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後方兵科が異世界転移!?  作者: お芋さん
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遅くなり申し訳ないです。

 天幕のPCからゲートを開き、全員を領へ戻す。タブレットを操作して天幕をしまったのち、自分もゲートをくぐった。サバンナの埃っぽい空気と比べ、領の空気のほうが澄んでいるような気がした。


(おかしい・・・。工業施設もあるのに自然豊かなあっちより空気が美味しいって・・・何故?!)


 石田は不思議に思い周辺を見渡す。転送施設内で換気扇とか、空気清浄機が動いている様子はなかった。

 その代わりにと言うとおかしいが・・・とてもいい笑顔をしながらビシッと敬礼を決めた間宮を見つけた。


「司令!盗賊の砦で手に入れた食材と、領主の館にある調理室の使用許可をください!」

「へ?」

「晩御飯を準備したいと思います。缶食でもいいんですけど、せっかく食材も調理器具もそろっているのにそれを使わない手はないですからね」

「・・・ん!そういうことか!あ、でも・・・食材が足りないんじゃないですか?」


 そう。盗賊の砦で手に入った食材はイモや根菜系、干し肉といった冷暗所であれば長期保存できる食材ばかりだった。料理を作るには生鮮野菜などが必要なのではないのかと疑問に思ったのだった。


「ふふふ。抜かりはありません!美典ちゃんと建子ちゃんが演習場に自生野菜を採りに行ってくれてます」

「・・・」


(・・・もしかして、瑞山さんが演習場に囚われていたのって・・・)


「あのー・・・間宮さん」

「はい?」

「領が霧に囚われてしまうその日もやっぱり・・・演習場で食材を探しに?」

「はい」

「・・・苦労を掛けます」

「?」

「調理室も食材も自由に使っちゃって。必要なものが他にもあれば言って。可能な範囲でそろえるよ」

「はい!ありがとうございます!」


 非常にうれしそうな顔をした。間宮は一度敬礼をした後、駆けて行った。

 背後でゲートが閉じた。制御室には京藤がいてゲートを操作しているようだった。京藤が制御PCを離れ制御室から出てきた。


「司令。お帰り」

「あぁ。ただいま」

「今日は久しぶりに領で眠れるね」

「そうだな・・・。ジュナイドには悪いけど・・・ネムレよりこっちのベッドのほうが寝心地いいしね」

「はは。そうだね」

「そういえば・・・古井さんは?」

「マホロは今空港の空軍施設にいるよ。なんでもナイトホークへの機種転換訓練をする言ってた」

「えっ!?」

「と言っても、学科のみでシミュレーションや実技はしないって。パントムの操縦感覚が狂わない範囲で取り組むって言ってた。・・・でも、機種転換を命じられたらすぐに行えるように備えておくって」

「・・・とてもありがたいけど・・・確か古井さんは適正的に戦闘機や爆撃機は苦手なんじゃ・・・」

「うん。ボクもそう思うんだけどね・・・」


 2人して首をかしげるが、何も情報がないのでは結論も出るはずはなかった。

 京藤がふと何かを思い出したかのようにタブレットを取り出し画面を流し読みしながら話した。


「そうそう。管理施設のパスワードを美典から聞いといたから、今度からは出口を好きに選択できるよ」

「おっ!それはありがたい!」

「って言っても現状はルブアぐらいしか出口として利用できそうなところはないけどね」

「そうか・・・でも新しい街とかが見つかったら、都市間の移動が楽にできるってことだよね?」

「そうだね」

「良かった・・・あ、じゃあ一度ルブアにつないでもらえる?」

「うん?」

「タミーナさんに今日の売り上げ聞いてみたいし」

「なるほど。それは確かに興味あるね。でも、それはまた後にしてもらえるかな?」

「ん?なんで?」

「あれ?まだ通知は確認してないんだ」

「あぁ。ごめん。できれば今日中に狩りを終えてルブアに戻れればって思って急いでいたから」

「そっか。今日の活動で解放されたユニットがいるんだ。だから先に顔合わせをお願いしたいんだ」

「ん!なるほど。確かにそれは大事だ」

「うん。じゃあ、呼びに行ってくるから執務室で待っててもらっていいかな?」

「承知」


 2人は転送施設を出た。石田は領主の館へ、京藤は研究施設の方へと歩いて行った。


 執務室に到着した石田はPCを立ち上げる。ユニット一覧を呼び出し、新規に解放されたユニットの情報を探す。


材津綾香ざいつあやか

 性別:女

 練度:Lv.18

 装備研究所

 文官ユニット

 すべての工学分野を一通り修めている秀才。一応専門は材料工学で、防御技術について開発に携わってきた。その過程で素材(装甲材料)だけでなく樹脂素材、繊維、防御システム、迷彩技術などにも精通した。非常に知的好奇心の旺盛な人物。戦闘力はない。


浦風美穂うらかぜみほ

 性別:女

 練度:Lv.20

 装備研究所

 文官ユニット

 自然科学全般にわたり広い知識を持ち、分析を得意とする。とりあえずなんにでも放射線を浴びせて分析(X線結晶構造解析)しようとする事から「放射脳」と呼ばれることもある。当人は分析に関するその他の手法も使うためやや不満に思っている。戦闘力はない。


 今回は射撃試験が評価されたのだろう。研究系職員が解放されたようだった。2人とも文官ユニットで戦闘力はないが、領の装備開発や研究といった機能を高めてくれる。

 2人とも練度がLv.1ではない。文官ユニットはその能力を活用すると練度が高まる。この2人にはいろいろと装備を開発してもらった(ガチャを回してもらった)からだ。


(・・・この2人ならロックリザードの鱗を解析して、最適な武装の選択や戦闘方法の構築を考え出してくれるのだろうか?・・・うん。ロックリザードの鱗を調査してもらおうか)


