37
すいません。更新遅くなりました。
ちょっと今バタバタしていて、4月中は更新間隔が長くなりそうです。
「古井さん、逃げた4匹の位置はわかる?」
『そこから北におよそ800m行った先に地面に穴が掘ってあります。そこへ逃げ込むのを確認しています。ただ、どうやら巣穴らしいのですが・・・おそらく人が入るのは難しいと思います』
「そっか・・・じゃあ、新しい集団を探してくれ」
『コピー』
古井へ偵察の指示を出す。
「良し。じゃあ、間宮さん。ヘリの準備を願いします」
「はい」
「京藤さん、ブルーシートとかはあるかな?」
「あるよ」
「じゃあ、それを出してもらって、トラックの荷台に敷いてこのロックリザードを載せておこう」
「了解」
古井が新たな標的を探している間に移動のための準備を整える。トラックにロックリザード載せて、それをトラックごと領へと運んでおいた。これで運搬に関して手間を省くことができることだろう。トラックなら10匹をいっぺんに運ぶこともできるだろうしね。
『司令。見つけました。そこから北におよそ2kmのあたりで移動している集団があります。数は5です』
「了解。2kmか・・・ちょっと遠いな」
一応説明しておくと、今は1匹目を狩った岩山の上にいる。移動するには一度山を下りる必要がある。
『さらに、地形情報を追加します。ターゲットは街道から少し離れた場所で、峡谷ではなく草原地帯にいます。1kmほど北上すると少しづつ草の密度が高くなり始めます。目標の集団の周辺は それなりに草が生い茂っています。接近する際はお気を付けください』
「了解」
『以上。オーバー』
古井との会話が終わると、間髪を入れず間宮から連絡が入る。
『こちら間宮。UH-1、離陸準備完了しました』
「こちら石田。離陸準備了解。離陸どうぞ」
『了解。これよりゲートへと向かいます』
「了解。オーバー」
通信を終え少しすると、体から少し力が抜ける感触があった。上を見るとUH-1が飛んでいた。ゆっくりとヘリが高度を下げ石田達から少し離れた場所に着陸した。
ルブアに来るまでの間の訓練のおかげでそれなりにMPが上がり、それなりに召喚できるようになっていた。今ではパントムを5往復はさせられると思う。
トラックを領へ戻し、天幕を片付ける。そしてヘリに乗り込み移動した。
移動時間を利用して少しヘリについて解説しよう。UH-1は通称「ヒューイ」という名前で呼ばれる。これはUH-1が開発された当初、HU-1という名前だったことに由来する。1(いち)という数字はIという英文字に似ている。このことからHU-Iと呼ばれたらしい。まず米軍にHU-1の名前で採用され、ヒューイと呼ばれるようになり、その後米軍で命名規則が改定されてUH-1となった。名前が変更されてもUH-1は相変わらずヒューイと呼ばれているそうだ。ただ、ヒューイは兵士の間で呼ばれる愛称・・・のようなもので正式な名前は「イロコイス」なのだそうだ。
UH-1は1959年に米軍に採用され、ベトナム戦争などで活躍した。中型の多用途ヘリコプター(或いは汎用ヘリコプター)だ。多用途と呼ばれるだけあって兵員・物資の輸送だけでなく、偵察、や爆撃の効果測定にも用いられた。そして驚いたことに、このUH-1はロケットポッドや機銃を装備した対地攻撃用のガンシップとしても活用された。現在攻撃ヘリと言えばAH-1コブラやAH-64アパッチが有名だ。これらの攻撃ヘリを開発するに至る「必要性」と「有用性」を示したのがこのUH-1というヘリコプターだった。
間宮が操縦しているUH-1は乗員室の機体側面にM2が取り付けられている。乗員数は7名の兵員輸送に主眼を置かれたタイプだった。
「目標地点周辺に到着。着陸します!」
ヘリコプターに乗るならヘッドセットをつけて無線で会話をするのが良いのだが、今は全員ヘッドセットをつけていない。このためヘリの立てる音に負けないように間宮が大きな声で叫ぶ。
「了解!」
と、ここで石田はあることを思い出す。
(そういえば、古井さんに夜間偵察をしてもらった時は「F-117ナイトホーク」が解放されていたな・・・。ということは、ここでガンシップ的にヘリで空から攻撃すれば・・・攻撃ヘリが?)
