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魔物の痕跡と収納

 朝、二つの月が淡く残る空の下で目を覚ました。

 村はすでに動き始めており、子どもたちが水を汲み、男たちが柵を点検している。


 サイラスに声をかけられ、俺はクロワンにまたがり森へ向かった。

「森猪の痕跡を見てきてほしい。あれが戻らぬとわかれば、皆も安心できる」

「わかった。任せてくれ」


 森は昨夜より静かに思えた。

 クロワンのエンジン音が木々にこだまし、湿った朝の空気を震わせる。



 倒木の先に、それはあった。

 折れた枝、えぐられた土、そして昨夜の戦いの痕跡。

 まだ残っていた森猪の牙と血の跡。


「……残ってるのか」


 思わず息を呑む。

 昨夜は疲労で試せなかった“あの機能”が脳裏に浮かんだ。


【収納可能素材検出】

・森猪の牙 ×1

・森猪の皮(損傷あり) ×1

・魔石(微弱) ×1

→収納しますか?[はい/いいえ]


「……今度こそ」


 俺は小さく深呼吸し、[はい]を意識する。

 瞬間、牙や皮が淡い光に包まれ、粒子となって消えた。


【収納完了】

・森猪の牙 ×1

・森猪の皮 ×1

・魔石(小) ×1


 同時に、視界の片隅に四角い枠が整列して浮かび上がる。

 透明なカードのようなスロットに、それぞれ素材の小さなアイコンが収まっていった。


「……消えた? いや、取り込んだのか」


 呼び出しを試すと、牙の模型のような幻影がふっと浮かび、再び消える。

 確かにそこに存在しているのに、重さも嵩も感じない。


 さらに小さな通知が点滅した。


【燃料補充可能:魔石(小)】

→現在残量:97%


「なるほど……素材が燃料にもなるわけか。これは旅人向きだな」


 俺はタンクを軽く叩き、村への帰路へとハンドルを切った。

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