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領へ戻ったのち、全員に連絡してからゲートの出現位置を昨日の狩りを終えた地点に動かした。そして再びゲートをくぐる。天幕を呼び出し間宮を除く各ユニットとパントムを召喚した。間宮には領の方でUH-1の出撃準備をさせている。
石田は天幕の中で電子スクリーンを眺めながら古井に連絡を入れる。
『こちらパントム。現地に到着しました』
「パントム到着了解。古井さん。今日は街道に近い場所を探索してください」
『了解です。しかし、なぜ街道付近と限定されるのですか?』
「いや、単純に昨日の狩りを行ったポイントと街道の位置関係をざっと眺めてみたんだ。そしたら戦闘場所は街道からどんどん離れて行っていたらしい・・・」
『はー・・・そしてロックリザードの大きさも徐々に大きくなっていった・・・ですね?』
「そう。だから今日は街道の付近で捜索すれば、比較的小さな個体を倒せるんじゃないかなって話だね」
『承知しました。進路を変更して街道の方へ向かいます』
「お願いします。オーバー」
地図上で航空機アイコンが進路を変えて街道の方向へと移動し始めた。
(さてさて・・・今日は昨日のような危ない戦闘にならないといいんだが・・・)
しばらく待つ。すると古井から連絡が入る。
『司令。見つけました。そちらから言うと・・・街道の向こう側になります。ご確認ください』
マップに赤い点が表示された。広域マップのため複数の赤点が重なっていて数まで確認できない。その表示個所を拡大表示すると赤点の数は6個あった。
ロックリザードたちがいるのは古井が言う通り、街道の向こう側だった。ルブアから北東方向に街道が伸びている。現在石田達がいるのはルブアからほぼ北北東方向で街道からはそれなりに離れている。現在地から見て赤い点はおよそ東に位置する。街道を越えたすぐのところに表示がある。
「了解。ざっくりとでいいから、大きさを測るとかできる?」
『距離の計測機能を使えば・・・できなくはないですけど・・・現在の高度ですと誤差を±30cm程度見積もることになりますよ?高度を落として計測すれば誤差を小さくできますが、それでは地上に飛行音をとどろかせて警戒させることになります・・・』
距離計測機能だからそもそもが数百m単位で計測するための機能だ。故に誤差±0.3mというのは非常に高精度だ。しかし全長1.5mの対象を計測するには大きすぎる誤差だった。
「はは・・・確かにそれは大きい。でもまぁ、高度を落とさなくていいのでお願いします。ざっくりとでいいんで」
『コピー。少しお待ちください』
「了解」
石田はタブレットを操作し間宮につなぐ。
「こちら石田。間宮さん。出撃をお願いします」
『こちら間宮。了解しました。UH-1出撃します』
「出撃了解」
『司令。古井です。計測終わりました。およそ・・・ですが約1.5mです』
「了解。ありがとう。やっぱり街道に近いほど体が小さくなるのかね?」
『見たいですね・・・監視を続けます』
「お願いします。オーバー」
石田の体から少し力が抜ける。それと同時に上空からヘリのはばたく音が響いてきた。石田は天幕を出て、天幕を戻す。ヘリの音を聞き、周囲を警戒していたユニットが集まってきた。
「やぁ。発見できたんだ?」
「あぁ。ざっくりとだけど大きさを測ってもらったら約1.5m位だって。誤差は±30cmもあるけどね」
「なるほど。それはよかった。少なくとも2.5m級じゃないなら安心だからね」
全員でUH-1に乗り込み移動する。石田はやはりガンナー席に着き例のヘルメットを装着した。
「今回はぁー!前回の反省を生かしてー!ちょっと遠めに降ろしてから警戒されないように接近してみよー!!」(石田)
「りょーかいっ!」
相変わらずヘリの中は大声での会話になる。
ヘリはかなり対象の1.5km手前で着陸した。かなりの距離を歩いてもらうことになるが警戒されないために仕方ない。
京藤達がヘリから離れると、ヘリは上昇を始める。前回の反省を高度を高めに保ちながら戦闘を監視した。
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正直言ってしまって今回は。特筆することがない。日光浴を楽しんでいるらしいロックリザードたちに対して背後から近づいた。これはパントムの映像を確認しながら石田が指示を出したため簡単だった。ロックリザードたちに気づかれる前に先制攻撃を浴びせることでいきなり2匹を仕留めた。その後慌てたロックリザードたちは逃げ出してしまい、これといった戦闘らしいこともなく終了してしまった。
