帝国の崩壊5
クロスロード大公国に加えゲートリング大公国を傘下に収めた帝国の治世は盤石に思えたが、突如スクルド王国が帝国のゲートリング大公国領に侵攻を開始する。
スクルド王国13万の侵攻に対し、帝国はゲートリング大公国6万、帝国軍本隊4万、クロスロード大公国2万、合計12万の大軍を編制し、皇帝陛下自らが出陣すると言う盤石の態勢でカールキューレ平原にて迎え撃つ。
歩兵だけで編成された13万に対し、経験豊かな3万の騎兵を有する帝国に敗北を心配する者はいなかった。
短編なので、連日投稿致します。
「ですから、乗馬ブーツを履くのですから、スカートはもう少し短くて太腿が見えるか見えないかが良いのです」
フローラが力説する。
「ですがフローラ、それだと淑女の制服としては、太腿が見え過ぎるし、乗馬する時にスカートが跳ね上るじゃないですか」
エリー、そうやって私のスカートをピラピラめくるのは、止めて欲しいのだけど。
「だったら、私の案の様にスカートズボンにすれば良いのです」
フローラは足を頭の上まで持ち上げる。
確かにスカートの中は見えないけど、そこまで足を上げる必要は無いのではないかしら。
それにしても柔らかい体ね。
「フローラ様、それだと、そのヤッパり不便では無いですか」
成人前のヒルダはストレートに口に出すのは淑女として恥ずかしと思うのか、ボヤけた言い方をする。
そう私達はクロスロード大公国でも淑女中の淑女。
何しろ大公国令嬢と侯爵家令嬢なのだから。
「ですが、この太腿がチラリと見える所は譲れません。
そう思いますよねシルディ様」
「フローラ、ここでシルディ様の意見を聞くのはズルいです。
シルディ様もまだ何も言わないで下さい」
解ったからエリー、私のスカートをピラピラするついでに、内太腿に触るのも止めて欲しいのだけど。
「ですから、このスカートの全体のラインはそのままに、・・・シルディ様、少し足を広げて頂けますか」
フローラに言われるまま、少し足を広げる。
「ありがとう御座います。
それで、この辺りまで筒状にして、ここをボタンで止めて、その時には外せる様にすれば良いのです」
フローラ、そう言って私のスカートを前後から絞るのも止めて欲しいのだけど。
太腿のラインがクッキリだし、貴方の手が・・・・その当たっているのよ。
それにヒルダ、そんな風ににチラチラ遠慮がちに見られる方が一層恥ずかしのだけど。
貴方とは最近でも何度も一緒に裸で寝ているし、お風呂も時々一緒に入っているじゃない。
「フローラのアイデアを試します。
服飾長、修整にはどれだけ掛かりますか」
さすがにこれ以上は、我慢の限界よ。
「半時も頂ければ十分です。
昼食後にご試着頂けます」
さっきから私達、クロスロード大公国の淑女中の淑女の醜態を見ていた服飾長が無理をして無感情に答える。
「済まないわね。
これで宜しくお願いしますね」
と私は今の醜態の口止め料を込めて金貨を服飾長に2枚、4人の服飾師に1枚ずつ渡す。
◆ ◆ ◆ ◆
「いいこと、さっきの様な醜態は晒さない事、解った?」
「「申し訳御座いませんでした」」
昼食の後、3人を連れてさっき惨劇が発生した、試着室に戻ると、約束通りに学園の新しい制服が修整されてトルソーに着せられていた。
「この制服の破壊力は想定以上です、これは」
とフローラ。
(言いたい事は判るし、私も同意するけど、服飾師のドン引きなのに気づいている?)
