君と二人で星空を
ベビフェデートから帰り、
チヨは寝てしまう前にお風呂に入ることにした。
コウタのことを考えていたが……
◯登場人物
千代
22歳 エステティシャン
奈良県橿原市に住む。祖母、母親と三人暮らし。ある日の合コンで、三つ上の幼馴染、コウタと再会する。
康太
25歳 家電量販店のメーカー販売員
瑛人とはバンドを組んでいた。10歳の頃、両親と大阪に引っ越したが、現在は奈良市内に喜平と共に住んでいる。
「チヨ〜! お風呂で寝たら溺れるよ〜!!」
はっ!
湯船で浸かってて、ウトウトしてたみたいだ。
「はぁ〜い、もうすぐあがる〜」
危ない危ない、母親が起こしてくれなかったらのぼせてしまったところだ。きっとお腹いっぱいだったからだな。
お風呂から上がって、ある程度髪を乾かしてからリビングでお水を飲んで、二階の自分の部屋に行く。
部屋で充電をしていた携帯を取り、メールを確認した。
『みんなノリノリだよ〜ん♪ 採点で競っております!』
グループメールにユカリのコメントが入っていた。まぁそりゃ一時間も経ってないくらいだから、まだカラオケ中か。
コウちゃんからは一件だけメールが来ていた。
『うん、わかったで〜』
私が送った、仕事の報告が終わったら連絡してね、というメールの返信だ。
んー、さっき会っていたところなのに、また会いたいんだけど……
でも、それをコウちゃんに言っても、
『え? なんで??』
て、返ってくるのが目に見えている。女心わかってなさそうだからなぁ〜。
アツシくんが言うには、高校の初めの頃はあまりみんなとも馴染んでなかった、って言ってたよね。わかんないけど、大阪に行ってから、何かあったのかな……
てかね。さっきベビフェであった、おにへーくん? やっぱ私、心配だよ……ルームシェアか何かわかんないけど、遊び人みたいな感じのおにへーくんが、女の子を家に連れてくるとするでしょ? 一人か複数かはともかく、もしその時家にコウちゃんがいたとする。
『おう、おにへーお帰り〜、どうしたん? 友達?』
そして、それに答えるおにへー。
『そうそう、仕事帰りに行ったご飯屋さんで仲良くなってさ〜。家に遊びに行きたいって言うから連れてきちゃった』
そして、おにへーの連れの女達。
『わっ、同居人の彼もめちゃくちゃイケメンじゃ〜ん! おにへーくんはキュートイケメンだけど、こちらはクールイケメンさん! あ、バンドしてたっていう彼ですかぁ〜??』
『え。あぁ一応少しだけしてたけど……あまりうるさくしたら近所迷惑になるからあかんで〜』
『わっ、しっかりイケメンさん! はぁ〜い、静かに大人しくしまぁ〜す♪』
ダメダメダメダメダメーーーー!!!
私の妄想劇は危険なところまでいってしまっていた。いや、でもこれはあり得るぞ……コウちゃんあまりバシッと拒否したりしなさそうだもんね……
と、ちょうどコウちゃんからメールが来た。
『ようやく仕事の報告終わったわ〜、疲れた〜』
「今って電話かけてもいい?」
『ん? 別にいいけどなんで?』
私はすかさず、電話をかけた。
『お〜、どうしたん、チヨ』
「コウちゃん、今一人? 周りに女の子は?」
私は勢いでそのまま聞いてしまった。完全に怪しいけども。
『ん? 今は俺一人やで。おにへーはまだ帰ってきてないから。女の子??』
そりゃそうだよね。私が心配し過ぎかな……
「あ、ごめんね……なんだかさっき会ったおにへーくんと二人暮らしって聞いたから、可愛い女の子とか家に連れてきてないかとか、心配になっちゃって……」
『チヨ面白いな〜、そんなことないやろ。あ、ちゃんと説明してなかったからあれやったけど、前に俺が働いてた店舗でおにへーと知り合って、今エアコン販売で働いてる店舗が、元々俺の住んでた賃貸マンションから少し遠くて。それで、おにへーが部屋余ってるからよかったらルームシェアどう? て誘ってくれたんよ』
そういう成り行きだったのか。それにしてもコウちゃん軽〜い!
「コウちゃん、まぁまぁ軽いやんね! そのうち新しい家は探すの?」
『ん〜、どやろ。意外とそこが、奈良市でも郊外でめちゃくちゃ静かなんよね。俺騒がしい所が苦手やからまぁまぁ気に入ってて。おにへーも俺が作るドライカレーが好きやから、って居ててほしいらしい』
どんな理由だ。でも、コウちゃんの作るドライカレー、それは食べてみたいぞ。
「そうなんだ〜。まぁ職場も転々とするなら、なかなか家探しも大変だもんね……コウちゃん、来年の春は異動あるかも、って言ってたよね。県外に行くこともあるの?」
せっかく近くなのに、また離れちゃうなんて嫌だ。
『あ〜、どやろな。俺が行き先決めるわけやなくて、派遣会社やらメーカーが色々選別したりして決めるから。まぁたまに希望聞いてくれることもあるにはあるんやけど』
「そう……なんだ。あっ! コウちゃん、私、今度二人で星空見に行きたい!」
完全に思いつきだったんだけど。
もちろん、二人ならどこでもいいんだけど。
私は思い切って二人きりのデートに誘ってみた。
『うん、星空な。いいやんか。なんか綺麗なとこあるって言ってたやんな、確か』
「あっ、そうなの! 天川村のみたらい渓谷とかね。んと……夏休み入ったら観光とかで混み合ってくるから、七月の中旬までに行こうよ〜」
『七月かぁ〜、まぁまぁ仕事がこれから忙しくはなるんやけど……まぁでも休みは普通に取れるから大丈夫やと思うで。チヨはそこ行ったことあるん?』
そんな星空を二人で見に行くようなロマンチックなデートはしたことがない。
「ううん、私も行ったことないから一度行ってみたいんよ。コウちゃんも自然の綺麗なとこ好きって言ってたやろ?」
『まぁそやなぁ。んじゃ、その天川村に行こっか。また来月のシフト見てみて、連絡するわ』
私が勢いでかけてみた電話だったけど。
なんと、二人きりのデートですっ!!
ユカリ! ヒナ! 私、やったよ!!
もう、一人前だよ〜!!
『チヨ? チヨ? 聞いてる??』
勢いでコウタに電話をかけたチヨだったが、
思いもよらず、二人きりのデートの約束を取り付けることに成功した。
次のデートは星空デート??