トラックを呼び出し先日同様その死体を載せる。今回仕留めた相手は体長1.4mの個体と1.7mの個体だった。古井の計測は誤差範囲に収まる正確なものだった。小さい個体のため重量も軽く持ち運びは簡単だった。
「いや~今回は楽でいいね~」
石田と一緒に1.4mの個体(の死体)を抱える湯川が感想を述べた。
「確かに。昨日の2.5mの個体は苦労したな・・・」
「ホントホント。あれが全力疾走で突っ込んできたときは生きた心地がしなかったしねぇ~」
「はは。確かにあれは驚いた」
「司令、持ち上げるよ~・・・3、2、1っ」
「いよっこいしょっ!」
73式トラックの欠点・・・というとおかしいのかもしれないが、荷台の高さが少し高い。地上からおよそ1.4mほどの高さに荷台があるからおよそ胸~肩のあたりまで荷物を持ち上げないといけない。2人がかりで持ち上げ中に押し込む。中では瑞山と、京藤、ナイチンゲールが待機していてロックリザードをつかむとそのまま奥へと引っ張っていった。
「いや~でも今回は小さくて助かった~。やっぱこれが成長するとああいう大きさになるのかな?」
「だろう。これが成長することで2mとか、さらに成長して2.5mとかになるんだろう」
湯川の問いに石田は答えた。そこで石田は悪戯を思いついた。ニヤッと笑って悪戯っぽい笑みを浮かべて続けた。
「いや待て、2.5mでさえまだ成体ではなかったとしたら?いや、そんなはずは・・・」
ここで突然通信が入る。
『司令。報告です。街道を少し北上したところで戦闘が発生しています』
「え?・・・んん。どんな状況?」
『なんというか・・・かなり大きなロックリザードが単身で人の集団に突撃しています』
「げぇ・・・かなり大きいってどれくらい?」
『え~と・・・動き回るので正確な計測は難しいのですが・・・およそ5mでしょうか』
石田と湯川は顔を合わせる。
「・・・それ小火器じゃぶち抜けないんじゃないか?」
『えぇ、かもしれません。・・・ただ、その・・・どうも襲われている集団がですね・・・ルブアの兵士たちの装備をしているんです・・・』
「あ~・・・それは、放っておけないなぁ・・・」
アレーシャの話だとこの冒険者試験を終えた後はルブア軍からの依頼をこなすことになっている。お客さんになるであろう相手には少しでもいい印象を持っておいてほしいと思う。
湯川がを作って怒ったような顔をした。
「・・・司令があんなこと言うからじゃん?」
「かもね・・・はぁ」
ため息をついてから石田は表情を変えた。
「分かった。古井さんは戦闘を監視!京藤さんたちは急いで再召喚だ。湯川、瑞山は装備を工兵に変更。各自主兵装はAA-12を装備。さらに対戦車兵装、MBT LAWを装備するように!」
「「了解」」
「京藤、ナイチンゲールは衛生兵に変更。主兵装AA-12で応急キットとAEDを装備してルブア軍兵士の救助に回ってくれ!」
「「了解!」」
「間宮!ヘリのガンナーに俺を載せてを出撃!先行してキャリバーで奴の気をこちらにそらさせて時間を稼ぐ!」
『了解です』
天幕の外でアイドリングしていたヘリが、その出力を上げて風を着る音が大きくなる。
タブレットを操作し京藤とナイチンゲール、湯川、瑞山を領へと強制帰還させる。そして再び召喚の欄から4人を選択し召喚する。4人は装備変更を素早く済ませて天幕の中に現れる。天幕をしまう。
「京藤さん達はまず残ったロックリザードをトラックに積み込んでくれ。その後京藤の運転で3人を戦場まで移送!湯川、瑞山の両名はLAWでロックリザードを攻撃、撃退せよ!戦闘終了の後、京藤・ナイチンゲールはすぐに負傷者の救出に入ってくれ!」
「「「「了解!」」」」
どうでもいい情報:
ミサイルランチャーってことで少し調べました。
MBT LAWと分類上同じミサイルランチャーにFGM-148 JAVELINがあります。
まぁ、どう違うのかとかはさておいてその価格を比較してみたんです。
ウィキで探してみると
MBT LAWは25000ユーロ ⇒ 325万円
FGM-148 JAVELINは165000ドル ⇒ 1815万円
だそうです。結構価格に差があるんですね・・・。
ちなみに2018/05/05現在の換金が大体・・・
1ドル ⇒ 110円 / 1ユーロ ⇒ 130円
でした。
ちなみにFGM-148 JAVELINはミサイルと発車指揮装置(CLU)を組み合わせて
使うことになっていて、CLUは繰り返し利用が可能です。
だから発射した後はミサイルだけ購入すればいいのだそうで・・・
CLU ⇒ 125000ドル ⇒ 1375万円
ミサイル⇒ 40000ドル ⇒ 440万円
だそうです。うん。威力とかいろいろ比較要素ありますけど・・・
価格だけならMBT LAWが圧倒的に安いですね。




