お祭りを楽しむぞ〜!
ユカリに秘技を伝授してもらい、いざお祭りへ!!
みんなでお祭り楽しめたらいいね。
◯登場人物
千代
22歳 エステティシャン
奈良県橿原市に住む。祖母、母親と三人暮らし。ある日の合コンで、三つ上の幼馴染、コウタと再会する。
由香里
22歳 エステティシャン
千代の同期。美人で計算高い。
康太
25歳 家電量販店のメーカー販売員
瑛人とはバンドを組んでいた。10歳の頃、両親と大阪に引っ越したが、現在は奈良市内に喜平と共に住んでいる。
喜平(おにへー)
21歳 家電量販店のインターネットの契約説明員
コウタと奈良の家電量販店で知り合い、その後ルームシェアをすることになった。
コウちゃんとおにへーくんも合流して、お祭り会場の出店が賑わっているところへ行く。
「うわぁ〜! めっちゃ出店いっぱいあるやん〜、何買う何買う〜?」
おにへーくんがあまりお祭り行ったことないというのはホントのことらしい。なんだか純粋に喜んでるところを見ると、別に悪い子じゃないのかな、と思えてきた。
「おにへーくん、何食べたい〜? 出店の端から順番に見ていこ〜! ここは地元の昔からあるお祭りだから、割と出店も昔ながらの素朴なのが多いんだよ」
ユカリはお祭りの情報も抜かりない。これはさすがだと思った。
「私がお祭り行ったのって、小学生の時くらいかも? みんなはお祭りいつぶりくらい〜?」
「え〜、私もたぶん中学になるかならないかくらいじゃないかな〜?」
ユカリが答える。
「俺はどうやったかな〜、高校の時にエイト達とバンドメンバーやらで大阪の天神祭りっていうのに、ライブ後に行ったことがあるくらいかな。あれ、俺のがまだ大きくなってからも行ってるほうやったわ」
バンドメンバーとかでお祭り行くくらいだから仲良しだったんだろうな。もしかしてファンの女の子とかも一緒だったりしたのかな……私はまたコウちゃんの過去のことに勝手に嫉妬してしまった。
「ユカリちゃんとチヨちゃんなんか持ってるやん。唐揚げとポテト、少しちょーだい!」
さっき買っていたやつだ。
「おにへーくん達が食べるかなと思って買ってたよ。はい、あ〜んして」
さっそくユカリはおにへーくんに、ポテトを食べさせてあげていた。
「あ、あ、コウちゃん。これどうかな? 浴衣着てみたんだ」
ホントはコウちゃんからのコメントを待ってたんだけど、言わないとずっとないような気がしたから、こっちから言ってみた。
「浴衣似合ってるで〜、桜の柄もチヨに合ってる気がするわ。チヨってオシャレやんな? 前も思ってたんやけど」
チヨ、心でガッツポーズ!!
婆ちゃん! ありがとう! 可愛い浴衣を持っててくれてありがとう!
「え〜、全然オシャレじゃないよ〜。そんなに服も持ってないから、いつも着る服悩んでるもん」
ポテトを食べさせてもらっていたおにへーくんが、何かを見つけたようで口を開く。
「あっ、かき氷やん! みんなでかき氷食べよ。僕、かき氷好きやねん」
おにへーくんは、僕って言うんだ。見た目も可愛らしいけど、言葉も少し幼い感じがするかな。
「私もかき氷食べる〜! ねぇねぇチヨもコウタくんも食べよ」
私はなんとなく、ご飯ぽいものを食べてから、デザートにかき氷かなと思ってしまう方なんだけど、お祭りだから順番はいいか。こういうところで変に真面目というか、頑固になるのも良くないもんね。
「え〜、じゃあ私はイチゴにしようかな……コウちゃんはどうする?」
「そやなぁ、俺は食後のデザートみたいな感じでいいんやけど、せっかくみんなが食べるんやったら小さいやつだけ買おかな」
おにへーくんとユカリは先に並んで買っていた。
「わーい、ブルーハワイの練乳乗せにしたよ〜」
無邪気に喜んでる姿が微笑ましい。
「いいねぇ練乳のせ。ユカリは何にしたの?」
「私は大人にミゾレにしたのだ〜、もちろん練乳はかけてもらったよ」
かき氷に練乳かけると美味しいもんね〜。メニューを見ると、サイズは普通サイズしかなかったようだった。
「あ、コウちゃん、少しだけでいいなら、私と半分こする? 実は私もしっかりご飯食べてからデザート、って気分だから」
