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作り物ではない人生

フェルネリアの最後の言葉からノルヴェインは真実に気づく


(もし、本当に魔王を倒せたら、その時はノルの故郷を見てみたいです)


あれは、試練に向けて旅をしている時の会話だ

一度、仮死状態になって目を覚ましたフェルネリアは旅の記憶が消えていた

それはつまり、崖下に落ちたフェルネリアとは別に用意されたフェルネリアだったんだ


そして、今目の前で助けてくれたフェルネリアこそ、あの時一緒に旅をして崖下に消えたフェルネリアだった


「仮死状態のフェルネリア・・・?」


ノルヴェインは目の前のフェルネリアを見て何かに気付く

当初、仮死状態で生み出された二人目のフェルネリア

彼女は教会で命を吹き込まれた

その時の様子によく似ている

まさか・・・・


「どうした?」


エルシオンが駆け寄る


「エルシオン、すぐにフェルネリアに黒い結晶の封印を施してくれ」


「は?」


「いいから、頼む。まだ間に合うかもしれない」


そして、フェルネリアに結晶の封印が施された



それから数日後、封印を施されたフェルネリアは、黒い結晶の中で静かに眠っていた

ノルヴェインは封印されたフェルネリアを抱えリュミエール教会へと戻っていた


教会中のシスター達が息を呑む


「・・・聖女様!」


台座の上にフェルネリアが寝かされる

ノルヴェインはゆっくりとグランセイバーを抜く

かつて魔王の封印を解いた剣


「始めるぞ」


ノルヴェインは剣を黒い結晶へ向けた

グランセイバーが眩い光を放つ


次の瞬間、結晶にひびが入った

やがて結晶が粉々に割れると光の粒となり、ゆっくりと消えていく

フェルネリアの淡い金髪が静かに広がった


同時に、教会全体に巨大な魔力の流れが生まれた

シスター達が祈りを捧げる


ノルヴェインはフェルネリアの手を握る


「戻ってこい、フェルネリア」


返事はない

ただ静寂だけが流れる

誰も言葉を発しない

やがて、フェルネリアの指先がわずかに動いた


「・・・・!」


ノルヴェインが息を呑む

閉じられていた淡い紫色の瞳が、ゆっくりと開かれる


「フェルネリア!」


ノルヴェインが思わず名を呼ぶ

フェルネリアはぼんやりと天井を見つめていたが、やがて視線をノルヴェインへ向けた


「ここは・・・・」


「教会だ。一か八かで蘇生をしたんだ。俺が・・・・誰かわかるか?」


その返事を聞くのが少し怖かった

しかし


「はい、ノル」


それを聞くと、ノルヴェインは堪えきれず彼女を強く抱きしめた

フェルネリアも静かに抱き返す


教会のシスター達が涙を流していた

エルシオンだけは、少し離れた場所で小さく息を吐く


「まったく、奇跡ってやつか」


誰にも聞こえないほど小さな声だった


しばらくして、フェルネリアはノルヴェインを見上げる


「約束、覚えていますか?」


「約束?」


「魔王を倒したら、ノルの故郷を見せてくれるって」


ノルヴェインは目を見開いたあと少し笑った


「ああ、もちろん」


するとフェルネリアはどこか嬉しそうに微笑む

もうそこには聖女としての顔はなかった

ただの一人の女性としてそこにいた


ノルヴェインは思った

勇者としての旅は終わったのかもしれない

けれど、ここから始まる人生こそが本当に自分達のものなのだと

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