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幼馴染の三つ上のお兄ちゃんと十五年後の合コンで再会した話  作者: くろくまくん
幼馴染の三つ上のお兄ちゃんと……編

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電話ごしの告白

お祭りの途中ショックなことがあって、ユカリに慰めてもらう。


おにへーが言っていた、コウタのチヨへの思いは本当なのか?



◯登場人物


千代ちよ

22歳 エステティシャン

奈良県橿原(かしはら)市に住む。祖母、母親と三人暮らし。ある日の合コンで、三つ上の幼馴染、コウタと再会する。


康太こうた

25歳 家電量販店のメーカー販売員

瑛人とはバンドを組んでいた。10歳の頃、両親と大阪に引っ越したが、現在は奈良市内に喜平きへいと共に住んでいる。

 結局あのあと、ユカリとリンゴ飴を食べて。そして、家に帰る前にコンビニで買ったコーヒーを二人で飲み、少し落ち着いてから帰った。


 ユカリはたくさん話を聞いてくれた。こういう時に、時間を割いて話を聞いてくれるのってすごくありがたい。


「ただいまー」


 帰ってすぐにお風呂に入ろうと思ったんだけど……母親には気づかれてしまった。


「おかえりチヨ。ん? なんか元気ないけど……なんかあったん?」


 母親はいつも鋭い。


「あ……んーん、何もないよ〜。あ、たぶんあれ。お祭りで人多かったから疲れちゃったのかも。お風呂入ってくるね」


 私も少し、気持ちの整理がついてなかったから、早く一人になりたかったんだ。


『チヨ、急に帰ってしもてごめんな。あの場はおにへーをとりあえず連れて帰らんと、と思って。話したいこともあるし、また連絡するわな』


 コウちゃんから、一通だけメールが来ていた。


 私は返す気力もなく、とりあえずお風呂に入ることにした。


 頭と身体と顔を手早く洗って、湯船に浸かる。こういう時はゆっくり浸かりたい気分だ。


「大人になっても、妹みたい……か」


 これはおにへーくんの言葉だけどね。


 ユカリにいっぱい話を聞いてもらって落ち着いてはいたけど、まだちょっぴり嫌な感じは残っていた。おにへーくんの強引な行動もそうだけど。


 後はやっぱり、コウちゃんのことだ。


 ユカリも言ってたように、こういう時は直接話すのが一番だって。それはわかってるんだけどね……


 私って、こういう時。すごーくウジウジ考えてしまうのだ。あることないことウジウジ考えてしまって、実際はなんでもないようなことでも、ダメな風に考えてしまったり。


 でも、ユカリは言ってくれた。あの時、おにへーくんに怒ったのは、私のことを好きだからだって。なんとも思っていないなら、あんなに怒らないって。


 そういえばユカリもあのあと、おにへーくんの事で文句言ってたな。私に合わせてくれたのかもだけど、二人で話してて、遊び人の感じがした、って。コウちゃんと二人でルームシェアしてるのも、自分に都合がいいからじゃないかって。


 コウちゃん、優しいからそういうのしてあげそうだもんな〜。あ、料理とか洗濯とかね。


 なんていうか、お人好し過ぎるんだよ。アツシくん達にイジられても全然怒んないし。


 あぁ、でも……


「コウちゃんに直接聞けるわけないよ〜!!」


 そんなホイホイ思ったことを聞けたら、苦労してないよ〜。でも……これはコウちゃん本人に聞かないとわからないもんね。


 あれ? そういえば話したいことがある、ってメールで言ってたような。


 なんだろ?