「京藤さん!俺はヘリから偵察と援護をするから地上での指揮をお願いします!」
「了解!」
ヘリが地上に降り立った。京藤、ナイチンゲール、瑞山、湯川が降りる。降りた場所は、かつての世界のサバンナのような景色だった。人の膝上まであるような高さで、茅色(かやいろ:かやぶき屋根の色。又は枯れた草の色)をした草が一面に植わっていた。
操縦席についている間宮が上半身をひねりドアガン近くの壁に固定されたヘルメットを指さした。
「司令!ヘリに残られるなら、そこにあるヘルメット一体型のヘッドセットを使ってください!」
「ありがとう!」
石田は壁に固定されていたヘルメットを取る。ヘルメットには壁から出たケーブルが接続されている。そのヘルメットを装着した。
『ヘリ上昇します。M2についてください』
「了解」
石田がM2につくのを待ち、間宮はヘリを上昇させた。
ヘルメットにはバイザーがついていた。バイザーを下ろすと、驚いたことにそれはARモニターになっていた。バイザーの左側に上下並んでミニマップと、レーダーが表示されていた。
『司令。ヘルメットの右耳のあたりにスイッチが3つ並んでいると思います』
指示された通りの場所を触ってみると3つのスイッチの感触がある。
「あぁ、あるね」
『その中の後ろのスイッチを1回押してみてください』
スイッチを押すとレーダの表示の周りに白色の囲いが現れて点滅する。
『レーダーの表示が選択されたと思います。そしたら今度は一番手前のスイッチを押してみてください』
指示に従って押すとレーダーの囲いが点滅しなくなった。
『また後ろのスイッチを押してもらうとレーダー表示が別の表示に切り替わります。司令官でしたら広域マップを利用されるといいと思います』
一番後ろのスイッチを押す。すると広域マップが表示された。他には何の表示があるのか気になって、さらにスイッチを押す。するとパントムからの偵察映像→間宮のヘルメットカメラからの映像→表示なし→レーダー→ミニマップ→広域マップと戻ってきた。
『表示したいものが現れたらまた手前のスイッチを押すとその表示で決定されます。最後に中央のスイッチを押すと選択マーカーが消えて操作終了です』
「了解。ありがとう。確かにこの機能があると助かるよ」
『はい。ご活用ください』
そう話をしている間にヘリは京藤達から遠く離れ、かつ高度を高くとった。京藤さんたちはミニマップの表示外に出ており、正直ミニマップも使い道がない。1番後ろのスイッチを2回押すとミニマップが選択された。ミニマップの表示をパントムからの偵察映像に切り替える。
「古井さん。偵察映像をサーマル映像に切り替えることとかできる?」
『出来ます。やや解像度が悪くなりますがよろしいですか?』
「お願い」
『了解』
パントムの偵察映像が白黒の映像に切り替わる。これは対象の温度を検出して表示している。
映像の中では4つの人の形をした白い影が縦一列に並び移動している。残念ながらどれが誰かはわからない。4人は銃を正面に構えながらゆっくりと警戒しながら歩いている。広域マップ上では目標の赤いマーカーと緑の味方を示すマーカーが接触しそうなほどに近づいていた。電子スクリーンの時と違い特定の場所を拡大できないのがもどかしい。
サーマル映像に視線を戻す。すると4人の前方には2つのトカゲの形をした白い影が存在していた。それぞれ縦列を左右から挟むように少し離れて潜んでいる。その頭は4人の方向を向いている。
「京藤さん。警戒。前方、左右に一匹ずつ隠れている」
『了解』
(おかしい。5匹って聞いていたのに・・・3匹ほど見えない?)
「古井さん、少しズームを引くことできる?」
『コピー』
サーマル映像が少し広し範囲を映すようになった。その中には別行動をする3匹も映っていた。3匹のうち2匹は京藤達の右側から大きく離れるように動いていて、1匹はその逆左側に大きく離れるように移動している。3匹は共に姿勢を低く、しかし素早く移動している。
(これは・・・?)
