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最終試練、そして魔王との闘い

最後の試練の土地に向かう二人は、道中の魔物との闘いで再び連携を深めていった

フェルネリアの力は完全に戻っていた


そして、辿り着いた最後の試練

そこはやはり遺跡だった

これまで以上に強い気配を感じる


しかし、ノルヴェインの力は覚醒していた

強力な敵を次々となぎ倒していく

その姿はフェルネリアも驚くほどだった


しかし、遺跡の中央に辿り着いた時、予想外の人物を目にする


「来たか」


「エルシオン!」


黒衣の騎士エルシオンだった


「悪いが、ここの守護者は俺が倒した」


「なんだと」


「お前の旅もこれで終わりってとこかな。これ以上先へは進ませない」


ノルヴェインは歯噛みする

しかし、そのまま立ち去るわけにはいかない

奴とはこの場で決着を付ける


「俺の話を聞く気はないか?」


エルシオンはとぼけたように囁く

しかし、ノルヴェインは聖剣を抜き、無言でそのまま構える


「やっぱり倒すしかないか」


エルシオンも構える


しばらくの沈黙の後、両者の剣がぶつかり合う

しかし、圧倒したのはノルヴェインだった


「おいおい。ここまで成長したってのか・・・・」


エルシオンからは余裕が消えていた

何度か剣がぶつかった後、エルシオンは飛びのき間合いを大きく取った


「ただの人形かと思っていたが、本物じゃねえか」


ノルヴェインは聖剣に力を込める

そして、剣から光の刃が放つ

その刃がエルシオンを切り裂いたかに思えた

しかし、エルシオンの姿は霧のように消えた


「消えた?」


思わずノルヴェインは周囲を見渡す

しかし周囲からはエルシオンの気配が消えている


「倒した・・・・わけじゃないんだろうな」


しかし、試練はどうなるのだろうか

いや、魔王の側近と呼ばれる男を圧倒した

勇者としての力はもう得たと考えても良いのかもしれない


ノルヴェインはフェルネリアの元へ歩いていくと


「魔王を倒しに行こうか」


そう告げた

フェルネリアも黙って頷く


フェルネリアは魔王の城の場所を示した

数日の距離

そして、この数日でフェルネリアとの旅も終わる

長かったような短かったような

いや、そういう感傷は魔王を倒してからだ


魔王の城に近づくにつれ、魔物が強くなるのがわかる

しかし勇者の力は圧倒的だった

背後から戦いを見守るフェルネリアにも余裕のようなものを感じる


そんな旅を続け、いよいよ魔王の居城が見えてきた

二人は一度目を合わせると城に入っていく


襲い掛かる魔物達

なぎ倒して先へと進む勇者

そして、ついに視界に現れた魔王スクハ・ルサス


魔王はゆっくりと立ち上がり、強力な魔法を連続して放つ

その全てを躱し、間合いに飛び込むと、ノルヴェインの剣が魔王を捉えた


フェルネリアは息を飲む

魔王はそのまま倒れた


少し間を置いて


「やりましたね!」


フェルネリアがノルヴェインのもとへと駆け寄る

しかし、ノルヴェインの顔には疑問が浮かんでいた


「弱すぎる・・・・本当に魔王ってこんなものなのか?」


「あなたが強すぎるんですよ」


そんなやり取りが続く中、背後から声が聞こえる


「いや、ノルヴェインの言うとおりだ」


白銀の騎士クローヴだった


「これで終わりではない。魔王の本体は別にいる」


「本体だって?」


「ああ、この先に”それ”があるはずだ。そして、それこそが勇者でなければ魔王を倒せない理由でもある」


そう言うと、クローヴは魔王の玉座の背後にある空間へと進んでいく

二人も付き従う

そこには黒い結晶があった

ノルヴェインはその結晶に見覚えがあった

かつて聖剣が刺さっていたあれとよく似た物質


「これが魔王の本体だ。これがある限り魔王は何度でも蘇る。唯一これを破壊できるものが聖剣であり、その力を引き出せるものこそが勇者なんだ」


確かに、その物質からは禍々しい何かを感じる

しかも、これまでに感じたものとは比較にならない


ノルヴェインがそれを見つめていた時、クローヴが突然剣を抜く

そして、ノルヴェインの背後へと突き出す


キンッ!