◇ ◇



 お風呂から上がって、ユカリにお礼のメールと、コウちゃんにさっきの返事をする。


「コウちゃんは悪くないし、大丈夫だよ。それより、話したいことってなーに?」


 お水を飲んで、私はひと息ついた。二階の自分の部屋に入ってベッドに転ぶ。


 まさか……大阪で付き合ってた、って言ってた彼女とヨリを戻すとか!! それはショック過ぎる……


 てか、元カノのこと、結局詳しくは聞けなかったよね。まぁ聞いても仕方ないことなんだけど。


『直接話したほうがいいと思うから、来週九月初めになってまうけど、仕事上がりにでもそっちに行くわ』


 直接話したほうがいいこと。


 なんだろう。めちゃくちゃ気になる。


 こういう時って、気になりだすと他のことが手につかなくなってしまうんだ。これも私の悪いところ。


「コウちゃん、今電話してもいい?」


 確認を取ってから、電話をかけた。


「もしもし、ごめんね遅くに」


『あぁ、大丈夫やで。今日は悪かったな……おにへーにはかなり強めに怒っておいたわ』


 私の事で怒ってくれたんだ。


「そうなんだ……ううん、コウちゃんも気まずくなりそうなのにごめんね。一緒に住んでるのにね」


 数秒、コウちゃんは黙っていた。


『それなんやけどな、おにへーの家から出ることになるわ』


 え。どういうこと? もしかして今日のことのせい?


「コウちゃん……」


『来月の九月の二十日で今の店舗から職場が変わるんよ、次は姫路ひめじになった』


 姫路!! 


「え、姫路って兵庫県の?? コウちゃん、来年の春くらいには変わるかもって、言ってなかったっけ?」


『去年の冬はこっちで仕事あったんやけどなぁ、やっぱ毎年状況は変わるみたいで。まぁいつどうなるかわからん仕事やからな……』


 あと一ヶ月くらいでコウちゃんが、また奈良から出ていってしまう。


「嫌や……せっかく再会できたのに、また離れてしまうなんて。私、コウちゃんと行きたいとこ、まだまだいっぱいあるのに……」


 私もそのうち異動はあるかもしれない。できるだけ異動はないようにお願いはするつもりだけど。


 でも、こんな急にだなんて……


『あ、そう言えば、おにへーと二人の時、なんか変なこと言ってへんかったかな? アイツ、口からでまかせばっかり言うからな〜』


 でまかせ……だったのかな。


「ん……コウちゃんが、私の事。小さい頃から妹みたいにしか思ってないって事とか。私のこと、なんとも思ってないって事とか。それは聞いたよ」


 自分で言うのも辛かったけど。でも、それを否定してほしかったから、あえて勇気を出して言った。


『そんなん言うてたんかいな。小さい頃はそりゃそうやろ。てか、なんとも思ってなかったらドライブしたり、星空見に行ったりせーへんやんな』


「うん、せーへん。コウちゃん、私。コウちゃんが離れてしまうから凄く悲しいんやけど。これだけは伝えたい」


 電話だからむしろ言えそうな気がしたんだ。直接だと顔から火が出てしまう。


『どうしたん?』


「私、コウちゃんのことが好き。大好き」


『チヨ……』


「小さい頃からも好きやったけど、今はもっと好き。再会できたキッカケは合コンやったけども、それでも私は凄く嬉しかったよ。これからまたやり取りできるんや、って」


 私は言葉が止まらなくなった。


「コウちゃんが大阪に行ってる間、色んなことあったと思うけど。でも、これからのほうがきっと長いから、たくさんのコウちゃんを知りたいよ。それに私のこともたくさん知ってほしいよ」


 何故か……涙が出てきた。


「コウちゃん。大好きだよ」


『ありがとう。俺も好きやで』


 あぁ、電話ってなんでこんなに近くに声が聞こえるのに。


 近くにコウちゃんはいないんだろう。


 手を伸ばせばすぐ近くにいるくらいに声は聞こえるのに。


 実際はいないんだろう。


 でも今は。せめて想いを伝えよう。


「コウちゃん大好き。大好きだよ。コウちゃんも好きって言うて」


『あぁ……好きやで』


帰宅したあと、チヨはコウタの言うことがどうしても気になってしまい、電話をかける。


話したかったこととは、一ヶ月後の異動の話だった。


チヨはショックを隠せないが、勢いで想いをぶつける。そして、コウタの想いを聞くこともできた。


挿絵(By みてみん)

上の画像は、今回のエピソードのイメージイラストを、生成AIにて作成したものです。

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― 新着の感想 ―
 優しげな感じのコウちゃんですが、今回は相手に対して毅然とした態度を取ったのですね。とても立派なことですし、相手のためにもなることだと思います。さもないと、思い上がった結果、本当にいつか警察に連れて行…
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