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幼馴染の三つ上のお兄ちゃんと十五年後の合コンで再会した話  作者: くろくまくん
幼馴染の三つ上のお兄ちゃんと……編

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コウちゃん、大好きだよ

コウタが姫路に旅立ってしまう数日前に、


二人でご飯を食べることに。


コウタはチヨに、


待っててほしいと言うが……



◯登場人物


千代ちよ

22歳 エステティシャン

奈良県橿原(かしはら)市に住む。祖母、母親と三人暮らし。ある日の合コンで、三つ上の幼馴染、コウタと再会する。


康太こうた

25歳 家電量販店のメーカー販売員

瑛人とはバンドを組んでいた。10歳の頃、両親と大阪に引っ越したが、現在は奈良市内に喜平きへいと共に住んでいる。そして、今度は兵庫県の姫路へ行くことになる。

「まだ、ちょっとわからないんやけど。こんな俺のことでも、好きになってくれる人がおるから、ていう感じやな」


「コウちゃん……」


「少し先のことになるかもしれんけども、それまで待っててほしいねん」


 待っててほしい。


「コウちゃん。私、自分に自信がないんよ。ワガママやし、甘えん坊やし、優柔不断やし。それにウジウジするし、泣き虫やし。コウちゃんの過去のことにまでヤキモチしてしまうし」


 自分で言ってて、情けなくなってきた。


「それでも、待ってていいの? 私の待つところに、帰って来てくれるの?」


 コウちゃんは笑う。


「チヨって、ほんま自分のこと過小評価し過ぎやんな。チヨは立派に頑張ってるやんか。チヨにもいいところたくさんあるやんか。いつも明るくて綺麗やし、その明るさに励まされてるで。あ、前に天川の星空見に行った時あるやろ」


 婆ちゃんが倒れてしまった二ヶ月ほど前のことだ。


「チヨは可愛いと思うし、ホントに大人になって綺麗になったで。星空見ながらくっついてくれた時、かなりドキドキしたんやで。見えてないからわからんかったと思うけど、俺めちゃくちゃ照れてたんやで」


 あ、そうだったんだ。コウちゃんって見た目はクールにしてるから、わからなかったりするよね。


「それに、自信がないのは俺も一緒やで。でも、それでも……できることは限られてるかもわからへんけど、精一杯頑張っていこうと思う。誰かが誰かのために、ていう一方的みたいやなくて。お互いのことを思い合って頑張っていけたらいいんちゃうかな、って思ってる」


 なんだか、コウちゃんが、とても身近に感じれるようになったような。そんな気がした。


「うん、お互い想い合っていたいよ。でも私、めちゃくちゃ寂しがりやから。しょっちゅう連絡してしまうと思う。会いたい会いたい、って言うと思う。それでもコウちゃんは嫌にならない?」


「チヨ、言いそうやな〜。うんうん、それは大丈夫やで。むしろ何も言われないより、そうやって会いたい気持ちを素直に言ってくれる方が俺はいいかな。それに……この冬が終わって、次の春には奈良に戻ってこれるように仕事探していくつもりやし」


 次の春って……半年後だよね。コウちゃんの優しさを感じつつも、やっぱり離ればなれになってしまうのは寂しいよ。


 なんだか、もう離ればなれになる想像をしてしまって、涙がじんわりしてきてる。


「コウちゃん。前は電話でやったからちゃんと聞こえなかって。またあの言葉を聞きたいんやけど……」


「ん? 何を聞きたいん?」


 コウちゃんは、こういう時は鈍感だったりする。


「私のこと、好き?」


 コウちゃんは、はっと気付いて。私の方に顔を向けて言ってくれた。


「うん……チヨのこと、好きやで」


 ほんの一言が、こんなにも温かく、心に沁みることってあるんだ。温かい涙が、目から溢れて私のほっぺたを伝っていく。あぁ、この温かい涙は、コウちゃんの優しさで温められた涙だ。


 私は横並びに座っているコウちゃんの肩に、自然に頭を預けた。


「私も好き……コウちゃん、大好きだよ」


 大好きなのに。あと数日で離れてしまう。愛しい気持ちと、離れてしまう寂しい気持ちが混ざって、胸が苦しい。


「俺も、大好きやで」


 コウちゃんは、私のことをぎゅっと抱きしめてくれた。このままで、ずっと居たいな……


 


 個室の扉がノックされる。


「お客様、鯛釜めしの用意を、させていただいてもよろしいでしょうか?」


「わっ! は、はい! お願いします〜」


 完全にご飯中というのを忘れていた。お店の方、ごめんなさい〜! 私とコウちゃんは急に現実に引き戻されたようになった。私は涙をハンカチで拭いた。


 鯛釜めしは出来るまで時間がかかるみたいで、その間に、お刺身と煮魚が運ばれてきた。


「コウちゃん、一緒に食べよう」


「刺身も煮魚も美味そうやんね。郡山にこんなお店あったんやな〜、全然知らんかったわ」


「うん、私も知らなかった。だってずっと住んでるけども、行動してる場所とか、行くところってだいたい同じだもん。職場も近くだし」


 その後も、ゆっくりご飯を堪能しながら、秋と冬をどう過ごそうとか、そういう話をした。



◇ ◇ ◇



 それから数日後、コウちゃんは一人、姫路へと旅立った。


 ずっと会えなくなるわけじゃない。それにめちゃくちゃ遠方でもない。だから、お見送りもしなかった。だって、ただ泣いてしまうだけだと思ったからだ。


 あまり大げさにしてしまうと、余計に悲しくなると思ったからだ。


『行ってくるで〜! また連絡するな』


 コウちゃんからは、短いメールが来ていた。


「いってらっしゃい! 待ってるね!」


 私も、短く返しておいた。


 これから早くても半年間の間は、私とコウちゃんは離ればなれだ。


 寂しいな……寂しいよぉ……


 でも、お休みの日とか、どちらかが仕事でも会いに行くことはできる。たとえばだけども、連休が取れたとしたら、お泊りでコウちゃんのところに行ったりとか……そ、そ、それもアリかな。


 リビングで母親が急に口を開く。


「チヨ〜! お母さん、コウちゃんと実はメル友なんやで〜、知ってた?」


 母親よ、そんなことは聞いてない。



ついに姫路に旅立ったコウタ。


チヨは寂しく思いながらも、


半年後にコウタが再び奈良に戻ってくることを願う。


え? 母親とコウタがメル友??

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― 新着の感想 ―
急☆展☆開! ですね! 母ーーー!
しんみりしていたら、最後の最後に「……!!」となりました。 しかし、それは結構良いことだと思うのです。
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