めたりしている。


「じゃぁ、こちらへ」


 そういって職員は歩き出した。案内されたのは解体所の一番奥。そこには解体用の机などは一切置かれていない、ただ広いだけのスペースが確保されていた。


「ここに置いて貰いたいんですけど、あの大きな荷車ごと、ここまで動かしますか?」


(大きな荷車?・・・トラックの事か)


「いえ。ここですね。わかりました」


 石田はトラックまで戻り、ファティに声をかけた。


「ファティ、ギガントロックリザードを運んでもらいたいんだけど大丈夫?」

「任せるのじゃ!」


 ファティによって先ほど案内された場所までギガントロックリザードが運ばれた。小柄な少女が両手でギガントロックリザードを持ち上げる姿は相変わらず、違和感全開だった。当然、全職員が信じられないものを見る目で見ていた。

 こうしてすべての死体を運び終わる。証明書を受け取る。その時証明書と一緒に木製の札を渡された。札には57番と書かれていた。


「これをもって明日また来てください。そしたら、持ち込んでいただいたモンスターの買い取り代金を用意してますので」


 とのことだった。証明書と木札を受け取り、再び組合の建物へ。建物の中は先ほどと違い冒険者の数が少なくなっていた。先に貰った指示の通り、報告窓口に。すると疲れた顔をした男性職員が窓口に座っていた。その男は石田を見ると、机の脇から木札を取り出してそれを石田に渡した。


