新しい依頼と冒険者の挑発
受付のカウンター前に立つと、エリナが微笑みながら依頼書を差し出した。
「遼様に合いそうな依頼を選んでおきました。街道沿いの狼型魔物〈灰狼〉の警戒任務です。
単独で仕留める必要はなく、出現の有無を確認して戻ってくるだけの簡単なものです」
「確認任務か……悪くないな」
牙ウサギよりは危険だが、偵察中心なら手が出せそうだ。
頷いた瞬間、視界にウィンドウが浮かぶ。
【依頼受諾】
・任務:街道北の〈灰狼〉出現確認(撤退可)
・報酬:銅貨10枚+補助金(報告内容で増額)
・ヒント:群れの習性/黄昏時に活発
背後から声。
「へえ、新人がもう灰狼に手を出すのか」
昨日も見かけた若い冒険者が数人の仲間と立っていた。
革鎧に槍を持ち、やけに目つきが鋭い。
「サイラスの推薦があるからって、調子に乗ってるんじゃないのか?」
「それに、外に停めてある鉄の馬に頼ってるだけなんだろ?」
嘲るような笑いが広間に広がる。
俺は深く息を吸い、短く言った。
「鉄の馬に“頼る”んじゃない。“組む”んだよ。相棒だからな」
空気が一瞬だけ静まる。
ややあって、くぐもった舌打ちが一つ。彼らは肩をすくめて散っていった。
「……言わせておけ」
小声で呟く俺に、エリナが心配そうに目を向けた。
俺は笑ってみせる。
「無理はしないさ。俺には相棒がいる」
「……お気をつけて」
彼女は小さく頷き、書類に印を押した。




