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霙の降る道を行く  作者: 那波
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6/7

羽虫

あなたの瞳をまっすぐ見つめることは難しい

松明に飛び込む羽虫のように

この身は焼け落ちるだろうから

だから

あなたより背が高く生まれて良かった


わたしがいつの間にか失ってしまった沢山のものを

あなたは持っている

たぶん

わたしよりも若いからとか

そんな理由だけではないだろう


譲れない信念とか

守りたい脆さとか

きっと正しいことを貫いてここまで来たけれど

善人でいることができなかった


可笑しいだろう

誰も傷つけずに生きられるよう

爪も牙も持たずに生まれてきたはずなのに

自分が自分として在るということは

誰かをズタズタに引き裂くことだった


ままならない日々を越え

まだわたしはここにいる


あなたの頬を撫でることは許されない

傷口から入る黴菌のように

わたしの穢れをうつさぬように

そしてあなたの後ろに続いて導かれる道


あなたが懐から差し出してくれる沢山のものを

わたしは知らない

それは過ごした環境のせいではない

きっとわたしが気付かずにいたものなのだ


情けないだろう

せっかく羽根を手に入れても

天使になれない羽虫達は

同じ方向を向き続けられずに

ぶつかり合って散りあった


それでもまだ明日が来るのに

今と過去が苦しくて


ボロボロになっても

更に傷つけられて

まるで被害者のようだった

でも本当はその逆で


わたしはただそこに在ることをやめなかっただけだ

そのために降りかかる災厄を

被ってはなぎ払っただけだ


だからわたしはまだ生きていた

だからわたしは孤独になった

たからものも守れずじまいに


こんなことが

いつかあなたにもあっただろうか

あるいは

いつかあなたにも起こってしまうのか


どうか

あなたはわたしの思いもよらない道を行け

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