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無口なパルクーラーは眠らない街を翔ける  作者: 狐のボタン


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会談



会談の内容自体は”恒久的な停戦”という至極真っ当な内容。恒久的と言うのなら停戦じゃなく終戦して和平を結びなさいよ! と突っ込みたくなるけれど、つまらない見栄を張り合ってる程度では無理でしょうね。



一応、会談は停戦するという方針で固まったらしい。

なんだけど…。

「斑鳩の方々はどうされるんです?」

「それは俺も聞きたいところだ」

「やはり我が神楽に属している以上、神楽と共にありますよね?」

「いやいや。これほどの大都市だ。もう一つの国として認めたほうが良いのではないか?」

「なん…だと…? まさか斑鳩! 神威と結託して国として旗揚げするつもりですか!」

「落ち着いてください。ナイトレスシティはただの歓楽街です!」

「しかし! 国の立ち上げなどとなれば神楽とて黙ってはいられませんよ!」

「心の狭いことだな、神楽よ」

「言わせておけば…!」 

彩織さんはおろおろとして対応できていない。ため息をついた麗奈姉さんがついに口を開いた。


「…神楽の姫も神威の親父も落ち着きなさいな。 まず、神楽の姫よ。仮に斑鳩として国を立ち上げるのが目的だとして神威の協力など必要だとお考えか?」

「なに!?」

「神威の親父。いらぬ勘ぐりを姫にさせるような発言はやめて頂こうか。すり潰しますよ?国ごとね」

「なっ…神威を敵に回すというのか!」

「それでも一向に構いませんが?何なら国ごと更地にしてもいいのです。 勘違いしないで頂きたいのは、我ら斑鳩はこの歓楽街を立ち上げ維持してきた。それ以上なにも求めてはいません。ですが、いらぬちょっかいを出されるというのであれば即座に、徹底的に対応するまで。そもそも我々にケンカを売ってこの街からあなた方が出られると思ってるのですか?」

麗奈姉さん…。苛烈な部分でてますって! 仮にも相手は国の名代としてきている人ですよ!

しかも世界中へ生中継されてますからね?


「ちっ…」

舌打ちした神楽の姫が履いていたヒールをカツンっと鳴らすと同時に立ち込める煙。靴に仕込むとかやってくれますね。

即座にサーマルへと切り替えて周囲の確認。埋め込まれてる端末のサーマル機能で全員の動きが見えてますけど…。

っ!?

神威のおっさんが懐から出したのって銃?しかもかなり古いタイプの! 至近距離であれを防ぐのはドローンには無理! 銃口が狙ったのは…神楽の姫?

咄嗟に飛び出し、ドンッという銃声と共に神楽の姫を押し倒した。

「離しなさい! 何のつもり!? 誰か! こいつを始末して!」

「…大丈夫ですか?」

「えっ…」

「怪我は…?」

「ないわ。って…貴女斑鳩の? …これ血!?」

「チームUi…いま私が見ていたものを共有させたからそれを元に動いて、お願い…」

「”うるあ!? うるあ!!”」

「”映像確認! 神威の人間を一人も街から出すな! 絶対にだ!! 先ずは外の車とそこにいる奴らをすべて潰せ!”」

「”了解!!”」

「”うるあ!”」

「”ナオ、あんたは行ってあげて”」

「”わかった、ありがとう…”」

「来たらダメ!! お願い…」

ちくっしょう…脇腹がめちゃくちゃ痛い。あんな玩具みたいなタマに当たるなんて。私も焼きが回ったかしら。


何とか身体を起こし、神楽の姫も立たせる。

「貴女、大丈夫なの…?」

「小口径が急所も外れてあたっただけなんで死にはしないですから。それよりなんで煙幕なんて張ったんです…?」

「斑鳩に殺されるかと思って…」

「そんなわけ無いですって。姉は言いましたよね?歓楽街として維持していきたいだけだと」

「でも生きて出さないって言われたら…」

「ケンカを売ればです。姫は我々にケンカを売りました?」

「そんなつもり無いわよ! 父からも神威などどうでもいいが斑鳩との関係だけは絶対に壊すなときつく言われてるもの」

「まあ、神威は全員生きてここを出られませんけどね」

「え゛…」

「後はご自分で何とかしてくださいね。私もケジメはつけてもらわなくては…やられっぱなしでは名が泣くので」


煙幕の中、左脇腹を押さえつつ奴を追う。威力がないから貫通はしてないか…。それでも頭とかに当たってたら危なかったかも。やってくれる…。


未だ晴れない煙幕の中見渡す。姉たちはもう移動してるか。

チームの子たちから情報はいってるでしょうし、その対応に向かってくれていると思う。ここは私に任せてくれた、そう判断しますからね。


ふぅ…。くっそ痛い…。意識だけは失うわけにいかないから、歯を食いしばって気合だけで意識を保つ。

どうせ車なりに乗って街を出る気でしょうけど、させるわけがないでしょう?


ステージから降りるとようやく煙幕の外へ出られた。

「お嬢!?」

「いいところにいるじゃない。それ貸しなさい」

「それより治療を!」

「やかましい!! 斑鳩の娘が一発撃たれたくらいでひよってられるかよ! いいから渡せ!」

「は、はいっ!」

警備をしてた家の下っ端からライフルを取り上げる。


残弾よし。ボルトを引いて装填。安全装置解除、単発に設定。

走り去る神威のおっさんに片手で狙いをつける。

引き金を引く…。ドンッという銃声と同時に上がる血飛沫。右脇腹にあたったか。丁度いい…。

「神威の人間は一人も街から出すな!! ヤツには手を出すなよ」

「「「はっ!」」」


倒れた奴に近づき、うつ伏せで倒れているのを蹴り飛ばす。

こっちを見やがれ。私の目を。

「うぐっ…」

「よくもこの私の身体に穴を開けてくれたなぁ!!」

「ひっ…」

「きれいな身体のままいたかったのに。貴様は私の身体に穴を開けた。覚悟はできてんだろうな!!」

「お前を狙ったわけじゃ…」

「そんな言い訳がここで通じるかよ。いいか?ここはナイトレスシティ・イカルガだ。そして私は斑鳩麗亜。落とし前、その身体でつけてもらうからな!」

「ひぃ……やめっ…」

奴へと銃口を向け、フルオートに切り替えて乱射。

ダダダダダッと砂煙が上がる。


「うるあ!」

「ナオ…来たらダメって私言わなかった…?」

「従うとは言ってない…」

「もう…」

「治療受けてよね」

「わかった…」

ナオの顔を見たら安心して力が抜けてしまい、抱き止めてくれたナオの腕の中で意識も銃も手放した。









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