なんとなくコウちゃんと好みが合うことも嬉しいなと思いながら、私は提案してみた。
「うんうん、そうしよう。イチゴの練乳のせにしよか? 俺が買ってあげるわな」
私が何か言う前に、さっと注文して買ってくれるコウちゃん。こういう時に、決断が早くて素早く行動してくれるのって、何気に嬉しい。私が優柔不断なタイプだから余計にかもしれないけど。
「はい、イチゴの練乳やで。先食べる?」
「わーい、コウちゃんありがとぉ」
四人で仲良くかき氷を食べた。
それからも、出店を巡ったり、盆踊りは踊らないけど、太鼓や祭りの音楽を楽しんだり、時間はあっという間に過ぎて行った。
「おにへーくん、あっちの出店に二人で行こうよ〜」
お、ユカリがおにへーくんと二人になりたがっている。これは私も気を使うほうがいいよね。しかも、私もコウちゃんと二人になれる。
「うん、二人で行っておいで。コウちゃん、私達もあっちのほう行こ〜」
「ん? うん、わかったで〜、まぁまた連絡してやぁ〜」
どこに行くでもなかったんだけど、私は二人になれたから、コウちゃんに手を差し出してみた。
「コウちゃん、迷子になったらあかんから、手繋いでほしい」
ちょっぴり照れたけど、素直に言えない私は、子供みたいな言い訳をした。
「迷子て子供かいな〜。ちゃんと握っときや」
コウちゃんは優しいな。この手をずっと繋いでいたいよ。大きくて温かくて、綺麗な手。
「いっぱい食べてもうお腹いっぱいなったね〜。でも、久しぶりのお祭り楽しかったよ」
私はたくさん話したいことがあるのに、なぜか二人きりになると、上手く言葉が出てこない。
「たまにはお祭りもいいもんやな。俺、お祭りの人混みは得意ではないんやけど、このくらいの小さなお祭りやったらちょうどいいくらいやね」
コウちゃんが人混み苦手になったのって何かあるのかな……
「コウちゃん、大阪で過ごしてる間って、楽しかった?」
何を聞いてるんだと、自分でも思ったけど。なんとなく、私の知らないコウちゃんのこと、気になったんだ。
「すんごいざっくりした質問やな〜。まぁ楽しかったと言えば楽しかったし、大変やったと言えば大変やったこともあるよな」
「そうなんだ、中学、高校、そのあと就職してからとか、彼女できたこととかあったの?」
嫌な質問だよね。でも、聞かずにはいられなかった。
「どやろ? 中学はなんかみんなで仲良くって感じやったし、高校は言ったと思うけど工業高校で、男子校みたいなとこやったからな〜。就職してから一回だけ彼女いたことはあるかな、すぐ別れたけどな〜」
あ、やっぱあるんだ……
「そ、そうなんだ〜。彼女は可愛かったの?」
そんなこと聞きたくないはずなのに。聞いても嫌な思いするだけなのに。なぜかこういう時だけどんどん質問が出てくる。
私は、やっぱ嫌な性格だ……
「まぁ、普通ちゃうかな〜? 俺、就職してたけど、相手は大学生やってな。休みが真逆やったから全然都合も合わなかったな〜そういえば」
「そっか……コウちゃんのお仕事土日祝が休めないもんね。わ、私は前も言ったけど、シフト制だからお休み合わせることできるよ〜」
過去の彼女に張り合ってどうするのよ。なんだか自分で情けなくなってきた。
「あ、コウちゃん。私、ちょっとお手洗い行ってくるね」
「チヨ、一緒に行かんでいいん? はぐれるで〜」
コウちゃんが行ってくれたけど、私は手を離してトイレに行く。
なんだか自分で自分が嫌になったんだ。
◇ ◇ ◇
数分歩いているうちに……
私は迷ってしまった。
「どうしよ……これだと夢と一緒だよ」
そうなのだ、迷子になる夢。
人はたくさんいるのに、私は一人。
寂しい、怖い、悲しい。その時……
急に、手を握られた。
「コウちゃ……おにへーくん??」
あれ、ユカリと二人でいたはずじゃ……
「チヨちゃん! よかった〜、トイレ行って迷っててん〜」
お祭りも堪能し、途中でコウタと二人きりにもなれたチヨ。
でも、大阪で住んでいた時の、彼女の話を聞いてしまい、
一人で落ち込んでしまう。
そして、一人で迷ってしまっていたところへ、おにへーが現れた。