「上着は礼装の赤と普段使いの黒の2着を最低用意するのですよね。
両肩の肩章の金モールは幹部と師範だけにしましょう。
一般生徒は肩章無し、ボタンも真鍮にしましょう」
と侯爵令嬢にしては、細かい指摘をするエリー。
(それで良いけど、それで節約出来る額は知れているわよエリー)
「この上着からスカートに繋がる2列のボタンが格好良いです」
とヒルダ。
「さすがはヒルダ様。
そのスカートのボタンがこの制服の一番の売りです。
ボタンを閉めればズボンに、外せばスカートに成りますので、いざという時も安心です」
とても自慢げな服飾長。
(さすがねヒルダ、それでこそ公爵令嬢の振る舞いよ)
「そうね、早速着替えてみましょう」
私がそう提案して、早速ドレスに手をかける。
「お手伝い致します」
と服飾師達が手伝おうとするが
「コルセットを脱ぐのだけお手伝い願えるかしら。
制服を着るのは一人でやってみます」
と私は断りを入れる。
「貴方達もそうしなさい」
私の言葉に3人が固まった。
私は見本を見せる為に真っ先に肩紐を外してドレスをスルリと脱ぐ。
問題なのは、胸から腰を締め付けるコルセット。
貴族の女子ならば誰もがお世話になるというか味方でもあり敵でもあるコイツ。
私達は日頃から鍛えているのでさほど辛くは無いけど、そうじゃない人にはほとんど拷問道具らしい。
まあ、鍛えた腹筋を無理に締め付けてもウエストは細くならないし。
ただコイツを1人で外すのは難しいので服飾師に手伝ってもらう。
「ドレスを畳んで置いて頂けるかしら。
あとは自分で着てみます」
私はドロワーズとガードルとストッキングに靴を履いただけの姿で服飾師に言う。
「先ずはこれを付けるのよね」
用意された衣装箱から見慣れない形のスッキリとした体に密着する生地のやたら少ないドロワーズを履き、胸の膨らみを支える下着を取り出して胸に付けると、今度は下着姿の私を凝視して固まっている。
3人ばかりか、プロである服飾師まで頬を赤くして固まっているのはきっと気のせいです。
(裸よりこの下着を付けた方が女性の破壊力が増す様ね)
「貴方達、何をしているの。
1人で着れなくては制服として困るでしょう」
漸く3人は動き出しドレスを脱ぎ始め、服飾師も動き出す。
(ふーんフローラはブルーでエリーは白か、ヒルダはピンクを選んだのね。確かにこの下着の破壊力はかなりにものね。私を凝視して楽しんだ分は取り戻させて貰うわよ)
ブラウスに腕を通しながら3人を観察する。
ガーターベルトとストッキングを私は外さなかった。
だって、素肌の太腿を外で見られるのは恥ずかしから。
フローラもヒルダも私と同じ考えらしい。
1人、長いスカートを推していたエリーだけが何故かストッキングでは無く靴下を選択、太腿のチラ見せを選択する。
「フローラ、このスカートは本当に動き易いのね。
これなら当初の狙い通りに乗馬を行っても問題は無い」
私はいち早く制服を着込んで屈伸運動をしながら言う。
(前からボタンを止める練習をしておいて良かった)
「本当にすごいわ、フローラ。
このスカートのウエスト回りはコルセットの様に締めるだけじゃなくて、お腹全体を支えてくれる感じで凄く良い。
これなら乗馬初心者の馬酔いも少しは防げると思います」
私と珍しくエリーからも褒められて素直に嬉しそうなフローラ。
「すいません、このブラウスの襟のボタンを止めて頂けませんか」
ヒルダも頑張っていたけど、ダメな事はある。
無様に醜態を晒すよりも公女としては見極めも重要。
「ちょっと待ってね。
ヒルダ、少し顔を上に上げて」
私は少ししゃがんでヒルダの襟首を覗き込む。
(やけに汗をかいているけど、大丈夫?)
「はい、出来た」
ついでにヒルダの柔らかい両頬を両手で包み込む。
「はりがとう ごじゃいましゅ。おねえしゃま」
当然、ヒルダはまともに口が聞けない。
「酷いです。お姉様」
「よしよし、みんな問題無く着れたようね」
「「「はい、シルデイ様(お姉様)」」」
「それじゃ、ちょっとお披露目を兼ねて馬に乗ってみましょうか」
「今からこの恰好でですか?」
エリーが慌てる理由は判るけど、自業自得よ。
フローラと一瞬目を合わせて頷きあった。
「城の外には出ないから、外出許可は必要ないわ」
慌てるエリーが面白いので追い打ちを掛ける私。
「本当に乗馬に支障がないか、やはり馬場で確認しないといけません」
もっともらしい事を言いながら追い打ちを掛けるフローラ。
「エリー様の太腿のチラ見せは、淑女的にはギリギリセーフなので大丈夫です。
きっと学園で流行ります」
無意識にエリーに止めを刺すヒルダ。
「すいません、ストッキングを付ける時間を頂けますか」
泣きそうな顔にをするエリー。
「服飾長、すいませんが誰か馬場に使いを出して私達の馬の用意をさせておいてもらえますか」
「かしこまりました」
服飾長が隣の部屋に待機している護衛の女性騎士を馬場に向かわせたようだ。
「少し時間がかかるからお茶にしましょうか」
「はい、お姉様。今日は私が用意いたします」
「そう? じゃお願い」
妹のヒルダが言い出したので、お願いする。
エリーは楽をしようとしてスカートを脱がずにストッキングを履こうとしたが、結局ガーターベルトが付けれなくてスカートを脱ぐ事にしたようだ。
(これは色々と裏技が生まれそうね。楽しみだわ)
「シルディア殿下! シルディア殿下! 殿下ーーー! 殿下ーー!」
王宮には似合わない叫びが飛び込んで来たのは、エリーが着替えを完了した時だった。
『頑張ったのに悪女扱いは酷くないですか』の外伝です。
精強を誇ったクロスロードの騎士団が何故壊滅したのか?
たかが10万の蛮族の侵攻に何故帝国は対抗出来なかったのか。
そして、シルディが学園の生徒に軍事組織に組み替える必要があったのかが明らかになります。
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