ベビフェデートの帰り道
ベビフェでもりもり食べたあと、
コウタは仕事の報告があるとかで先に一人で帰る。
チヨ達は、アツシの車で橿原まで送ってもらうことになった。
◯登場人物
千代
22歳 エステティシャン
奈良県橿原市に住む。祖母、母親と三人暮らし。ある日の合コンで、三つ上の幼馴染、コウタと再会する。
由香里
22歳 エステティシャン
千代の同期。美人で計算高い。
陽菜
22歳 エステティシャン
千代の同期。おっとりしていて皆に優しい。
篤史
25歳 家電メーカー勤務
康太の高校の時の同級生
竜次
25歳 システムエンジニア
康太の高校の時の同級生
千代の母
52歳 スーパーのレジのパート
コウちゃんと別れて、私達三人と、アツシくん、リュウジくんで、ベビフェのある奈良市から、橿原市まで車で送ってもらう。
「奈良の道って、割とまっすぐな道が多い気がするから、わかりやすいやんね? くねくねしてる道が多いと方角わからなくなる時あるからな〜」
「あ、それはそうかもだよね。私達は普段はほとんど電車とか徒歩なんだけど、たまに車に乗る時は、確かに道路はややこしくはない気がする」
運転席はアツシくん、助手席にリュウジくん、後部座席に私とユカリとヒナが並んで座っている。アツシくんの言葉に私が答えた。
「そう言えば、チヨちゃんはコウタのことが好きなんやろ?」
リュウジくんが控えめにではあるが私に聞いてくる。
「え、え、そんなこと……」
こう単刀直入に聞かれると、困ってしまう。
「チヨ、大丈夫。もう周りからはバレバレなくらい、コウタくんのこと見てる目がハートになっちゃってるから。人間素直が一番ですぞ〜」
ユカリが横から言う。
「えっ、そんなハートの目になってる?? まぁ、バレてるならいいんだけど……あーでもね、メールのやり取りしてても、なんだか全然女性として意識してる感じじゃないって言うか。前に一度、服装を褒められたくらいだよ〜」
運転席のアツシくんが笑う。
「コウタらしいわ〜。あんなチヨちゃん、コウタは高校の時もやったけど、男女関係なく、なんかみんなに普通やねん。人によって態度変えないって言うんか……入学したての時は、なんか感情あるんかどうかよくわからんかったもんな」
え、コウちゃんそんな感じだったんだ。最近再会した時の様子を見ると全然そんな感じしない。
「それより、さっきのおにへーくん? なんか気になるよね〜。可愛いらしい華奢なイケメンくんだったよね〜」
ユカリが再びおにへーくんの名前を出す。
「ユカリちゃん、俺達おる前で他のイケメンくんの話はないで〜。俺達も一応男やからさ〜」
「そうだよね、それはごめん……あっ、橿原のね、駅からは少し離れてるんだけど、カラオケ屋さんあるんだ。時間少し早いしちょっとだけ行かない?」
ユカリがフォローするように、アツシくんをカラオケに誘う。
「おっ、カラオケいいやん。俺もちょうど、みんながよかったら誘おうと思ってたとこやってんよ」
凄いタイミングでのユカリの判断だったみたいだ。でも、私はカラオケ行く気分じゃないな……
「あ……ごめん、申し訳ないんだけども、私だけ駅の近くでもいいから降ろしてもらってもいいかな? みんなで行ってきてね」
「コウタがおらんもんな〜、うん、わかったで。あ、駅までじゃなくて家まで大丈夫やで、全然時間も早いし、駅から家まで歩くのも大変やろ」
アツシくんの優しさがありがたい。橿原に着いて、駅から車で五分くらいの私の家まで送ってくれた。
「ありがとうアツシくん。みんな、カラオケ楽しんでね! また何歌ったかグループメールで教えてよ〜。ベビフェ美味しかったね〜!」
みんなに手を振って別れる。
家に入る前にコウちゃんにメールを送っておいた。
「お仕事の報告、大変だけど頑張ってね。終わったらよかったら連絡してね」
そして、家に入った。
「ただいま〜。あぁ、お腹いっぱいだ〜」
リビングで婆ちゃんはテレビを見ていて、母親はキッチンで洗い物をしていた。
「みんなでご飯楽しかった? 最近、チヨが楽しそうでよかったよ〜。なんか数ヶ月前は悲壮な顔してたやんね」
え、いつのことだ。パパ活合コンの時かな。
「え、悲壮な顔ってどんな顔よ〜。あ、お風呂用意できてたら入ってきてもいい?」
すでにお風呂は沸いてたので、先に入らせてもらうことにした。お腹いっぱいだとベッドで転ぶと寝てしまいそうなんだよね。
歯を磨いてから、お風呂に入る。私は長風呂派ではないんだけど、やはり湯船には浸かりたいのだ。髪と体と顔を洗ってから十五分から二十分の間くらい浸かることにしている。
湯船でほっこりしながら、今日の出来事を考えていた。
ベビフェでみんなでご飯、楽しかったな。コウちゃんもいっぱい食べてたな。
ルームシェアしてるって言ってたおにへーくん。私はタイプとかではないんだけど、なんか少し気になるというか……遊び人ぽいから、コウちゃんが巻き込まれないか心配だな〜。
お風呂上がった頃には、実績報告終わってるかな? メールくれてるかな。
私、コウちゃんのことばかり最近考えてる気がする。これって、やっぱ恋なんだよね……?
それとも、ただ久しぶりに再会出来たっていう喜びに酔ってるだけなのかな……
ううん、ううん、そんなことない。
コウちゃんのこと、もっと、もっと知りたいな。
いやいや! 違うよ、体とかそういうことじゃなくてね? どんな音楽が好きなのかなとか。
どんな食べ物が好きなのかな、とか。
どんなタイプの女の子が好きなのかな……とか。
家に送ってもらう帰り道、
カラオケに少しだけ行こうということになったが、チヨは一人家まで送ってもらう。
湯船に浸かりながら、コウタのことを想う。




