幼馴染の仕事姿
突然、家の洗濯機が潰れたため、
急きょコウタの勤める家電量販店に買いにいくことになる。
無事、コウタには会えるかな?
◯登場人物
千代
22歳 エステティシャン
奈良県橿原市に住む。祖母、母親と三人暮らし。ある日の合コンで、三つ上の幼馴染、コウタと再会する。
康太
25歳 家電量販店のメーカー販売員
瑛人とはバンドを組んでいた。10歳の頃、両親と大阪に引っ越したが、現在は奈良市内に喜平と共に住んでいる。
千代の母
52歳 スーパーのレジのパート
ウチの洗濯機が突然壊れてしまった。
そして、買いに行かねばという母親に私は思いつきで、コウちゃんの勤める家電量販店に行こうと提案してみた。
そして、さっそく家の車でコウちゃんのいる家電量販店がテナントで入っているショッピングモールに向かうことに。
奈良の国道は前にも話したかもだけど、まぁまぁ真っ直ぐの道が多い。というか分かりやすい。もちろん中に入る狭い道もあるんだけども、だいたい何も考えずに走っていても、そのうち目的地に着くようにはなっているのだ。
目的地のモールに行く途中で、コウちゃんに渡すお土産を買った。コウちゃんが和菓子を食べるかどうかは聞いてなかったからわからないけども、柿の餡を使って作った【柿もなか】というのがあるのだ。
コウちゃんだけでなく、働いてるお店の人達とも分け合えたらいいのかなと思って、少し多めに買っておいた。
あ、車の運転は今回は私がしている。ほぼほぼペーパードライバーとは言ったけど一応免許はあるし、たまには運転するんだよ。ちょっとややこしい道とか山道は怖いんだけどね。
「新しい洗濯機って、どんなんがいいとか決めてるん?」
私が母親に聞く。
「ん〜、今の洗濯機こんなんとか、って全然知らんから、どんなのがあるか見てからかな〜? あ、でも、今のが脱水の時とかガタガタうるさかったから、できたら静かなやつのがいいかもやわ。後は洗濯が出来たらいいかな」
まぁ洗濯機だから、洗濯が出来たらいいんだろうね、そりゃそうよね。あぁ、コウちゃんに色々接客してもらうの、楽しみだなぁ〜。
『チヨ、これなんかどうだい? 君にぴったりの可愛い洗濯機だろう?』
なんちゃって! なんちゃって!
「どうしたん、チヨ? ニヤニヤして気持ち悪いんやけど」
「えっ! 私そんなニヤニヤしてた? えーと、静かなやつね。電化製品なんてしょっちゅう買うものじゃないから、種類なんてわからんよね〜。なんか流行りはドラム式っていうのが流行りらしいよ。コインランドリーにあるみたいなやつ」
「そうなんやね〜。なんかでも、簡単に使えるやつがいいわぁ〜。いっぱい機能付いてても、使いこなせんかったら仕方ないし」
まぁそうだよね。君にぴったりの可愛い洗濯機……むふふ……いやいや、違うよ。今回は母親のだからね。
◇ ◇ ◇
というわけで、ショッピングモールに着いた。
直接電話をしてもよかったんだけど、接客をしてる途中だったら悪いので、一応到着したというメールだけ送っておいた。
そのショッピングモールは三階建てで三階に映画館も入っている、まぁまぁ大きなところだ。その一階にコウちゃんの職場はあった。
「わ〜、電気屋さんってあまりしょっちゅう来ることないから、色々置いてて楽しそうだよね〜」
私は入り口にある、案内やら、携帯電話コーナーとかを見てすでに圧倒されていた。
「色々見過ぎたら、欲しいものがどんどん増えていきそうやんね。まず先に洗濯機見とかないと」
お店の真ん中あたりに洗濯機コーナーはあって、さっき言ってたドラム式の洗濯機とか、家で使っている四角い箱型の洗濯機がたくさん置いていた。
「お母さん、とりあえず洗濯機見ときよ。私、コウちゃん探してくる」
「わかったよ、ゆっくり見とくわね」
洗濯機コーナーの横に冷蔵庫があって、お店の奥の方にエアコンコーナーがあった。
いた。というかすぐ見つけてしまった。コウちゃんは接客中だったからだ。
コウちゃんはスーツ姿にベストを羽織っていて、なんだか仕事の出来る店員さん、って感じだ。あぁ、ヤバい。カッコいい。
エアコンの説明をお客さんにしているようだったけど、私に気づいたみたいで、そのお客さんに何か言ってから、私の所に来てくれた。
「来るのめちゃ早かったな〜。まぁ橿原からやと近いんかな」
「うん、うん。あ、今お話してるお客さんはいいの?」
「あ、あと十分くらいで話終わると思うから、洗濯機のところで見て待っといてくれる? それを言っとこうと思ってな。じゃあまた後でな」
そうやって気遣ってくれるのが嬉しい。私はコウちゃんに手を振って、ホントは接客してるのを横で見ていたいくらいだったけど、仕方なく母親の方に行くことにした。
「コウちゃん、エアコンの方で接客中やって、十分くらいしたら来てくれるって」
「あ、そうなんやね。チヨ見てみて! この洗濯機めちゃくちゃでっかいやんね」
意外と楽しそうな母親であった。洗濯機をパカパカ開けて遊んでいる。
「そういえばお母さん、家の洗濯機の大きさって、どのくらいか、写真とか撮ったん?」
「ちゃんと撮っとるよ。見てもわからんから、コウちゃんに見てもらお」
まぁ確かにそうだ。一応聞いていた置く場所とか、途中の寸法とかは測ってきたのを、携帯のメモに保存している。
母親と見ているうちに、コウちゃんが接客が終わったらしく、洗濯機のところに来てくれた。
「ごめんな〜、お待たせ。洗濯機、急に潰れて大変やったやんね〜!」
「そうなんよ、ホンマは近くの電気屋さんでもよかったんやけど、チヨがコウちゃんに会いたいって言うから……」
「お母さん!!」
最近、母親はだいぶ私のことをイジってくる。