「いま先に2組ほどお待ちいただいてます。この番号でお呼びしますのでしばらくお待ちください」

「ありがとうございます」


 それを受け取る。先ほどの解体所でもらった木札とは異なるデザインで書かれた番号だった。番号待ちのための椅子が並べられているのでそこに座り待つ。意外と待ち時間は短くすんだ。そしてどうやら石田達が最後だったようで、先の2組が出ていく頃には他の冒険者は居なくなっていた。石田達が呼ばれ窓口に行く。証明書を提出するとカウンターの男は枚数だけ数えて大銀貨2枚を石田達に渡した。Dランクを示す札はまた明日以降の受け取りになるという説明を受けて、冒険者組合を後にした。


~~~~~~~~~~


 組合を後にした石田達は宿屋ネムレに向かった。すでに日が地平に沈もうとしていて、辺りは暗くなっていくところだった。少し急ぎ足でネムレに向かい、完全に暗くなる前にたどり着いた。

 ネムレに入ると、すでに夕飯の時間になっていたようで、お客さんに交じってタミーナたちも食事をしていた。石田達もタミーナたちの側の空いた机に座る。椅子に座ったところで石田があることを思い出し声を上げた。京藤が驚き尋ねた。


「あっ!」

「どうしたの?」

「・・・材津さんたちの食事って・・・どうなってるんだろう?」

「「「あっ!」」」

「「「「・・・・・・」」」」

「京藤さん、ちょっと確認とってみて。俺は2人分追加で出せないか聞いてくる」

「分かった」


 京藤はタブレットを取り出し連絡を入れる。石田は席を立ちカウンターへ向かう。カウンターでは石田達が入ってきたことを確認してジュナイドが食器などを用意しているところだった。


「こんばんは。ジュナイドさん」

「おう。いま準備して持っていくからよ。ちょっと待っててくれ」

「あの、ちょっと聞きたいんですけど、私たちとは別に2人前ほど料理を用意することできますか?」

「ん?誰か来るのか?宿泊客用の料理は人数分しか作らねぇ。だから、同じ内容では無理だぜ。ただ普通のレストランとしても営業しているから、このメニューにある料理なら出せるぞ」


 ジュナイドはそういってカウンターの端に置かれていたメニュー表を手渡してきた。


「もちろん、こっちの料理を頼むんだったら宿泊料金とは別に料金が発生するからな」

「了解です」


 ジュナイドはニヤッと笑って続ける。


「何ならお前らもこっちのメニューから注文してくれ。そしたら儲かるからよ!」


 石田はメニューに目線をやりお世辞で答える。


「はは。確かにおいしそうなお品が並んでます。お腹に余裕があればぜひ」

「はは!いうじゃねぇか。まぁ、興味があれば注文してくれや。量を多めに作ってやるぜ」


 石田はメニューをもって席に戻る。席に戻ると京藤が報告してきた。


「まだ食べてないけど、缶飯をゆでちゃったって。できることなら美味しいもの食べたいって言ってるけど・・・どうする?」


 石田は思い出す。京藤達は缶飯を延々と食べ続けてきたということを。そして、間宮たちは領に自生する食べ物を集めて料理したりして、味覚を満足させてきたということを。そういった苦労をさせてきたという自覚があるため決断は早かった。


「同じ内容の料理は無理らしいけど、このメニューにある内容なら注文できるらしい。せっかくだから彼女らもこっちに呼び出そう」


 そういって石田は手に持っていたメニューを机に置く。


「いいの?」

「食事で苦労駆けてきた自覚がありますので・・・」

「わかった、じゃあ転送施設まで来るように伝えとくね」

「お願い。俺はちょっと裏でゲート開いてくるよ」


 石田が店の入り口に向かおうとすると瑞山と古井が席を立ちついてきた。


「私もお供しますよ」(瑞山)

「同じくです」(古井)

「お、ありがとう」


 店の裏に行って天幕を張り、ゲートを開くとすぐさま材津と浦風が出てきた。一応2人にも安全のためフィールドを強めに付与する。


(今更だけど・・・この2人の分も税金払わないとまずいよな?・・・ま、それは明日でいいか)


 ゲートを閉じ天幕をしまい店に戻る。店内に戻ると男性客を中心にわずかに動揺が走ったようだ。

 席に戻り浦風にメニューを渡す。すると他のユニット(+ファティ)も興味あるのかメニューに群がった。それぞれ「これがおいしそう」とか「これどんな味だと思う?」とか話をしている。皆、結構料理に興味があるようだった。


(確か高くても銀貨数枚、安ければ大銅貨1枚ぐらい位の料理が並んでたな。じゃあ、まぁ、今日だけで大銀貨2枚は所得があったわけだし・・・)


「みんな。興味があるなら注文しちゃっていいよ」

「「「「「ホントっ!?」」」」」


 全員のテンションが一気に上がった。石田は再び席を立ちカウンターへ。カウンターの奥ではジュナイドが石田達に背を向けて、料理を皿に盛り付けているところだった。


「ジュナイドさん。メニューってまだありますか?」

「あぁ?」


 ジュナイドが振り向いて石田達の席に目を向け、理解したようだった。嬉しそうな顔になる。


「おう。あそこに後2冊ほどあるから持ってってくれ」

「了解です」


 ジュナイドが先ほどメニューを取り出したあたりを指さした。見ると同じようなメニュー表が2冊ほどあった。それをとって席に戻る。


「はい。メニューもらってきたよ」


 そういってメニューを渡した。1つのメニューに9人で群がっていたのが3人に1つになることでそれぞれ席についてメニューを眺めれるようになった。

 メニューを渡して席に着いた石田のもとにタミーナとガパティ、マハ(フォックス族の50代女性:*1)がやって来て話した。


「どうも。お疲れ様です」


 タミーナの話によると、昨日到着した大規模な隊商がボールペンのうわさを聞いて来店、ボールペンと紙をすべて買い占めて行ったそうだ。ちなみにその際、「もっとたくさん欲しい」という事だったので追加注文を受けたそうだ。また食事が終わってからその商品を準備することになった。

 そしてガパティの話によると、その隊商がたくさんの品物をここに持ち込んだことで市場価格に動きがあったようだ。具体的には色々な商品の価格が下がったそうだ。

 まぁ、そりゃそうだな。商人の立場からすると、市場に同一の商品があふれたなら少しでも価格を下げて、商品を換金しようとするだろう。何故なら、商品を持っていても食っていけないからね。換金して新たな商品を仕入れたり、生活に必要な食料を集めたりと、お金が必要な人は価格を下げてでも商品を売ろうとするわけだ。

 しかし、中には価格が上がった物もあるそうだ。それは製造や入手が困難なものだ。具体的には武器類などが値上がりしたそうだ。隊商を護衛してきた冒険者らが武器を修理したり、壊れた物を新調したりしたためだそうだ。


「え?・・・じゃあ、銃は購入できなかったんですか?」