4人はゆっくりとした歩みで前方のロックリザードに接近していく。前方で待ち構える2匹には動く様子はない。左右に展開している3匹は相変わらず戦闘地域から離れるように動いている。
(ロックリザードは狩りをするときは獲物を罠に追い込むって話だったが・・・まさかな)
少し見ていると予想は当たったようだ。2匹の集団がまず移動する方向を変える。4人の後方へ回り込むように動く。そしてすぐに1匹で離れていた個体も向きを変えた。
(まずい!前方の個体が発見できなくて警戒している中、後方から襲われるのは危険だ!)
前方と後方の2正面で戦闘を繰り広げるのは危ない。そこでパッと思いついた計画は2通り。
1.後方から回り込む3体を待ち、先に後方を倒す。
2.前方の敵から排除する。
「京藤さん!少し速度を上げて前進!後方に回り込もうとする個体が3体いる!」
『了解!』
後方から回り込む敵を待つ場合後方の敵の到着に合わせて前方で待機していた敵も行動を開始する可能性がある。なので、前方の敵を急いで倒すよう指示を出した。
石田の指示を受けて、4人は素早く移動し始める。人影の大きさから距離をざっくりと測る。
「停止!前方11時と2時方向にそれぞれ1匹。距離はおよそ50m」
『了解・・・・発見!』
サーマル映像を眺める。4人が突然停止したことを受けて前方で待ち伏せていた2匹が突然飛び出した。停止した4人は1人が後方を警戒し、3人が前方へ銃口を向ける。銃口で白い光が点滅し、前方から飛び出してきた2匹が動かなくなる。後方へ回り込もうとしていた3匹が発砲と同時に動くのをやめた。わずかな間止まったままだったが、突如方向を変え京藤達の方へ走り出す。
「8時方向から1匹、4時方向から2匹接近!警戒!」
『了解!』
素早く2人づつそれぞれの方向へ銃を構えて警戒する。再び銃口で白い光が点滅しすべてのロックリザードが動かなくなった。
「状況終了。間宮さんヘリを接近させて。古井さん周囲の警戒を」
『了解』
『コピー』
ヘリから攻撃して・・・などと考えていたが、その必要は無かった。
ヘリが到着すると京藤達は既にロックリザードの死体を一か所に集めていた。石田はヘルメットを元の場所へ戻し、ヘリを降りる。今回は射撃テストなど時間がかかることはしないので、間宮には天幕から離れた位置でヘリをアイドリングの状態で待機させてもらうことにした。アイドリングとはいえ、燃料を消費するので、できるだけ素早くトラックを呼び出しロックリザードを載せていく。
(・・・ん?最初捕らえた奴に比べて・・・大きい?)
トラックには最初に狩った穴だらけになったロックリザードが入れられていたのだが、そこに新たにとらえたロックリザードを並べると明らかに大きかった。驚いたことにすべての個体がそうだった。最も大きいものに至っては2m近いんじゃないかというほど大きい体格をしていた。
(そういえば、1.5mと聞いていたのに、最初の個体でも13cmオーバーしていたしな。まぁ、あれくらいなら個体差って感じだけど・・・こいつらは明らかに大きいな・・・)
色は白っぽい茶か茶色かといった違いはあるものの、ほぼ茶色で統一されている。体形が違うということもないので、近縁の別種ということはない様に思われた。
石田の隣で積み込み作業をしていた湯川が並べられたロックリザードを眺め、石田と同じ感想を口にした。
「司令~・・・。これ明らかに大きくない?」
「あぁ。1.5mと聞いていたんだけど・・・まぁ、こういうこともあるのかな?」
と話しながら作業を終えた。古井に新しいロックリザードの探索を依頼する。少し天幕で待つとすぐに連絡があった。
『新しい集団を発見しました。数は3匹。街道からさらに大きく離れて・・・そこより西北西に約3km程移動した辺りにいます』
天幕の電子スクリーンに移されている広域マップに赤いマーカーが3つ表示された。
「了解。これより移動します。監視を継続してください」
『コピー』
「間宮さん、場所は確認できましたか?」
『大丈夫です。移動できます』
「了解。じゃあ、すぐに天幕をしまって乗り込みます」
『了解』
天幕を片付け、全員でヘリに乗る。石田は最初からM2の操作席に座り、再びヘルメットを被る。
間宮は上半身をひねり、全員が座席についたことを確認する。そしてシートベルトを装着しヘリを上昇させた。