 と考えていると執務室の扉がノックされた。


―コンコン


「はい。どうぞ」

「失礼します」

「「失礼します」」


 京藤さんに続いて2人、部屋に入ってきた。その2人のうち1人は京藤と同じ野戦服、もう1人は白衣を着ていた。3人は執務机の前に一列に並んだ。


「司令。連れてきたよ。2人とも自己紹介を」

「はい。材津綾香です。戦闘はできませんが、防御装備を開発することはお任せください!よろしくお願いします」


 材津はやや小柄な女性だった。腰まで届く長い後ろ髪をポニーテールでまとめ、前髪は左右で長さが違う。前髪は顔を隠さないように左右へ振り分けられていて意外と広いおでこが見える。丸い下側だけフレームのある眼鏡をかけて、やや面長な顔をしている。小柄な体は引き締まっており、陸上競技で鍛えたような細いが、きちんと筋肉の付いた体をしている。そのためというとおかしいが、胸はやや控えめだ。戦闘ができないと言っているが、体を動かすのは好きそうなスポーティーな印象を受ける。野戦服を着ている。


「浦風美穂じゃ。同じく戦闘はできん。専門は分析じゃけ、何か調査の必要な素材、武器・兵器なんかがあったら申しつけて。よろしくお願いします」


 浦風は材津よりさらに小さな体格をしている。髪は肩甲骨に着く程度のロング。毛先がくるっと丸まったりと、髪の毛全体がふわっと広がった形状をしている。顔は丸型の顔でかわいらしい顔つきだ。しかし、幼さというのは感じられない。そして体は小さいが、起伏の大きな体をしていて・・・意外とグラマラスだ。なんというか、普通に魅力的な女性を用意してゲームのパラメーター設定を間違えてしまい身長が低くなっている・・・って感じだ。白衣を着ている。


「自己紹介ありがとう。司令官を務めさせてもらっている石田一秀だ。よろしく」

「司令、一つ聞きたいんじゃが、ええ?」

「はい。どうぞ?」


 浦風が司令に質問した。


「他の領との接続が断たれているってホンマ?」

「あぁ。そう。本当だよ」

「・・・てことは・・・輸入もできんってこと?」

「そう」


 石田が答えると浦風の顔から表情が消え、その場にへたり込んでしまった。


「ふ・・・フフフ・・・甘味が・・・」


 石田は浦風の突然の変化に驚く。石田の驚いた顔を見た材津が浦風のフォローを入れる。


「あー、司令。美穂は大の甘味好きなんです。・・・ほら、頭を使うと甘いものが欲しくなったりしませんか?多分、それで甘味が大好きになったみたいで・・・」

「うん。この領には戦闘糧食の製造工場はあっても、間食の製造工場はないからね・・・」

「・・・な・・・なるほど。京藤さん、ちなみに砂糖の備蓄とかはあるの?」

「それは、一応」

「じゃあ・・・甘味の生産工場を・・・」


 石田が提案をしようとするとそれを聞いた浦風が突然生気を取り戻し、石田に詰め寄った。


「司令!それはホンマかの!?」

「・・・あ、あぁ」

「いやったぁ!!!」


 浦風が満面の笑みで小さく飛びながら喜びを体で表現した。しかし、その話を聞いていた京藤が水を差した。


「司令。ちょっと待って。工場を建てると、大量生産することになるよ。ボクも、甘味が食べられるのは大歓迎なんだけど、消費しきれないと思うんだ」

「あ・・・あーそうだな」

「えっ!?いやでもイクちゃんも甘味は食べたいんじゃろ?」

「やっ・・・それはそうだけど・・・領の資源を管理する立場としてはちょっと難しいんだよ」

「う・・・う~・・・」


 石田はあることを思い出す。


「あー・・・間宮さんならお菓子作りもできるんじゃないかな?とりあえずは手作りしてもらえばいいんじゃないか?」

「うん。とりあえずはそうしよう」

「でも、間宮さんには別の仕事もあるんじゃろ?持続的に作ってもらうわけにはいかんじゃろ」

「そうだな。何か他の方法を考えてみるよ」

「う~・・・わかった。くれぐれもお願いするよ」


 浦風もとりあえずは納得してくれたようで、頷いた。


「で、浦風さん。早速だけど分析を依頼したい。現在とある生物を狩猟しているんだけど、どうも銃による攻撃が効果を与えにくいんだ」

「・・・熊とか?」

「いや、トカゲなんだ。その鱗がとても硬い」


 そういうと隣で静かにしていた材津が興味を持ったようだ。顔が引き締まり会話に混ざってきた。


「トカゲの鱗が・・・ですか?銃を相手に?」

「あぁ。とても信じられなかったが、現に戦闘をして弾を弾かれてしまった」

「本当ですか?!」

「あぁ。より威力のある武器を利用する・・・ということで対応していく。だけど、できることなら他にも対応策が欲しい」

「なるほど。了解です」

「承知した」


 2人は真剣な顔つきで敬礼した。石田も敬礼を返した。

 4人で転送施設へ移動した。トラックに積み込まれたロックリザードの遺体を見せてトラックごと2人に引き渡した。2人はトラックを運転し研究施設の方へ遺体を運んでいった。

2018/04/23

すいません。

宿屋「ネムレ」を「ネロウ」と表記するミスがあり、訂正しました。

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