コウタの友達のおにへーくん
ベビフェデートの途中、急にあらわれたキュートイケメンくん、
コウタは男の子をおにへーと呼ぶ。
◯登場人物
千代
22歳 エステティシャン
奈良県橿原市に住む。祖母、母親と三人暮らし。ある日の合コンで、三つ上の幼馴染、コウタと再会する。
由香里
22歳 エステティシャン
千代の同期。美人で計算高い。
陽菜
22歳 エステティシャン
千代の同期。おっとりしていて皆に優しい。
康太
25歳 家電量販店のメーカー販売員
瑛人とはバンドを組んでいた。10歳の頃、両親と大阪に引っ越したが、現在は奈良市内に住んでいるようだ。
篤史
25歳 家電メーカー勤務
康太の高校の時の同級生
竜次
25歳 システムエンジニア
康太の高校の時の同級生
おにへー
21歳 ???
「おにへー! どしたん、こんなとこで??」
「どうしたん、って……ご飯食べてるに決まってるやんか」
お、お、お、おにへー、てなに!!?
「まぁ、ご飯屋さんやからご飯食べてるんやろけど……職場の人と食べにきたんかな?」
おにへーと呼ばれたキュートイケメンくんは、にっこり笑って答える。
「そそ、仕事上がり一緒だったから、とりあえずベビフェ! てきたんだよ〜。もしかして合コン?」
おにへーくんはなかなか鋭い。まぁ複数の男女で楽しくご飯食べてたらそう見えるよね。
「まぁまぁ。あんなおにへー、あとでまた連絡するから、今はみんなで楽しくご飯しとるから、ちょっと席に戻っておいでな」
コウちゃんがおにへーくんの肩をぽんぽんと叩いた。
「あっ、ごめんね楽しいとこ邪魔しちゃって。皆さんごゆっくり〜」
ここからは見えない席に座っていたのか、おにへーくんは何処かへ歩いて行った。
「コウタくん、あんなキュートイケメンくんの知り合いいたんですね! 今度紹介してよ〜!」
さっそくユカリが食いつく。おーい、ユカリ。今はみんなでご飯中だぞ。
「あぁ……まぁルームシェアっていうか、成り行きで今は二人で住んでる感じなんよね。ずっとじゃないと思うんやけど」
「えっ! さっきの男の子と二人暮らし?? なんだかコウちゃん秘密多い〜!」
ついつい声が大きくなってしまう。
「いや、まぁ、秘密にしてたつもりもないんやけど。今は別々の店舗で働いてるんやけどね。前の店舗でアイツはインターネットのプロバイダのメーカーやって、仲良くなったんよね」
「てか、おにへー、って何!? なんか時代劇みたいだよね」
知らなかったらごめん、鬼平犯科帳という時代劇の作品があるのだ。実は婆ちゃんが好きで、よく家のテレビで見ている。
「あー、まぁホントの名前は喜平って言うんやけどね。名前の漢字を鬼平と思って、おにへい、って呼ばれるようになって、おにへーになった、っていう感じ」
なんかわかんないけど、元の名前も意外と味があるお名前。
「それより、そろそろデザート頼む〜? さっき見てたジャンボパフェにしよっか?」
アツシくんがみんなに言う。
「まぁまぁお腹いっぱいだけど、一つ頼んでみんなで少しずつ分けるとかなら大丈夫そうかな?」
というわけで、ベビフェの看板メニューの一つでもある、スモウレスラーパフェを一つ頼むことにした。
あ、一応普通のサイズのパフェもあるんだよ。ちょうどいいくらいのミニサイズのもあって、中くらいのしっかりした量のパフェもあって、そして、ボス級の五〜六人前くらいはあるんじゃないかな、というパフェが、今頼んだスモウレスラーパフェなのだ。
みんなそれぞれ、デザート用にドリンクバーに飲み物を取りに行く。
「パフェ楽しみだね〜、コウちゃん甘いもの小さい頃から好きだったよね」
「チヨ、よう覚えとるな〜。あぁでも、意外と大人になってからの時のことよりも、小さかった頃の思い出の方が覚えてたり、って聞くよな」
コウちゃんも。小さかった頃の私との思い出を覚えてくれているだろうか。
ん〜、ん〜……ありゃ、私も意外とうろ覚えだったりして。でも、思い出ってなんか、ふとしたキッカケで思い出したり、場所とか食べ物とか、音楽とか言葉とかで蘇る時のほうが多いような気がするな。
てか、さっきのおにへーくん。コウちゃんといつから二人で住んでるんだろう。どういう成り行きで? う〜ん、気になるなぁ……
飲み物を取って席に戻って来た頃に、ちょうどパフェが運ばれてきた。
「うわぁっ!! これはヤバい!!」
生ビールとか、お水とかをたくさん入れるピッチャーという入れ物知ってるかな、あの半透明の容器に、パフェが豪快に盛り付けられていた。
底にはソースとフレークとフルーツが敷き詰められ、中段にはヨーグルトとフルーツのミックス、そして中段から上段には色とりどりのアイスがドンドンドンとこれでもかと乗せられており、さらにフルーツのトッピングとホイップと棒状のお菓子が刺さっていた。すごっ!!
スモウレスラーパフェを頼んだのは初めてだったので、私達も写真を撮ったりして楽しんだ。
「こういうデカ盛りのメニュー、って昔はよくあった気がしたけど、最近ってなんでも小さいほうが可愛らしいとかって、減ってきてたもんね」
そうそう、フードロスとかそういう世の中の風潮もあってかもしれないけど、それは言えてるかも。
「そう言えば、エイトと俺達とでカレー屋さんのデカ盛り食べたらタダっていうやつ、何回もチャレンジしたよな〜!」
と、リュウジくん。
「それ、めちゃくちゃ覚えてるわ。高校おった時で確か累計十回はチャレンジしたよな。んで、みんな失敗するんよ。あれは悔しかったな〜」
アツシくんも覚えてるみたい。男の子って全部食べたらタダ! というのが好きなのかな?
「カレーのルーは普通にいけるんやけどな。ご飯が多すぎて結局ルーが足りなくなるんよね。ただの白ご飯だけ延々と食べるのは、ホンマに苦痛やねん」
コウちゃんもその時の感想が出てきた。
「デカ盛りのパフェを見て、高校の時の思い出が蘇る男子三人であった」
ユカリのナレーションに、みんなで笑う。ユカリのそういうとこ好きだな。ここぞという時に面白いこと考えつくのは、賢いんだろうな。
結局なんやかんや喋りながらも、ボス級のスモウレスラーパフェもみんなで食べると一瞬だった。
甘いものは別腹とはよく言ったものだ。
「うわ〜、もうお腹いっぱい。このまま転びたい気分」
みんな満足の様子だった。
「「「ごちそうさまでした〜!!」」」
店を出て、駐車場に向かう。
「あ、アツシ、もし行けそうなら女の子達三人を橿原まで送ってもらってもええかな? 俺、仕事の実績報告を今日中に送っておきたいんやわ」
コウちゃんがアツシくんに言う。
「うん、俺は大丈夫やで。チヨちゃんがそれでいいなら……?」
実績の報告とかそういうのもあるんだな。コウちゃんがそう言ってるのに私がワガママ言っちゃダメだよね。
「ううん、大丈夫。アツシくんごめんね、よろしくお願いします」
「ありがとうアツシ、ほんじゃみんなまたな〜。おつかれ〜」
コウちゃんが車に乗ってさっさと帰る。
コウちゃんがいないと、やっぱり淋しくなるな。
アツシくんは大きな車で、みんなを橿原市まで送ってくれた。