剣がぶつかった音

振り返ると、そこにはエルシオンがいた

ノルヴェインに向けて剣を振り下ろしていた

そして、それをクローヴが止めた


「やらせない!」


エルシオンが叫ぶ


「やっぱり来たな」


クローヴが身構える

そうして、白銀の騎士と黒衣の騎士は対峙した


二人が剣を交える

その戦いは熾烈だった

そして、二人がノルヴェインに向けて叫ぶ


「結晶を破壊しろ!」

「結晶を破壊するな!」


しかし、ノルヴェインは聖剣「グランセイバー」に力を込め、光の刃を黒い結晶に向けて放った

結晶にヒビが入り、やがて細かな粒になって弾け飛ぶ


その中から二人の人物が現れた

いや、そのうち一人は明らかに人ではない

化け物の風貌だ


「よくやってくれた」


クローヴがそう言うと、その姿は霧のようになり、やがてその霧は結晶の中にいた化け物へと吸い込まれていく


「くそ!」


エルシオンも同じだった

もう一人の人物へと吸い込まれていく


なんだ

これは何が起こっている


やがて、結晶の中から現れた人物が叫ぶ


「構えろ!こいつが本物の魔王、スクハ・ルサスだ!」


スクハ・ルサス

銀白の長髪と深紅の瞳を持つ、異様なまでに美しい男の風貌をしている

しかし、明らかに人ではないのがわかる


「どういうことだ!」


ノルヴェインのその質問に対し


「俺は勇者エルシオンだ。魔王を封印していた。その封印が今解かれたんだ」


「なんだって!」


「クローヴは魔王の別の姿だ。魂だけ封印から抜け出していたんだ。俺もそうだった」


しかしノルヴェインが身構えるより先にスクハ・ルサスは二人に向けて魔法を放つ

両者ともそれを受けるが、受けきれずに弾き飛ばされた


「くそ・・・」


倒れたノルヴェインに対し、スクハ・ルサスが語り掛ける


「よくぞ、封印を解いてくれた。感謝する」


「どういうことだ」


「我は、この封印を解くためにその剣を作り出した」


「グランセイバーのことか」


「そうだ。そしてその剣の真の力を引き出せる人間を探していた」


スクハ・ルサスは、それを”勇者を探す”という名目で行っていた

黒い結晶を破壊することができる人物が現れるのを待っていた

そして、勇者が成長し、グランセイバーの真の力を引き出せるよう、試練を用意した

全ては自身の封印を解かせるために


「最初から全て仕組まれていたことなのか!」


「そうだ。そしてお前にはもう用はない」


そう言うと、スクハ・ルサスは再びノルヴェインに向けて魔法を放つ

それを受けたノルヴェインが再び吹き飛ぶ


「ノル!」


フェルネリアが駆け寄り、回復魔法を使おうとする


「お前にも、もう用はない」


スクハ・ルサスの魔法がフェルネリアを貫く

フェルネリアはその場に倒れた

そのまま動かない


「フェルネリア・・・!」


倒れて動かなくなったフェルネリアを眺めながらスクハ・ルサスは笑う


「その女も我が用意したものだ。勇者を途中で死なせずに、この地へ導くためにな」


「魔王・・・・」


「その女の役目はもう終わった」


ノルヴェインは立ち上がる


「許せない」


グランセイバーを構える

そしてふらつきながらも渾身の力を込めて光の刃を放つ

しかし、スクハ・ルサスの前で刃が弾け消えた


「その程度の力では我は倒せない」


そう言うと、三度ノルヴェインはスクハ・ルサスの魔法を受け、吹き飛ばされる

そのまま動けなくなる


「さて、あとはお前だな。勇者エルシオン」


「くそっ・・・」


その様子を見てスクハ・ルサスは笑いながら話す


「あのような封印を二度も受けるほど我は愚鈍ではないぞ」


そうして、両者が対峙する

睨み合ったまま空気がひりつく


ノルヴェインは意識が朦朧としていた

もう駄目なのか・・・・

自分は所詮、作り物の勇者だったのか・・・・


しかし、そこに手が差し出される

次の瞬間、ノルヴェインの身体が光に包まれた


「え?」


意識を取り戻したノルヴェインはその手を差し出している人物を見た


「フェルネリア?」


まさか・・・

フェルネリアはさっき殺されたはずだ

思わず、さきほど魔法で貫かれて倒れたフェルネリアのほうを見ると、そこには死体が残っている


フェルネリアが二人いる?


「細かな事情はあとです!」


そう前置きし、フェルネリアは話し出す


「手短に話します。実は一度だけしか使えませんが、私には勇者の力を瞬間的に高めることができる魔法があるんです」


「え?」


「いつどのように使えば良いのかわかりませんでした。でもおそらくそれは、勇者が偽の魔王を倒せるほどに成長しなかった場合に、最後の手段として残されていたのでしょう」


そうか

茶番とはいえ、勇者はこの場所まで辿り着かないといけない

だから、フェルネリアにはそのような力が与えられていたんだ


「今からそれを使います」


「フェルネリアは魔王の手下じゃないのか?」


「いいえ、私は魔王を倒すために勇者を導く聖女です。たとえそれが作られた役割だとしても、私の使命は勇者を助け、魔王を倒すことです」


そう言うと、フェルネリアは魔法を使う

ノルヴェインは明らかに強大な力が宿るのを感じた


ノルヴェインが立ち上がると、スクハ・ルサスがそれに気づき、もう一人のフェルネリアに視線が向けられる


「お前、あの崖から落ちて、本当に生きていたのか」


「よそ見か?」


エルシオンがスクハ・ルサスに斬りかかる

ノルヴェインもそれに加わる


両者の攻撃にスクハ・ルサスは押されていく

やがて、グランセイバーの光が魔王を貫いた

エルシオンの剣も魔王に突き刺さる


「くそ、どこで間違った・・・」


そう言い残し、スクハ・ルサスは倒れた

エルシオンがそれを見下ろしている


同時に離れた場所でフェルネリアも倒れる


「フェルネリア!?」


ノルヴェインが駆け寄り、抱き起した

フェルネリアは、か細い声で語り掛ける


「言ったでしょう。この魔法は一度しか使えないと。この魔法は私の命と引き換えなんです」


「なんだって」


「ノルの故郷を見てみたかったです・・・」


そう言い残し、フェルネリアは目を閉じた

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