「いえ、そこは何とか頑張りました」


 銃はもともと冒険者には人気のない武器らしく、あまり値上がりしていなかったそうだ。それでも少し値上がりしていて、1丁あたり金貨11枚と請求されたそうだ。ガパティ達は頑張って値切り交渉を行ったそうだ。その結果1丁あたり金貨8枚と大銀貨5枚まで値切ったそうだ。ただ、残念なことに銃は4丁までしか在庫がなかったため、5丁は揃えられなかったという。


「本当申し訳ないです。ほかの店も回ってみたんですが、どこも取り扱いがなく・・・」

「あぁ。それは大丈夫です。4丁でも確保してもらえたなら助かりました」

「そうですか。明日も銃を探したほうがいいですか?」

「いえ。大丈夫です。とりあえず4丁で十分ですよ」

「承知しました。ではこちらが残ったお金になります」


 ガパティから袋を受け取る。石田はその中から金貨5枚を取り出す。これは彼らが値切ってくれたお金の半額だ。銃1丁あたり金貨で、11 – 8.5 = 2.5枚分値切ってくれた。そしてそれを4丁ということなので値切りの総額は2.5 × 4 = 10枚という具合だ。そこで値切ってくれた金額の半分を彼らに返そうと考えた。


「これは値切っていただいた金額の半分です。受け取ってください」

「そっ・・・そんなに受け取れません!」

「いえ。受け取ってください。あなたたちもいろいろ必要なものがあると思います。ですからこのお金を受け取って、これでいろいろと揃えてもらえればと思います。どうぞ」


 しばらくガパティは悩んだ後、受け取った。


「分かりました。ありがとうございます」

「いえ。こちらこそありがとうございます。あと、今後ともよろしくお願いします」

「はい。あと、その銃ですが、今部屋の方にあります。お渡しは食後でよろしいですか?」

「はい」

「では、また食事が終わるころ合いを見て伺いますね」

「お願いします。では」


 ガパティは食事をしていた席に戻っていった。ふと気づくと、先に話を終えていたタミーナはまだ席に戻っていなかった。タミーナとマハが顔を合わせると、マハが話しかけてきた。


「ちょっと聞きたいことがあるんだけど・・・いいかい?」


 風呂を沸かすのはどれぐらいの費用が掛かるのか・・・という話だった。タミーナやマハなど、主に女性陣から風呂を使いたいという要望があるのだとか。もちろんお湯を用意したりするのはお金がかかる事を理解しているようで、そのための費用を知りたいとの話だった。そして払える範囲であれば風呂に入りたいとのことだった。

 なんでも風呂に入る、という文化はこのあたりにはないらしい(北部の水資源が比較的豊かな地域なら川などで水浴びをする文化はあるらしい)。この辺では水で濡らした布で体や髪を拭く事で汚れを落とすぐらいだそうだ。これまではそれで問題を感じなかったらしいが、前回お風呂に使ったところその魅力に取りつかれたそうだ。あと、何も考えなかったが、ドライヤーがとてもよかったという。髪の毛を乾かすにはタオルでしっかりと水けを取り自然乾燥させるしかないのだが、ドライヤーが使えることで素早く乾燥させられた。そのおかげか、髪の毛が匂わなくなった上さらに、つやつやになったそうだ。また、タミーナ曰く、川で水浴びをするのに比べて驚くほど髪の毛がしっとりするのだそうだ。


 なぜこうなったのか。ドライヤーで乾かすと、素早く乾燥させられる。逆に自然乾燥だと、髪の毛が濡れた状態が長く続く。髪が濡れていると雑菌が繁殖しやすくなり、これが匂いやかゆみの原因となる。

 また、髪が濡れているとキューティクルが痛む危険が高まる。キューティクルは髪の毛の表面にうろこ状に着いている。これが髪の毛の中のうるおい成分を守っている。しかし髪が濡れると怒った犬の毛が逆立つように、キューティクルが逆立ち、結果うるおい成分を無防備な状態にするのだそうだ。もちろんこの状態で何もしなければ問題はない。しかし逆立ったキューティクルははがれやすくなっているという。このため、濡れた状態の髪がこすれるとキューティクルがはがれてしまう。その結果うるおい成分が流出してしまうのだ。・・・しかし、これは髪を洗い終わってすぐに気づくほど影響のある話ではない。

 この地域の水は硬水だ。硬水とはミネラル分を多く含む水の事だ。硬水で髪を洗うと髪のたんぱく質にミネラル分が付着する。この結果、髪の毛のごわごわした感触を作り出す。また、ミネラルと石鹸成分が化学反応し髪の毛にダメージを与えることもある。このため、硬水+石鹸では髪の毛を痛める結果となる。石田の領の水はミネラル分をあまり含まない軟水で、それが良かったのだろう。


 石田はとりあえず一人当たり銀貨1枚と伝える。すると全員が利用するとの事だった。また、食事を終えたら設置も手伝ってくれるという。


「分かりました。ではまた食後にお願いします」

「こちらこそ、お願いします」


 そういって、別れた。

 食事は全員がいろいろと料理を追加で注文した。そのおかげでかなりの量の食事になった。ただ、武官ユニットの皆は体を動かすためか、結構たくさん食べても平気そうな顔をしていた。むしろ文官ユニットの2人が調子に乗って注文しすぎてギブアップしそうになってた。

 食事を終え料金を払ってから、急ぎ風呂を設置した。全員、風呂に入った。そしてガパティから銃を受け取り、領に運ぶ。材津と浦風には宿の部屋が用意されていないので、領で休むように伝えた。そして、石田達はネムレで休んだ。



 この日の夜、石田達は襲撃を受けた。

*1 :盗賊の砦でラエレン達を落ち着かせる際に協力してもらった女性。19話登場


自分脳科学系の話が結構好きです。と言っても全然詳しくないですけど。

脳は訓練次第で結構いろいろ発達するそうですよ。

少し話は飛びますが、脳の発達で面白い情報です。

オーストラリアのアボリジニの言語のひとつにグーグ・イミディル語が

あるそうです。この言語には前後左右を現す言葉がないそうです。

ではどうやって物の位置を表すのかというと・・・例えば

「リモコンはテレビの南側にある」と言ったように東西南北を用いて位置を

表すそうです。驚いた話、実験でこの言語話者たちを目隠しして遠いところへ

連れて行き、自分の村の方角を指さしてもらうと、

正確にその方角を当ててしまうのだそうです。

どうも渡り鳥や伝書鳩などにみられる絶対的な方向感覚

(それこそ東西南北を感じる能力)を持っているのでは、といわれています。

言語としてそもそも前後左右を持たず、幼いころから日常的に

東西南北を感じて暮らしていると、そういった能力を身に着けるのだろうと

考えられているそうです。・・・きっと脳がそう発達したんでしょうね。

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